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#26「退職パーティー」A

「あのさ、アリツって強化形態とかないのか?」


 昼食中にふと、雷男は由人にこんな事を聞いてきた。今日の昼食はハンバーグ。


「このシステムはそれぞれに分野の物が使えるのが特徴だから...今のところは考えてないかな...」


 確かにヒーローと言えば強化されるのは定番だ。あるヒーローシリーズでは、本筋の話が終わった後にも強化されるヒーローもいる。中には二、三形態を強化するヒーローもいる。

 しかし、アリツの超戦士は様々な道具や能力が追加され、幅広くその相手に対応する事を強みとしている。


「じゃあもし、俺たちで倒せなかったらどうするんだ?」


「そしたら、また超戦士を増やすしかないかな...」


 しかし超戦士個人を強化するのも悪くないと由人は同時に考えた。しかし、そこは状況に応じて対応する事だろう。防子の作ってくれたハンバーグを口に運びながらそう思った。


 昼食を食べ終え、しばらく時間が経った後に防子が部屋に入ってくる。


「由ちゃん。明日、育鈴さんがメイド辞めるって知ってる?」


 由人は突然の知らせに五秒間静止した。砂浜育鈴が明日をもって分部邸のメイドを退職するという知らせだった。理由は旦那と一緒に飲食店を経営するとの事だ。


「まぁ、育鈴さんの料理は美味しかったからね。」


「由人が知らなかったって事は使用人にしか知らせてないのか。」


「育鈴さんは私にメイドの仕事を一から教えてくれたの。」


「そういえばそうだったな。」


「それに退職した後はお店を開くから景気付け、そして送別会として退職パーティーをしたいと思ってるの!」


「「退職パーティー!?」」


 二人はつい同時に声を荒げてしまう。


「退職する人にパーティーなんているの!?」


「それは俺も聞いてないぞ!?そんなの困るんじゃねぇのか!?」


 反論をする二人に対して防子は、もう未央理には許可を取ってあると言った。そして育鈴本人にも知らせ済みだと言う。育鈴も旦那も連れてくる予定らしい。


「だ、旦那さんも来るんだ...」


「あの外見がチャラそうな旦那さんか...写真しか見たことないから、会うのは初めてになるな」


 今日これからやる事は、明日の退職パーティーに向けて準備をする事になった。防子と拳也はパーティーに向けて食材を買いに出かけた。

 由人は拳也の部屋に行って、拳也にパーティーの事を知らせた。拳也もパーティーの事は知らなかったようで驚いた様子だった。


「まぁ、僕も育鈴さんにはお世話になりましたからね。退職すると聞くと淋しくなります。」


「まぁ、そうだよね。」


「それにしても仕事を辞める時はパーティーを催す物なんですね」


「い、いや〜ご、ごく稀だと思うな〜...」


 防子と雷男はNOUYA MARKETでパーティーの買い出し中にアリツフォンから警告音が鳴った。


「買い物は中断だな。」


「しょうがないけど...タイミング悪いよ...」


 買い物カゴに入れた品物を元の位置に戻して、二人は現場に向かった。と言っても現場は目の前の駐車場である。


(ここも結構カテラスが出るよな)


 雷男がそう思っていると、ウエディングケーキに手足が生えたようなカテラスが人々を追い回していた。


「喰らえ!ケーキビーム!」


 ビームを撃てれた人々はショートケーキやチョコレートケーキ、モンブランに変わってしまい、ケーキカテラスはどこからか取り出した赤色のクーラーボックスにケーキを収納した。


「人間をケーキに...」


「そのケーキをどうするつもりなの!?」


「人間共をこのケーキカテラスがケーキに変えて、ルオマー様とノイター様に献上したりするのさ!」


「そんな事はさせないよ!」


(あいつらってケーキ...というか人間の食べ物とか食うのか?)


 二人はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。


[Defence In]

[Mechanical In]


電子音声の後に待機音が鳴る。


「「武着装!」」


掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。


[CERTIFICATION. In Charge of Defence.]

[CERTIFICATION. In Charge of Mechanical.]


再び電子音声が聞こえた瞬間、二人の周りに光が纏い、シーリア、メカニッカーに武着装した。


「ゴ〜」


 するとケーキカテラスはゴリークを呼び出した。

 二人はアリツソードを取り出し、メカニッカーはさらにサポートメカ(昆虫)を出現させて、ゴリーク達を倒していく。

 ゴリーク達を倒している隙にケーキカテラスはケーキビームをシーリアに撃ち込んだ。メカニッカーがシーリアを呼びかける。

 気づいたシーリアはアリツフォンを取り出して、アリツリフレクトを発動した。

 するとシーリアの目の前に丸型の透明な壁のような物が現れた。ビームは反射してケーキカテラスに当たり、ただのウエディングケーキになった。


「後はこのケーキを真っ二つにして、買い物の続きだね。」


 シーリアがケーキに近づくと、ケーキカテラスが元の姿に戻ってしまい、シーリアは驚いて腰を抜かしてしまう。


「もうケーキなんだから効く訳ないだろう?喰らえ!ケーキビーム!」


「いやぁぁぁぁ!」


 至近距離でビームを撃たれたシーリアは抹茶ケーキに変えられてしまった。


「さて、ここはこのぐらいにして一旦失礼するよ」


「ま、待て!防子ちゃんを返せ!」


 ケーキカテラスは生クリームに包まれて、その場から姿を消した。

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