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第十一話

 彼の速さは予想以上で、まるで時間が歪んだかのように感じられた。


 僕は直感的に身をかわし、短剣が通過する音を耳にした。


 刃が空気を切り裂く瞬間、すぐに次の攻撃が来ることを予感し、反応を研ぎ澄ませる。


 弐は次々と攻撃を繰り出してきた。


 短剣が空気を震わせ、華麗に舞うような動きで、僕の周囲を切り裂こうとしていた。


「これが、神の中で3番目に強い者の力か...」と内心思いながら、全力で避け続けた。


 彼の攻撃が再び迫る中、心の中で決意を固めた。


 ここでなら...いいよな?


 彼の短剣が僕に振り下ろされるその瞬間、僕は手を彼に向かって伸ばした。


 その瞬間、彼の身体は壁に吹きとばされた。


 そして壁に激しく衝突し、彼は一瞬、驚愕の表情を浮かべた。壁が砕ける音と共に、彼の周囲に無数の亀裂が走る。


 僕はその隙にすかさず、弐との距離を詰める。


 彼が壁から再び立ち上がろうとするが周囲の空間は歪み、彼の動きを封じ込めていた。まるで見えない束に縛られたかのように弐の身体は動かなくなっていたのだ。


「なるほど。人間なのに能力が使えるのか。しかし、その程度で勝てるとでも?」


「ずいぶんと余裕そうだが、そろそろお別れだな。」


 僕は腕を組んで彼を見下ろして、こう言った。


「どういうことだ?」


「周り、見てみろよ。」


 彼が周りを見渡すと、その裁判所は崩れかけていた。そしてその速度は次第に早くなっている。


「この空間を崩壊させたのか...?!」彼の冷静さが崩れ始め、明らかに焦りが見えた。


 僕は冷静に答えた。


「僕の能力でお前の能力は封じられたんだ。この仮想の空間はお前の能力のだろ?だから能力が無効化されたらここは壊れる。」


「お前、何者だ...??」


 弐は苦々しい表情を浮かべながらそう疑問を投げかけた。


「ただの人間だよ。ちょっとした能力を持っているな。」


「...神の力を封じる人間が現れるとはな。どうやら、「ただの人間」ではないようだな。」


 空間の崩壊は一層加速し、周囲の壁は次々と砕け散っていく。


 弐は崩壊する空間を見つめながら、「俺を殺さなくていいのか?」と言った。


「あんたを殺す理由はない。少なくともここではお前を止められるだけで僕は十分だ。」


 その言葉に、弐は少しの沈黙を挟んで再び笑った。

 そして、「ふ...やはり貴様は人間だな。」彼はそう言い放って、崩れ落ちる空間の中、弐の体も徐々に薄れていき、赤色に輝いていた彼の目も次第に光を失っていった。


「さらばだ。人間。でもこんなんであの方を倒せると思うなよ?」


 弐の声が遠のきながら、彼の姿は霧のように溶けていった。

このたびは「」をお読みいただき、ありがとうございます。評価やポイント、物語の展開やキャラクターたちについての感想をお聞かせいただけると、とても嬉しいです。

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