#32「尽くされる考案者」A
柔子に誘拐され、山奥で一日を過ごした防子。食事も就寝もすべて柔子に強制的に任せきりになってしまい、防子の体は重たく感じるようになっていた。
すると一日が経ち、アリツハウスは消滅してしまい、防子達は地面に落下してしまった。
「痛った〜!何で家が消えたのよ!」
「あ、アリツフォンから出現させた物は、一日経つと消えちゃうんだよ...」
「そ、そうなの...まぁいいわ。ここは寒いから、下山してもうちょっといいところに愛の巣を作りましょ。」
柔子は防子をお姫様抱っこで抱えて、下山する事にした。
「えっ...私このまま移動するの嫌なんだけど...」
愛剥路は一日経っても、由人が変わらず元気が出ない事を気にしていた。拳也とは話し合ってはいたけど、元気が出た訳ではない。由人の事を気にするばかりに仕事に手がつかないようになっていた。
「愛剥路、さっきから手が止まっているわよ。」
「ご、ごめん...お姉ちゃん」
愛剥路を気にかける路宇都。路宇都はそんな愛剥路に提案した。
「愛剥路、あなたは由人君のそばにいてあげて。あの子、防子ちゃんを失って病んでるのよ。だからあなたが由人君の癒しになってあげて。」
「えっ、でも...」
「大丈夫よ、ここの仕事ならアタシがやるから。拳也君とかそこらへんの使用人の体さえあれば仕事は出来るからね。」
「それはそれでどうかと思うけど...」
「とにかく!今からこの事をお嬢様に話をつけに行くよ!」
愛剥路は路宇都に従い、未央理にこの事を相談する事にしたのだった。
柔子は下山して万部町の竹林にやって来た。竹が盛んな万部町は、竹林が多く存在する。この竹林はして間もない所に発見した。
「ここなら雪も積もってないし、山奥よりは寒くないから、まだ安心ね。それにしても下山している途中にアタシ達の事をみんなジロジロ見ていたわね」
「手足縛っている人をお姫様抱っこしながら歩いているんだから、当たり前だよ...見られてすごい恥ずかしかった...」
「ここなら、アタシ達の愛の巣に打ってつけって訳ね。」
柔子は防子のアリツフォンを取り出す。
「あら?もう一つ家みたいな物があるわね」
柔子はアリツドームハウスと表示されている文字をタップすると、目の前に白色のドーム型の家が現れた。
柔子は防子を抱えて中に入った。中はキッチンや客間やトイレ等やはり一般的なドールハウスと変わりはなかった。抱えている防子を客間に優しく下ろした。するとアリツフォンから警告音が鳴る。
「なんか鳴ってるわね」
「それはカテラスが出現した事を知らせてくれる警告音だよ」
「ふぅん...まだこの力がどんなものかもっと試したいし、近くだから行っていようかしら」
「私は...」
「防子は危険だから、ここで待っててねー」
柔子はドームハウスから飛び出して、カテラスが出現した現場に向かった。
現場は万部町の公園内、全身が盾のカテラスがゴリークを引き連れて、人々に襲わせていた。そこに柔子が現れた。
「何だお前は?」
「へぇ〜盾の形なんかして、まるで防子みたいね。」
「何を言っているんだお前?」
そこにもう一人、ある人物が現れる。
「おっ、いたぜ!」
それはアリツバイクに乗って来た地盤雷男だった。カテラスの討伐にやって来たが、雷男は柔子の姿を目撃し、柔子に近づいて絡みに行く。
「あっ!柔子!てめぇ、防子ちゃんを返せ!」
「あら、ハゲ執事。あなたも来たの。アタシが相手するから帰っていいわよ。」
「そういう訳にはいかねぇんだよ!防子ちゃんがいなくなって、由人がずっと部屋に引き篭もりっぱなしなんだよ!だから防子ちゃんを返してもらうぜ!」
「あのお飾り男は防子を独占していたのよ。だからアタシが防子からその現状から解放してあげたのよ。だから返すなんておかしいわ」
「てめぇ、それ本気で言ってんのか?勘違いもここまで来ると甚だしいな!なら力づくで取り返させてもらうぜ!」
「ならアンタも戦えなくするしかないわね!」
二人はいがみ合い、戦いの火蓋が切られようとしていた!
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