#27「奇襲訓練」B
三人は中庭に放り出された。
「何なんだこの屋敷は!アンタら一体何が目的だ!」
すると青い忍び装束を着た忍者が前に出た。
「すまないな。奇襲してしまって、環助さんに頼まれてね。」
「頼まれた?」
「私はこの屋敷の主の静動 道夫だ。君達が咄嗟に奇襲に対応出来るか試す様に言われてね。」
環助は三人をさらに強くする為にこの忍者屋敷を紹介したのだった。
「か、環助さん...ハメやがったのか...」
「そうだ!あの人の忍法は何なんですか!」
拳也は赤い忍び装束の若い女忍者を指刺して言った。
「忍法とか言いながらバリバリ道具を使って来たんですけど、インチキ何じゃないですか!?」
「だって、私は忍法使えませんし...」
忍法は使えなかった。忍法を使えないのは女忍者だけで、ほかの忍者は使えるらしい。そして忍具も本物であり、手裏剣や苦無、まきびしは本格的な物だ。
「じゃあ忍法って言わない方がいいですよ?バカみたいに思われますので」
「しかし道具だけは一丁前だな。」
「君達は奇襲に気づく事は出来たが、対応するのはまだまだのようだな。そんな事では人間に化けた敵にやられてしまうぞ!」
「いや、俺達そんなつもりで来た訳じゃないし!」
「その考えが甘いんだ!」
「でも、この人が言うのも一理あるかもしれない...」
道夫と話している中、空から紫色の忍び装束を着た忍者が着地してこちらに向かって来る。
「あの人もここの忍者ですか?」
「い、いや違う!」
紫の忍者は爆弾を持ち、由人達に向かって投げる。そして由人達は吹っ飛ばされた。するとそこにルオマーが現れた。
「本当に奇襲に遭うとは...」
「ルオマー!じゃあその忍者は!」
紫の忍び装束だと思っていた物は体色であり、この忍者はルオマーが用意したニンジャカテラスであった。
「さっき、そこにいた忍者をカテラスにしたのだ。ここら辺にカテラストーンの微々たる反応を察知してな。」
ルオマーは女忍者のぶら下げているアステロイド状の石が目に入った。
「女!その石を俺様に渡してもらおう!」
ルオマーは女忍者に向かってゆっくり近づいていく。
三人はアリツサポートメカ(昆虫)をそれぞれ出現させて剣型三体、銃型三体の計六体をルオマーに襲わせる。
「ええーい!うっとおしいハエだ!」
「ハエじゃねぇ!昆虫だ!」
三人はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。
[Weapon In]
[Martial Arts In]
[Mechanical In]
電子音声の後に待機音が鳴る。
「「「「武着装!」」」
掛け声を言って、三人はCERTIFICATIONの文字をタップした。
[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]
[CERTIFICATION. In Charge of Martial Arts.]
[CERTIFICATION. In Charge of Mechanical.]
