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#23「カテラスの作り方」B

 数時間後、一刻も早く親子を安心させるために、三人は強盗を捕まえるために別当町に向かう事にした。

 他人の家で暴れていた奴が町を逃走していると知った三人は居てもたってもいられなかった。

 町へは防子の運転で向かう事にした。出発しようとすると、宝上夫婦がこちらへとやってくる。


「私たちも連れていって下さい!」


「いや、それはいくらなんでも...」


「どうして家を襲ったのか、知りたいんです!それに強盗にも文句の一つも言いたい!」


(結構、強気だな)


「それに、詳しい場所も分からないかと思いまして」


「あっ、そういえば分からないかも」


「しょうがない。それじゃあ連れて行くしかないか。雷男、お前は達夫君の見守るために屋敷で留守番だ。」


「なんか俺、留守番ばっかりじゃね?」


 雷男は屋敷に戻り、由人と宝上夫婦を乗せた防子の車は出発した。

 宝上親子が住んでいるのは別当町の真ん中ぐらいの所だ。

 ちなみに由人が一人暮らしをしていた所は能野町の近くの場所にあり、由人と防子の実家は反対に能野町から大きく離れ場所にある。

 出発して四十分、目的地に到着した。四人は車から降りる。

 左右に家が並び建っている住宅街。もしかすると宝上家以外にも被害にあった家庭があるかもしれない。

 最初に宝上家に訪れる事にした。赤色の屋根が特徴な普通の一軒家であり、高価な物があるようには見えない。

 中に入ると、食器は割れ散らかり、クローゼットやタンスは倒されており、酷く荒らされていた。


「こんな事になっているとは...」


「こ、こんなのいくらなんでも酷すぎるわ!」


「災害が襲ってきた後みたいになってるね...」


「相当、力の強い強盗みたいだな...」


 家を出て、周辺を歩いていると倒れていた人を発見した。倒れていたのは地元の警察官だった。

 すぐさま由人は警察官に駆け寄り、安否を確認する。


「大丈夫ですか!?一体何が!?」


「し...白い顔が...襲って...」


 そういうと警察官はパタリと気を失ってしまう。由人は警察官を塀にもたれさせた。


「キャー!」

「ワー!」


 向こうから悲鳴が聞こえ、四人はすぐさま向かう。向かうと白い顔をした複数の強盗と思わしき奴らが、家から出てくる姿があった。


「「「「ゴ〜」」」」


「こ、こいつらです!あの顔!私達の家を襲ったのもこいつらの仕業です!」


 由人達は驚愕した。強盗の正体は人の服を着たゴリークだったのだ。

 由人はゴリーク達に向かって、拳をお見舞いした。

 防子は被害にあった家に入ると住人である夫婦が倒れていた。


「何なんですか、こいつらは!?」


「人間を滅ぼそうとする奴らです。こんなの相手によく逃げられましたね」


「私達も死にもの狂いで逃げてきたものですから...」


 するとアリツフォンから警告音が鳴り、後ろを振り向くと、白くて凛々しい見た目の怪人と大量のゴリークの姿があった。


「お前がこの町をゴリークに襲わせたカテラスか!」


「な、何だか普通のカテラスよりも強そう...!」


「私を普通のカテラスと一緒にするな。私はカテラスを長の一人、ノイターだ。行け!ゴリーク達よ!」


 白い怪人はノイターと名乗ると、四人にゴリークを襲わせるように指示する。

 宝上夫婦を安全な場所に避難するように指示し、二人はゴリークを倒す事に専念した。戦い慣れした二人は武着装をしてない状態でもゴリーク達を倒せるようになっていた。

 ある程度ゴリークを倒した二人は武着装する事に。

 二人はアリツチップをアリツフォンに挿し込む。


[Weapon In]

[Defence In]


電子音声の後に待機音が鳴る。


「「武着装!」」


掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップする。


[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]

[CERTIFICATION. In Charge of Defence.]


