#29「義父を討伐せよ!」B
由人と雷男は由人の部屋のベッドに防子を寝かせた。
「ゴリークめ!防子ちゃんに無理矢理抱きしめて、爆発を誘いやがって!」
「...背中を強く打っただけなのが不幸中の幸いかな」
そして防子は目を覚ました。
「大丈夫か!防子!」
「うん。ちょっと油断しちゃったね。ごめんね。」
「いいんだ。無事ならそれで。防子はこのままゆっくり休んでてくれ。」
「で、でも...」
「父さんは僕が戻すから」
「そうだね。あの優しい叔父さんに戻るといいね。」
『由君。防ちゃん。おじさんとお出かけしないかい?』
一正が由人と防子を連れて初めて出かけたのは、由人が九歳で防子が五歳の時だった。
由人は能野市とは違う所に住んでいて、両親が亡くなり別当町に来てまだ間も無い頃だった。一正は由人が両親を無くしている不安を和らげようとした事とこの町の事を案内したいと思っていたからだ。
防子とはまだ打ち解けてはいなかったために、年齢差のあった防子は由人の事を警戒していた。
一正は二人を色々な所へ連れていってくれた。ショッピングセンターや公園、テーマパーク等とお出かけ定番のと言えるような所だったが、それでも二人は楽しんでくれた。
『ありがとう、おじさん!たのしかったね!よしちゃん!』
『そうだね!さきちゃん!これからもよろしくね!』
「叔父さんがいなかったら、私達は他人同士のままだったかもね」
「そうだね。僕は人見知りだから、父さんがいなかったら、防子とは一生親しくならなかっただろうね。この屋敷で再会したとしても」
「それぐらい二人にとっては、由人の父ちゃんの存在は大きいって訳か」
「そうだ、防子。アリツチップとブレイクチップを貸してくれ。」
「う、うん。良いよ。」
防子は由人にChip (defense)とBreak Chip(defense)を渡した。搭載された新機能を試したいからだ。
雷男に新機能の事をそろそろ説明してほしいと急かされ、説明しようとすると、ドアを強く開ける音が聞こえた。
「防子!怪我したって聞いたけど大丈夫!?」
入って来たのは、シュッと痩せているタレ目をしているメイドだった。
「雷男、こんなメイドの人屋敷にいたっけ?」
「柔子だよ」
由人は驚愕した。このメイドは防子にお熱のメイドである固山柔子だった。
柔子はぽっちゃりとしてタレ目な愛嬌のある顔が特徴のメイドだったのだが、しばらく見ない内に痩せており、かなりの美人になっていたのだ。
「柔子ちゃん...しばらく見ない内に変わったね...」
「そんな事より、何で防子がこんなに怪我を負ってるの!」
由人は柔子に防子が怪我をした状況を説明した。それを聞いた柔子は激怒した。
「アンタ達が防子を見てないからこういう事になったんじゃないの!この役立たず男共!」
容姿が変わっても、暴言を言う所は変わってないなぁと由人は思った。
「お前は愛嬌があるのは顔だけで、中身は本当に暴君な女だな!」
「何ですって!こんな部屋に防子を居させる訳にはいかないわ!」
柔子は防子をお姫様抱っこで抱えて、由人のベッドから離れさせる。
「防子〜アタシと一緒におねんねしましょうね〜」
「柔子ちゃん、私は一人でここで大丈夫だよ。」
「こんな汚らわしい部屋より、私の部屋の方が綺麗だから、そこで寝ましょうね〜」
まるで園児に話しかける保母のような口調で防子に話しかけながら、部屋を出ていった。
「いいのか由人?連れて行っちゃって」
「まぁ、柔子ちゃんも防子の事を心配してる訳だから、一緒にいたいんだと思うけど...この部屋汚い?」
「それはただの嫌味だから気にしなくていいぞ」
アリツフォンから警告音が鳴り響く。二人は今度こそ元に戻すと意気込み、アリツバイクで現場に向かった。
現場である本外町の住宅街では、人々がベアーカテラスを携帯で撮影していた。そこに本外長の警察車両がやって来る。それと同時に由人達も到着する。
出て来た警官達は、竹槍と刺股を持っていた。それでベアーカテラスに突撃しようとしていた所だった。
「ちょ、ちょっと!それで何しようとしてるんですか!」
「死にてぇのか!?ポリ公共!」
警官達は捨て身の覚悟で突撃しようと考えていた。二人は能野町の警官達の事を説明した。それを聞いた警官達は血の気が引いてしまっていた。
「お巡りさん達は、町の住人達に避難を呼びかけて下さい!」
「俺達は超戦士を連れて来るからよ!」
警官達は人々に避難するように呼びかけて、その場から人々はいなくなった。
二人は物陰に隠れて、アリツフォンにアリツチップを挿し込む。
[Weapon In]
[Mechanical In]
電子音声の後に待機音が鳴る。
「「「武着装!」」」
掛け声を言って、二人はCERTIFICATIONの文字をタップした。
[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]
[CERTIFICATION. In Charge of Mechanical.]