再び電子音声が聞こえた瞬間、二人の周りに光が纏ってアリツウエッパー、シャーマ、メカニッカーに武着装した。
「「「「「ゴ〜」」」」」
ルオマーはゴリークを呼び出した。今回のゴリークは白い忍び装束を着ている。
「ゴリークも忍者の格好してるのかよ!ていうか全身白いのに白いの着てたら分かりにくいわ!」
ゴリークはこちらに襲いかかって来る。すると道夫率いる屋敷の忍者達がゴリークに応戦し始めた。
「ここは私達に任せて、君達はあの化け物を!」
忍者達は火炎の術で火を出してカテラスを燃やしたり、風来の術で大風を起こしてカテラスを吹っ飛ばしていった。どうやら忍法を使えるのは本当のようだ。
「何だこのよだれを垂らした奴は!」
一人の忍者がよだれを垂らしたゴリークを見て驚く。
そのゴリークは刺激を与えると爆発するとウエッパーが忠告すると、忍者は離れた所で水の術を使って水を勢いよく放出してゴリークに当てて、ゴリークを爆発させた。
ウエッパーはニンジャカテラス、シャーマとメカニッカーはルオマーにそれぞれ攻撃を仕掛ける。
ニンジャカテラスは苦無を持って襲いかかる。ウエッパーもアリツクナイで応戦する、しかしこの手応えに覚えを感じた。
「まさか、このカテラスは!」
このカテラスは由人に苦無で襲いかかって来た忍者であった。まさかと思ったウエッパーはアリツシュリケンを投げる。
そしてさっきと同じようにニンジャカテラスは木の形をした身代わりを使った。ウエッパーが身代わりを転がすと、後ろにジッパーがあり、開けるとニンジャカテラスが入っていた。
ウエッパーはアリツガンを出して乱れ撃ちにした。ニンジャカテラスはその場で倒れた。
ウエッパーはアリツフォンにアリツブレイクチップを挿し込む。
[Break Standby]
画面にブレイクの文字が表示され、タップする。
[Weapon Break]
ブレイクが発動してアリツクナイが輝き、倒れているニンジャカテラスに交差して勢いよく斬りつけた。
「ゼイアァァァァ!」
「ニンジャーー!」
ブレイクを受けたニンジャカテラスは忍者の姿に戻って気を失った。ウエッパーはすぐに二人の元に向かった。
シャーマとメカニッカーは案の定苦戦していた。
すると、ルオマーの刃が輝き始めた。
「秘技!ルオマースラッシュ!」
刃を振ると爆発し、二人は吹っ飛ばされて地面に倒れる。
ルオマーは女忍者の元に両手を広げて近づいていく。
「さあ、女!早くこちらに渡せ!」
「こ、これは私の大切な物なの!」
「ならばお前ごと貰っていくぞ!」
ルオマー女忍者を抱き締めようとするように近づいた。
すると、そこにウェッパーはアリツガンでブレイクを発動して針弾を撃ち、ルオマーの両手足に命中した。
「何だこれは?フン!」
ルオマーが踏ん張ると、針弾は粉々に砕けてしまった。
「なっ!?破壊された!?」
ルオマーは再び女忍者に近寄っていく。
目の前まで移動して抱きしめようとすると、シャーマが起き上がり、女忍者を庇って身代わりになった。
「むぅ...青い超戦士を抱きしめてしまったか...ならばこのまま締め殺してやる!」
ルオマーはそのままシャーマにベアハッグを仕掛けた。両手の刃が脇腹に食い込む。
「何でお前等は人間を襲う...共存の考えはないのか?」
「そうだな...全人類が俺様のサンドバッグになるなら考えてやってもいいぞ?ガハハハハハ!」
「それは共存とは言わない!奴隷だ!」
シャーマは体を後ろに仰け反らせると勢いよく前に倒れて、ルオマー顔に頭突きを喰らわせた。
シャーマは事前にアリツヘッドを発動させて、自身の頭の強度を強化させていた。
「グォワ!?」
「どうだ!ヘッドバットのお味は?」
ルオマーから青い体液のような物が流れる。ルオマーはシャーマを右手の刃で薙ぎ払い、女忍者のぶら下げている石の紐を引きちぎって強引に奪った。
「きゃ!?」
「カテラストーンは手に入れた。次に会った時はお前を亡き者にしてやるからな!」
ルオマーはその場から姿を消して退散した。三人は武着装を解いて、女忍者やカテラスになった忍者の元に向かう。
カテラスになった忍者は病院に運ばれた。道夫は三人に言う。
「私もまだまだのようだな、奇襲に気づけなかった上に仲間が化物になった事に気づけなかったなんて...」
「それは...」
「私ももっと修行に精進しないいけないな!」
「そうだ!あんたも強くなった方がいいぜ!」
「よく偉そうに言えるよ。まきびしを普通に踏んだくせに」
「拳也だって、インチキ忍法に手こずってたくせに!」
「二人共、こんな時に喧嘩しない!」
三人は屋敷に戻っていった。今回のルオマーの強さを見て、由人は新たに超戦士の増員を決意したのであった。
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