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#30「信頼故の失態」A

 由人の義両親を倒した翌日にようやく新たなアリツフォンが完成した。

 紺色のアリツフォンで体術の超戦士になれる物だ。

 今回のアリツフォンはルオマー等の強敵に対抗するために、今までの超戦士よりもスペックを強めに設定している。

 しかし、それを扱う資格者は決まらずにいた。


「う〜ん、誰に渡せばいいんだろうか...」


 由人は資格者を見つける考えが思い付かず、自分の部屋のテーブルで頭を抱えて苦悩していた。そんな由人を防子と雷男が見守っている。今までは屋敷内から見つけていたが、中々見つからない。


「外に出て探すべきかな...?でも、アリツの事は世間的には秘密だし、なにより正体は極力明かしたくないから外にはあまり言いたくない!」


「じゃあ、どうすんだ?」


 すると防子から柔子はどうかと提案される。しかし二人は否定した。由人はサボり癖があって戦闘に積極的では無さそうだから、雷男は暴君な所が個人的に気に入らないからであった。

 じゃあ、他に誰かいるの?と防子に聞かれると、消去法で浮山或輝の名前が挙がった。

 だが防子は昨日にある事を言われたのだ。



 昨日にカテラスによって負傷を負った防子は由人の部屋で眠っていたが、柔子が乱入し、柔子が防子をお姫様抱っこで抱え、無理矢理柔子の部屋へと連れて行かれた。

 防子を自分のベッドで寝かせる。その際に柔子からあるお願いをされていた。


『防子。聞いたんだけど、新たに超戦士になれるスマホを作っているようじゃないの』


『えっ、何で知ってるの?』


『それは別にいいじゃない、それでそのスマホをアタシに譲ってほしいの』


 柔子は次の超戦士に立候補した。しかしそれは防子が決められる事ではない。


『でも、それは由ちゃんがや博士が決める事だから...』


『アタシなら防子を守ってやれる!あんな男共のように、防子をこんな怪我させる真似はしない!』


『ちょ、ちょっと!由ちゃん達の事を悪く言わないで!』


 声を荒げた防子に、柔子はベッドに寝込んで防子を静かに抱きしめて口付けをする。唇を離して柔子は言う。


『少し言い過ぎたわね...ごめんなさい』


『わ、私も大きい声出してごめん...』


『でも、アタシなら由人さん達よりも防子の事を守ってあげられると思ってるわよ。今まで防子の事をずっと見守ってきたんだから。』


 柔子は防子の事をずっと見守ってきた。と言葉にすると大切に思ってくれているように受け取れるかもしれないが、それは見守りと言う名のストーキングである。

 防子が学生時代にバイトに明け暮れるようになってから、防子の行動をずっとストーキングしていたのだ。バイト先も、家庭の事情も、そして分部邸に雇われた事もすべてストーキングして知った。

 なので柔子は防子の事情を説明が出来て、分部邸に雇われる事が出来た。


『だ、だけど私には...』


『由人さんは防子の事を大事に思っているわ。だから、何かと理由をつければ言う事を聞いてくれるはず』


『それって、由ちゃんに嘘つくって事!?』


『アタシにはあまり良い印象をもってないでしょうしね。』


『そんなの嫌だよ!』


『...なら、しょうがないわね。あの事を由人さんに言うしかないかしら。』


『あの事?』


『バイト時代にあった、あの事...』


『...!な、何で柔子ちゃんが知って...』


『ずっと見守って来たと言ったでしょ?これを知ったら由人さん、悲しむでしょうね...由人さんの悲しむ姿...見たい?』


『わ、分かったよ...』



 防子はあまり乗り気になれなかったが、由人には知られたくなかったので、アリツフォンを柔子に渡す事に協力することにしたのだった。

 しかし、二人は或輝に渡す事に決めかねている。

 そこでアリツフォンから警告音が鳴った。防子は仕事が残っていると理由を付けて、由人達には同行しない事にした。由人達は拳也と愛剥路を連れて現場に急行した。

 アリツフォンは分部博士が持っている。防子は分部博士の部屋に向かい、博士の部屋に入る。


「あら、防子ちゃん。」


「あのアリツフォンを渡す人が決まったから、由ちゃんに持って来るように言われました。」


「そうなの。決まったのね。じゃあこれ由人君も所に持っててあげて」


「あ、ありがとうございます...。」


 博士からアリツフォンを受け取る事に成功した。由人に信頼されている事が分かって嬉しい反面、自分のしている行為に心を痛めた。

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