#35「御手洗令嬢奪還 前編」B
時は遡り、痴漢と間違われて訴えられた雷男は能野警察署の取調室で取り調べを受けていた。雷男は何度も人命救助のためと言うが、取り調べをしている刑事には信用はしてくれない。小汚い小太りのおじさん刑事でまさに罪人の言い分なんて聞く耳持たなそうな雰囲気だった。
「何度言えば分かるんだよおっさん。俺はあの婦人の命の恩人だぜ?俺がいなかったら、あの人御陀仏になる所だったんだぞ?」
「そうやって、女性の身体目当ての変質者がどれだけいると思っているんだ!俺と同じハゲのくせに〜ベタベタ女体を触りやがって!俺だって満遍なく触りてーよ〜!」
「およそ、市民の安全を守る立場が言う奴の台詞とは思えねぇな。」
「黙れ!お前のようなチャラ男が、世の婦人達にとって危険な存在だ!しかも俺と同じハゲのくせに〜!お前のような奴はこの町に、いやこの世に必要ねぇんだよ!」
(言いすぎだろ...誰のおかげで平和が保たれると思ってんだよ...)
すると若そうな刑事が取調室に入ってきて、おじさんの刑事に小言で何かを伝えると、その刑事は退出した。
「よく聞け、チャラハゲ。お前は勾留される事になった。」
「勾留って何だ?」
「お前が婦人の身体を触りまくった証拠がないが、万が一自由の身になって証拠隠滅されたらたまらないからな!そうならないように牢屋でおとなしくしてろって事だ!全国の婦人に悔いりやがれ!」
「身の潔白が証明されるまで、動くなって事かよ...てゆうか全国の婦人は関係ないだろ!もうちょっと立場を考えて発言しろよな!」
雷男は疑いが晴れるまで、身柄を拘束する為に牢屋に入れられるのであった。雷男は納得がいかない事態に不貞腐れるのであった。
拳也と愛剥路は向かっている道中、万部町に入った辺りに襲撃にあっていた。
「なにか飛んできます!」
拳也は飛んできた物を掴んだ。
「これは、上履き?」
飛んできた物は学校等で使われるような上履きだった。すると全身が靴で手足が生えたカテラスが二人の前に現れた。正面が靴の背面に当たる所になっており、靴の種類はおそらくスニーカー。
「このシューズカテラスの奇襲を見破るとは...!」
「奇襲だったんだ...今の...」
拳也は愛剥路に先に御手洗邸に向かうように伝え、愛剥路は一人向かっていった。
「君一人で、このシューズカテラスに挑むつもりかい?この華麗なシューズ達の餌食になるだけだというのに」
「多分...僕一人でいいと思う。」
拳也はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。
[Martial Arts In]
電子音声の後に待機音が鳴る。
「武着装!」
掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。
[CERTIFICATION. In Charge of Martial Arts.]
再び電子音声が聞こえた瞬間、拳也の周りに光が纏ってアリツシャーマに武着装した。
「超戦士の方でしたか。なら始末しないといけませんね!」
シューズカテラスはスニーカやブーツや長靴等を拳也に飛ばして攻撃を仕掛けてくる。
拳也はアリツハンドを発動して、手刀で投げられた靴達を次々と真っ二つにしていった。するとシューズカテラスは駆け足で叫びながら拳也に駆け寄って来た。
「なにしてるんですか!僕の大事な子供達を真っ二つにするなんて!」
「...はい?」
「僕に取っては靴は子供と同じなんです!それを次々に斬っていくなんて...」
「そう思っているなら、飛ばさないでよ。」
「黙りなさい!これでも喰らいなさい!」
シューズカテラスは自身の手に靴を嵌めて、その手で張り手をして攻撃してきた。拳也はその張り手を手首を掴んで止めた。
「小、中学生ですか、あなたは...」
拳也はシューズカテラスを押し出し、地面に倒させた。
「た、立てない〜!」
「全く、これから重要な任務の途中だったのに...」
拳也はアリツフォンにアリツブレイクチップを挿し込む。
[Break Standby]
待機音が鳴り、画面をタップした。
[Martial Arts Break]
アリツハンドのブレイクが発動して、拳也はシューズカテラスの全身を手刀で力強く真っ二つに斬り上げた。
「僕の美しいボディが〜!」
シューズカテラスは人間に戻り、気を失った。
いつも通りの対処を取り、拳也は御手洗邸にへと向かっていった。
御手洗邸では、二階で眠っていた防子がようやく目を覚ましていた。
「あれ、ここは?」
「お目覚めになられましたか!?防子さん!」
「あれ、あなた達は、麗綺さんの...」
「ここは御手洗邸です。それよりも、あなたのお連れ様がお嬢様を人質に!」
それを聞いた防子は、急いで階段を駆け降りて、一回に柔子の元に向かった。柔子は昼食の最中だった。
「柔子ちゃん何してるの!?というかそのカテラスは何!?」
「おはよう。防子。今日からここが、アタシ達の愛の巣よ。」
「ふざけないで!麗綺さんが気を失っているじゃない!そのカテラスをやっつけないと!」
「そいつはアタシの下僕みたいな物だから心配いらないわ。それにあれは寝てるだけよ。」
「でも、ここの人達が麗綺さんを人質にしてるって...」
「だって抵抗するんだもん。だから黙らせただけ。」
「なんでそんなことするの!もう我慢出来ない!麗綺さんを離して!」
防子はシールドカテラスに向かって行ったが、防子のアリツフォンは柔子が持っているので、生身の防子はシールドカテラスのチョップを首筋に当てられ、またもや気を失ってしまった。
「いつになったら、アタシの愛情が理解出来るのかしら...もっと食べ物を持って来なさい!」
「「「はい!ただいまお持ちします!」」」
頼みの綱の防子を失った今、使用人達は柔子に従うしかなかった...。
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