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#4「考案者の変装実験」A

 彩絵花さんから連絡が入った。アリツフォンが二台完成して確認してほしいから開発室に来て欲しいらしい。ちなみに分野はもう指定済みだ。開発室に行く時は防子に送ってもらうように未央理さんから言われている。...僕が免許を持ってないからだけど。

 防子も僕が最後に出会った時は免許を持っていなかった。防子にいつ免許を取ったか聞いたら、この屋敷に仕えた時だと答えた。免許を取らせてくれるなんていい職場だな〜。

 防子と一緒に表へと出た。


「じゃあ、アレで行こうか。」


 防子が指で指した物は、何とリムジンだった。


「いや、ダメだろこれは!廃小屋にこんなリムジンが止まってたら怪しまれるでしょ!」


「冗談だよ。さすがの私もリムジンなんか運転できるないよ。本当はこっち。」


 もう一度防子が指したのは、白色の軽自動車だった。あんな冗談言うなんて冷や汗が出てくるよ...全く。



 開発室で話を終えた僕達は防子の運転で屋敷への帰路についていた。防子の運転する姿を見て、防子の成長を感じた。

 屋敷へと戻り自分の部屋で僕は防子と一緒に帰り際に博士がくれた段ボールを開封した。するとそこには、変装用スーツと書かれた紙とその変装スーツとカツラが入っていた。紙にはこれでちゃんと成りきれてるかどうか外に出て試して欲しいと書いてあった。

 僕はスーツに着替えるために防子を一旦、部屋の外に出させた。この変装用スーツ、広げると全身が人間のようでありまるで別人のようだった。変装なんだろうか?これは?とりあえずスーツを着て後ろのファスナーを閉めた。...自分で閉めると手が攣りそうだから、次からは人にやってもらおう。

 その姿はものの見事に老人の姿であった。一緒に入っていた白髪のカツラを被るとより一層そう思える。後は服装も合わせれば完璧なんだが、老人の服なんて持ってないからなぁ...とりあえず防子にこの姿を見てもらおう。僕は防子に部屋に入るように言った。


「終わった...ってきゃー!変態のおじいさんがいるー!」


「ちょ、防子!僕だよ僕!由人だよ!」


「えっ!?由ちゃん!?」


「と、とりあえず、外見は老人には成りきれてはいる...のかな?」


「で、でも何で服着てないの?」


「僕、老人の服持ってなくてさ。だからさ、これから買いに行かない?外に出て老人になりきれるかか試さないといけないし。ていうか外出て大丈夫?」


「そ、それは未央理様に言えば大丈夫だと思うけど...その姿で行くの?」


「いや、さすがに最初は元の姿で行くよ。」


 防子は外出許可をもらうために未央理さんの所に行った。しばらく経って防子が戻って来た。


「許可は貰えたけど、老人の姿を見てみたいって。」


「え?でもさすがにあの姿ででるのは...」


「それが、わざわざ用意してくれて...」


 すると防子は未央理さんから支給された老人の服を持って来た。紺色のポロシャツに黒色のズボンであり、僕はスーツに着替えて服を着る事にした。


「あ、そうだ防子。ファスナー上げてくれる?」


「う、うん」


 スーツに着替え、服を着てみるとまさに老人のようにしか見えない姿だった。


「おぉ...服を着るとより一層老人感でるな...」


「おじいちゃんだ...。」


 僕はこの姿を未央理さんに見てもらう事にした。未央理さんの部屋に入ると桃江さんもいたので二人に見てもらうとー


「本当に別人みたいね...流石叔母さんね。」


「こんな物を作ってしまうなんて、やっぱりすごい御方なんですね...。」


 変装スーツで老人の姿になった僕を見て、未央理さんと桃江さんは驚いた様子を見せていた。


「後は、仕草も老人に成り切れば老人に見えるよ。ちょっとお爺さんっぽくやってみてくれる?」


「そうですね...やってみます。ゴホン...あ〜防子や〜飯はまだかの〜。」


「もうおじいちゃんったら、さっき食べたでしょう〜。」


「...こんな感じでどうですか?」


「そうね...まぁ知り合い以外には気づかれない...と思うわ。その姿だったら。」


 まぁ、老人の声なんてそんなに出す機会なんてないからね...。まぁこの町に知り合いなんて屋敷の人達と彩絵花さん達ぐらいだから大丈夫か...。


「防子ちゃんも付き添うなら、着替えなきゃじゃないかしら。」


「そうですね。着替えて来ます。」


 防子が部屋から出ていった。僕はその間に未央理さんに質問をした。未央理さんの家は何の仕事をしているのかを。

 未央理さんのお父様は電気部品会社「分部製作所」の社長を務めており、海外にも支社があるくらいの大きな会社らしい。なので未央理さんが家主をする事になったらしい。ちなみに未央理さんのお兄さんが跡を継ぐとの事だ。

 防子の着替えが完了した。Tシャツにジーパンとカジュアルな服装になった。防子はお爺さんの付き添いという体にするためにこの服装にしたと言い、それを聞いた未央理さんはよりそれっぽくしようと杖をくれた。こうして僕らの変装実験が開始された。

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