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#32「尽くされる考案者」B

「体術が相手なら、最初から格闘術でやってやる!」


 拳也はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。


[Martial Arts In]


「さて、やろうかしら」


 柔子もアリツフォンにアリツチップを挿し込む。


[Taijutsu In]


 電子音声の後に待機音が鳴る。


「「武着装!」」


 両者は掛け声を言い、二人はCERTIFICATIONの文字をタップした。


[CERTIFICATION. In Charge of Martial Arts.]

[CERTIFICATION. In Charge of Taijutsu.]


再び電子音声が聞こえた瞬間、両者の周りに光が纏い、それぞれアリツシャーマ、アリツジュッタに武着装した。


「泣かせてやるわよ!ハゲ執事!」


「やってみろ!押し付け女!」


「おい!このシールドカテラス様の事を忘れているんじゃねぇだろうな!」


 蔑ろにされていたシールドカテラスが声を張り上げるが、二人には届かず、そのまま勝負を始めてしまっていた。


「こうなったら、ゴリーク共!かかれ!」


「「「「ゴ〜」」」」


 ゴリーク達はシールドカテラスの号令と共に、二人に襲いかかった。

 雷男はアリツハンド、それに対し柔子はアリツシザースで応戦した。二人はゴリーク達を巻き込みながら、自分達の戦いをしていった。


「えぇ...あいつら、ゴリークを倒しながら自分達の勝負を進行してやがる...」



 屋敷では相変わらず、由人が自分の部屋のベッドに布団を被って引き篭もりっぱなしである。拳也は路宇都に体を借りられて、仕事をしている。

 するとノックの音が聞こえた。


「由君...入りますよ?」


 外から愛剥路の声が聞こえ、扉を開いて由人の部屋に入る。由人は扉とは反対の方向に向いている。


「何だ愛剥路?僕は今一人でいたい気分...」


 由人が愛剥路の方を向くと、そこにはメイド服を着た愛剥路が立っていた。身長が高いからかスカートが短いように感じる。


「愛剥路、何その格好は?」


「お姉ちゃんに言われたんです。由君のそばにいて癒してあげてって。それをお嬢様にお話したら、私が防子ちゃんが戻るまで、由君の専属メイドになるように言われて...」


「癒して...愛剥路に今の僕を癒す事が出来るの?」


「ど、どうなんでしょう...?成り行きでメイドになっちゃいましたけど...」


 由人は再び後ろに振り向いて項垂れた。愛剥路は由人のベッドに上がって、布団の上から由人の事を、そっと優しく包み込むように抱きしめた。


「ど、どうでしょうか?」


「う〜ん...分からない...」


 由人にそう言われると、愛剥路は布団をどけて、再び由人の事を抱きしめた。愛剥路の華奢な体が、由人を包み込んだ。


「今度こそどうでしょうか?」


「ま、まぁ確かに癒されるかもしれないけど、僕の傷心は簡単には治らないんだよ!」


「それは、分かっています...だから私がこれから由君を癒やし続けます!」


(防子を取り返しに行くっていう選択肢はないんだ...)


 愛剥路は由人に元気を取り戻してもらう為に、専属メイドになる決心をしたのだった。



 雷男は地に膝が付いてしまっていた。柔子との戦力差は天と地の差がついているほど開いてしまっていた。


「お前、こんなに強かったのか...」


「アタシは仕事をサボっている間、鍛えていたのよ。こうやって超戦士になった時の為に...そして防子に近づく邪魔な奴らを追い払う為にね!」


「でも怒られて、桃江さんに付きっきりにされてたじゃねぇかよ!はっははは!」


「黙れハゲ野郎!」


 柔子はアリツシザースで雷男を切り付けて、地面に倒れさせる。


「痛てぇ!こうなったら...」


 雷男はアリツレッグを発動して、アリツフォンにアリツブレイクチップを挿し込む。


[Break Standby]


画面にブレイクの文字が表示され、タップする。


[Martial Arts Break]


 アリツレッグのブレイクが発動し、空高く飛び上がって宙返りをして、柔子に向かって飛び蹴りをした。そこにシールドカテラスが勢い良くこちらに向かって来る。


「お前ら!さっきから俺様を無視しやがって!こうなったら俺様のこの身体で叩き潰してやる!」


 向かって来たシールドカテラスの身体を掴み、その全身がデカい盾のようなシールドカテラスの後ろに、柔子は身を隠した。


「おい!何を!ってぐがぁ!」


 飛び蹴りはシールドカテラスに命中した。シールドカテラスは盾なだけあって、若干傷はついた物の倒されはしなかった。


「なっ!?カテラスに防がれた!?」


「まさか、無理矢理盾にされなんて思わなかったぜ...!」


「へぇ...さすが全身盾なだけあるわね。気に入ったわ!今日からあなたはアタシ専用の盾ね!これからはアタシの為に働くのよ!」


 柔子はシールドカテラスを自分専用の盾にしようとしていた。


「何を言ってやがんだこの女は。誰がお前なんかに!」


 柔子はシールドカテラスの両膝を蹴った。


「ぐがぁ!」


 シールドカテラスは膝から崩れ落ちるように倒れた。


「ならないなら、膝をずっと蹴り続けるけど?」


 柔子は再び膝を蹴ろうとした瞬間、シールドカテラスは潔く柔子の盾になる事を応じた。


「じゃあ、アタシは防子の所に帰るから。じゃあね、ハゲ執事。」


 柔子はシールドカテラスを手を引っ張って去っていった。


「ひ、引っ張るな!膝が擦れる!」


 雷男はボロボロになった体で、アリツバイクに乗って屋敷に戻っていった。



 柔子はドームハウスに戻り、防子に挨拶をする。


「ただいま〜防子〜元気してた?」


「手足が縛られてるから何も出来ないよ...おかげでおしっこが...」


 防子の周りには黄色い液体が広がっていた。


「そうだったわね。今度からはおむつでも用意しようかしら。」


 そしてシールドカテラスは外に放置されていた。



 夜になり、大浴場では愛剥路が由人と一緒に入浴をしていた。愛剥路の体の局部や乳房が、由人の体に当たり、由人の性器はつい大きくなってしまっていた。


「由君、これって...」


 愛剥路は由人の性器に触れようとする。


「気にするな!さて、そろそろ出ようかな!」


 そう言って由人は勢いよく湯船から上がり、大浴場から出ていった。

 愛剥路は顔を真っ赤にさせながら、風呂の中に沈んでいった。


 就寝の時間になると、由人のベッドに愛剥路が入ってくる。


「一緒に寝るの?防子もここまではしてくれなかったよ。」


「わ、私は由君を癒やしたいので!」


 愛剥路は由人の体をだきしめてると、すぐさま眠りに就いてしまった。


「すぐに寝ちゃった...でも僕を元気づけようとして頑張って疲れたのかな...。」


 愛剥路に迷惑をかけちゃったかな...と罪悪感を感じながら、由人も眠りに就いたのであった。

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