再び電子音声が聞こえた瞬間、二人の周りに光が纏い、アリツウェッパー、シーリアに武着装した。

 そして引き続きゴリークを倒す事にした。二人はアリツマグナムを出して、次々とゴリークを倒していった。


「全員倒したか?後はノイターとか言う奴だけだ!」


「あ、あれ?どこにもいないよ?」


 すると塀から、宝上夫婦を捕らえたノイターが姿を現した。


「あっ!?いつの間に!?」


「卑怯な奴め!その人達に何する気だ!」


「こいつらを怪我させたくなかったら、おとなしくー」


 すると一体のゴリークがアステロイド状の石をノイターに渡した。


「ふむ、目的が達成されてしまったな。もうこいつらは必要無くなったな。」


「だったら、さっさと離せよ!」


 ゴリークは近くにあったゴミ捨て場から二枚の紙を持ってきた。ノイターは禍々しいエネルギーを手から浮かび上がらせ、そのエネルギーを二枚の紙ともに宝上夫婦の体の中に押し込んだ。


「「あ、あぁぁぁぁぁ!」」


 二人は全身が紙の形をしたカテラスに変貌した。


「ウ、ウゥゥゥゥ」

「ア、アァァァァ!」


「そ、そんな...」


「宝上さん達が、カテラスに...」


「さて、私はここで失礼させてもらう。君達はそのペーパーカテラス達の相手をしているといい。」


 ノイターは煙を纏い、その場から一瞬で姿を消した。


「ふざけるな!元に戻せ!ノイター!」


 ペーパーカテラス達は紙で出来た剣を持ち、二人を襲い始めた。二人は何も抵抗出来ないまま、攻撃を受け続けた。


「や、やめて下さい!宝上さん!私達が分からないんですか!」


「もう二人に意思はないのか?」


 ペーパーカテラス達が剣を振り翳して、吹っ飛ばされるウエッパー。

 カテラス達は細長い紙を出してシーリアに紙を巻きつける。紙は何重にも巻かれており、巻きつける威力を強めていく。


「く、苦しい...!や、やめて...!」


 シーリアが苦しむ姿を見て、躊躇が無くなったウエッパーはアリツフォンを取り出し、アリツブーメランを出現させた。

 ブーメランを投げて、シーリアを巻きつけていた紙を切り、カテラス達にもダメージを与えた。

 シーリアはその場に倒れてしまった。


「大丈夫か!防子!」


「う、うん。なんとか」


 防子を苦しめた奴はどんな奴でも許せなかった由人は、カテラス達に止めを刺す事を決意した。

 アリツフォンにアリツブレイクチップを挿し込む。


[Break Standby]


 アリツフォンに表示されたBreakの文字をタップする。


[Weapon Break]


 ブレイクを発動すると、アリツブーメランは光輝いた。ウエッパーはブーメランをカテラス達に向かって力強く投げた。


「ゼイアァァァァァ!」


 ブーメランはカテラス達を切り刻んだ。


「「ゴアァァァァァァ!?」」


 カテラス達はその場で倒れ、元の宝上夫婦の姿に戻った。


「由ちゃん...」


「い、いつも通り警察と救急車を呼ぶんだ...。」


 防子は警察と救急車を呼び、二人はその場を後にした。しかしいつもと違い、切ない気持ちになっていた。

 目の前で普通の人間が異形の存在に変えられたのを目の当たりにしてしまい、罪悪感を実感した。


「あんな風に人間を変えてたんだね...」


「...ああ。」


 屋敷に戻ると、雷男と達夫が二人の元にやって来る。


「どうやらカテラスだったみたいだが、どうだった?」


「ああ、カテラスの長を名乗るのがもう一人いた。ノイターって言ってたな。」


「ルオマーだけじゃなかったのか...」


「父ちゃんと母ちゃんは?」


「え、えっと...怪我しちゃって病院に...」


 そう言うと達夫は、下を向いて泣き出してしまった。カテラスになって倒されたと言う事は二人は口が裂けても言えなかった。

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