再び電子音声が聞こえた瞬間、二人の周りに光が纏ってアリツウエッパー、メカニッカーに武着装した。
由人は速攻でアリツガンのブレイクを発動して、四発のエネルギー針弾を撃つ。しかし当たった瞬間に砕けてしまった。
雷男はアリツマグナムのブレイクを発動して、ビームを発射するが、これもベアーカテラスには効かなかった。
「やっぱり、近距離で倒すしか無さそうだぞ!」
「そうだ!アリツハジキで動きを止めるしかない!」
「でも、それはシーリアの能力だろ?防子ちゃんいないから使えないじゃん!」
「そうだ、こういう時の新機能だ!」
由人はアリツフォンのアリツチップを外し、Chip (defense)をアリツフォンに挿しこんだ。
[Defence In]
電子音声の後に待機音が鳴る。
「カテゴリーチェンジ!」
掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。
[CERTIFICATION. In Charge of Defence.]
再び電子音声が聞こえた瞬間、額のマークがシールドのマークに変わり、由人はアリツシーリアになった。
これがアリツフォンの新機能「カテゴリーチェンジ」。対象のアリツチップがあればその超戦士へと変わる事が出来る機能だ。ただしアリツブレイクチップも同一の物じゃなければ、必殺技が発動出来ない。
「えっ?じゃあこれって、由人は今はアリツシーリアになったって事か?」
「そういう事になるね。」
シーリアはアリツソードを出す。そして、アリツハジキを発動してベアーカテラスに近づいていく。
「グオォォォォ!」
ベアーカテラスが引っ掻き攻撃をすると、シーリアは身を引き、弾き上げるとベアーカテラスはその場で硬直した。
「グオア!?」
シーリアはアリツソードにBreak Chip(defense)をアリツソードに挿し込む。
[Break Standby]
電子音声が聞こえた後に待機音が鳴り、トリガーを引く。
[Defence Break]
アリツソードのブレイクが発動して、ベアーカテラスを真っ向に斬った。
「ゼイアァァァ!」
「グオアァァァァ!?」
ベアーカテラスは倒れて一正の姿に戻った。シーリアは由人の姿に戻って一正に駆け寄り、良香の時と同様に静かに一正を抱きしめた。そしてまた、静かに寝かせた。警察と救急車を呼んで、二人は屋敷に戻っていった。
由人は屋敷に戻ると、防子が出迎えてくれた。
「防子...大丈夫なのか?」
「これぐらい平気だよ!それで、叔父さんは...?」
「とりあえず人間には戻ったよ...」
「よ、良かった。」
由人は防子を抱きしめた。
「よ、由ちゃん?」
「もう、防子だけだよ。僕を支えてくれるのは...防子の事は何があっても、僕が守るよ。」
この言葉を聞いた防子は嬉しくなると同時に胸を痛めた。
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