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第1話 仮想世界ソロモン、リーンと魔導書の手引き

 【グリモワールリフトへようこそ】


 目の前に広がる世界は、現実世界よりも生の実感を与えてくれた。


 赤髪の小柄な女の子が目を開ける。


 この世界での私の名前はリーン。


 仮想世界【ソロモン】で、今日も私の生活が始まる。


 ‡ここでは剣などの武器は存在しない‡


 あるのは一つだけ、それは【魔導書】だ。


 ソロモンでは魔法を操る魔導書が、私達の生活水準を上げる唯一無二の存在。


 「今日はどんな魔導書を作ろっかな」


 この世界では、クラフト要素が用意されており、自分で魔導書を作り、それを売買することで生計を立て、自身のQOL(生活の質)を上げて行くのが基本的なルーチン。


 「このまえ作った、お隣さんの騒音を遮断する魔法はすごく売れたから、今度は……」


 リーンは地下工房にあるディスプレイで、サイトに表示された売上を見ながら、次に作る魔導書のアイディアをあれこれと考える。


 「口コミが多い魔導書をマネしてもなぁ」


 ソロモンの通貨【シェケル】は、現実世界の暗号資産と等価交換することが出来る。


 リーンの国は貧しく、現実世界で働くより、ソロモンで魔導書を売ったほうが遙かに見入りがいい。


 というか、工夫次第で凄く稼げちゃう♪


 最初は他の人をマネて作っていたが、全く売れず、低評価の嵐。


 自分なりに、現実世界であったら良いなと思う空想を軸に術式を組んで魔導書を紡ぎ上げると、これが刺さった。


 急上昇ランキングにリーンの魔導書が表示され、ソロモンのユーザーが抱えていた騒音問題を一気に解決し、それに関連するトラブルも解消出来たことで広く認知される。


 次の魔導書は何かと期待するユーザーが、リーンのショップをブックマーク。その数は魔導書を出す前の数百倍に。


 その収益でリーンは集合住宅を引き払った。

 

 Mサイズ、三等地の土地を1800万シュケル、一括払い、一戸建ても同時購入。


 自分の城を手に入れた瞬間、やる気スイッチが壊れたかと思うほど押し込まれていた。


 「リアルで困ったことに、あったら嬉しいサービスとか、ごにょごにょ」


 天井を見上げて、ブツブツ独り言を言っていると、


 「やぁー、みんな!元気かーい!」


 最近買った特大プロジェクターに、何時も流れるソロモン公式番組の映像が映し出され、MCの男性が威勢のいい声で、


 「今日もホットな話題を紹介するよー!」


 そう言うと画面が切り替わり、


 「まずはこれ、グリフのミッドレーナーの新星、フェイカーの活躍からだ」


 グリフとは【グリモワールリフト】の略称である。


 この世界の大まかなゲームジャンルはMMORPGと呼ばれる【大規模多人数同時参加型オンラインRPG】だが、それともう一つの要素が組み込まれた、やや特殊な世界となっていた。


 そのゲームジャンルはMOBA【マルチプレイヤー・オンライン・バトルアリーナ】と呼ばれている。


 リーンはソロモンの生活を軸に生きているが、グリフにも力を入れていた。


 ログイン時にアナウンスされる、


 【グリモワールリフトへようこそ】は、このグリフの世界に入る時にも流れる。

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