#25「メイド長の帰省」A
能野町の下の位置にある隣町、本外町。この町は分部邸でメイド長をしている大類桃江の故郷である。
今日は桃江がその故郷に帰省しているのだ。桃江の実家には息子が住んでおりその様子見として帰省する事になった。
その帰省に分部拳也と蔵馬路宇都、愛剥路姉妹も同行していた。実家に着くなり、二人と一個は外で待機している事になっていた。
「何でアタシ達が爺さん婆さんの実家に来なくちゃ行けないのよ!」
「まぁ、路宇都さんそんなカッカしないで...怒るとシワが出来ますよ。」
「ヘルメットにシワなんて出来ないわよ!」
「おぉ怖い...カテラスがいつ出るか分からないから護衛として来てほしいって頼まれたからね。」
「最近は由君達ばかり戦ってますからね。由君達も休ませないとですからね。」
「僕もまだ復帰したばかりだし、頑張らなきゃ!」
「それで?何でアタシ達は外で待ってなくちゃいけないのかしら?」
「さ、最初は家族水入らずで話をしたいんじゃないかな...?」
家の中では桃江がボサボサ頭のスウェット服を着た息子の育郎と居間で座布団で座りながら話をしていた。育郎は幼い頃に柔道をやり始め、それから一貫して柔道に励み、ついには自分の道場を持つようになった。名前は大類柔道場。
しかし道場が取り壊されてしまったので、実家を道場にして現在に至る。育郎は今年でになるが、未だに独身で結婚をする気が一切ないのだ。それを心配していたのも帰省の理由の一つである。
「育郎...そろそろ相手を見つけた方がいいんじゃないの?」
「またその話か...余計なお世話だって言ってるだろ?母ちゃん。」
「でもお母さん心配なのよ」
「母ちゃんだって離婚してるじゃねえかよ。」
桃江も結婚をしていたが、メイドの仕事で夫婦の時間が少なくなってしまったため、離婚してしまっているのだ。なので心配だけして、あまり強制する言い方は出来なかった。
「俺は柔道一筋で行くんだよ。強いて言うならこの柔道着が結婚相手だ!俺は柔道を愛しているんだよ!」
「わ、私はそんな馬鹿げた事を言う子に育てた覚えはありません!」
「子は知らない所で成長するもんさ!とにかく俺は結婚は考えてないからな!」
育郎は立ち上がり、道場の方へ行ってしまった。
桃江は外に出て拳也達の所にやって来た。そして息子との話を内容を拳也達に話した。
「そうですか、結婚の話を...」
「アッハハハハハ!柔道着が結婚相手って!アッハハハハハ!」
路宇都は笑いながら、操縦のおかしい飛行機ラジコンのようにふらつく様に浮いている。
それを聞いた愛剥路は笑っちゃ失礼だよ!と路宇都を叱った。
離婚していて強く言えない桃江。桃江は拳也に助けを求めた。しかし結婚は愚か恋人も出来た事がない拳也にはどうする事も出来なかった。
「じゃあもう本当に柔道着と結婚すれば?って言ってみればいいんじゃない?それでどう出るかよね?」
「それを言う母親...僕だったら嫌だな。」
「私も...」
路宇都のふざけた提案に、桃江はなんと乗っかってきたのだ。二人は驚愕した表情を見せた。
育郎は道場に入り、特訓を開始しようとしていた。この大類柔道場の生徒は十人程で小さい子供から、中年まで幅広い世代の人たちが通っている。特訓の前の準備運動をしている所に茶色い影が忍び寄る。
家に入ってお茶をしようとしていた二人のアリツフォンから警告音が鳴る。現場を示す場所なんとこの場所だった。その時、家の奥から悲鳴が聞こえた。四人はすぐさまに家の奥に入った。
家の奥に行くと、ルオマーが柔道着を着た育郎の胸ぐらを掴んでいた。生徒達は怯えている。
「育郎!」
「ルオマー!その人を離せ!」
「あの人が育郎...髭が濃くて胸毛が飛び出してて、いかにも浮浪者みたいだわ!結婚なんて出来そうな感じしないわね!」
「お、お姉ちゃん?今日はきつい事言い過ぎじゃないかな...?」
「こんな所にもいるとは、流石だな。超戦士共。」
ルオマーはカテラスエレルギーを育郎に押し込み、育郎はカテラスに変貌した。
「い、育郎...」
「お前も人間をカテラスに出来るのか...!」
「さて、行くぞ...ジュウドウカテラス。ゴリーク!」
ルオマーはゴリークを呼び出し、その場からジュウドウカテラスとなった育郎と共にその場から姿を消した。
桃江は生徒と一緒に外に避難した。
二人はアリツソードを取り出して、ゴリークの撃退を始めた。ゴリークだけなら武着装しなくても撃退出来る程に成長していた。路宇都も自身で突進してゴリークを撃退する。
そして全てのゴリークの撃退を完了したのだった。
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