第五話
私は参という者に連れ去られた。別に抵抗したわけではないけど。
ろんが私を助けるために戦ってくれたが、彼は戦いに敗れてしまった。でも、無理もないと思う。だって参は神だから。
生徒たちは彼のおかげで教室から逃げることができて、グラウンドにいた。私は戦いの終始を見たくて教室にこっそり残っていたけど。
彼が倒されると、参は「ついてきて。」と言って、私と参はその場から霧のように消えた。
気づくと私は薄暗い神社の境内に立たされていた。周囲には木々がたくさん立ち並び、風がざわめく中、赤とオレンジを適当に混ぜたような色が空を染め上げ、私たちの影は長く伸びていた。
「彼にあんな態度を取ってよかったのかしら?」葵は微笑みながら言った。
「ええ、大丈夫よ。たぶん。」
「ふふ、そうだといいわね。それじゃ、計画通り、頼んだわよ?」
「うん、任せて。」
参が手をかざすと薄い光のゲートが現れた。ゲートはまるで生きているかのようにゆらめいていて、内部は完全な暗黒で、まるで漆黒の深淵のように見えた。周囲の空気はひんやりと冷たくなり、不気味なほど静まり返っていた。
そして、葵はゲートの中へと足を踏み入れた。葵の眼鏡越しに見える目は光を反射し、星空のような紫色に光っていた。内側の暗黒が彼女を包み込み、彼女は目をつむる。参はそれをゲートの外から見ていた。葵が入り終わると彼女はすぐにゲートを閉めた。すると、そこにはただ夜の静寂が響き渡った。
参の口元は緩んでいた。
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