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#22「大切な幼馴染」B

 スピアーカテラスとの戦闘後に気を失って気絶してしまった由人。目が覚めると自分の部屋のベット寝込んでいた。その横には防子の姿が。


「由ちゃん大丈夫!」


「防子が僕を運んでくれたの?」


「そうだよ!仕事を中断して来てみたら、由ちゃんが倒れててそれを守ったら急に倒れてびっくりしたんだよ!」


 由人は恐怖で動けなくなった自分を恥じた。その上に気を失って、自分が守るべき大切な幼馴染に助けて貰って益々自分が情けなく感じた。

 ベットから腰を起こし、恐怖のあまりに悲痛な思いを防子に漏らしてしまう。


「僕は...年齢を重ねて、大人になって働き始めて、超戦士になって、自分は立派に変わっているんだ。成長しているんだ。...そう思っていたんだ。」


「...うん。私も由ちゃんは成長してるとそう思うよ。」


「でも実際そんなことはなかった...不安になると、怖気づいて、体が動かなくなって」


「そ、それは...」


「僕は何も変わってなかったんだ!不安になったら怖気ついて動けなくって!泣いて!腰抜け呼ばわりされて!しまいには守るべき大切な幼馴染に助けてもらって!本当に情けない!」


 そう言ってすすり泣いてしまった由人を、防子は優しく抱きしめた。


「さ、防子?」


「気負いすぎだよ。もし私も同じ事になったら、私も絶対落ち込むし、何なら由ちゃんより落ち込むかもしれない...。」


 防子はそう言いながら由人の頭を撫で始め、由人も防子の事を抱きしめてた。


「変わってないって言うけど、私は全然そんなことないと思うよ。それにしても由ちゃんが私の事を大切に思ってくれてたなんて...私、すごく嬉しい...。」


「だ、だって防子は僕のずっと一緒にいてくれる、大事な幼馴染だから...」


「そんなに言われると、顔が真っ赤になっちゃうよ。」


「ご、ごめん」


「嬉しいからいいよ。でも私だって由ちゃんの事、大切な幼馴染だと思ってるんだからね?だから私の事をもっと頼ってもいいんだよ?...今日は一緒に来れなかったけどね。」


 まさか防子もそんな事言ってくれるなんて。由人はその言葉を聞いて、内心驚きつつも嬉しく思っていた。


「まさか防子にそこまで言われるとは思わなかった。」


「幼稚園からずっと一緒だもん。大切な存在にならない方がおかしいよ。」


 防子は由人の肩に寄り添い言った。


「だからもう気負わないで。もし、また落ち込んじゃったり、悔しい事が会った時は私がいつでも励ましてあげる。だから元気だしてね。」


「...ありがとう防子。僕は防子のような寄り添って、励ましてくれる大切な幼馴染がいるのは幸せな事かもしれないね。」


「もう、そんな事言われたら顔だけじゃなくて全身が熱くなっちゃうよ。」


「それは大変だね。言うのはこれぐらいにしておくよ。」


 由人は防子の励ましのおかげでさっきまでの項垂れた姿とは一変し、スピアーカテラスに一刻も早くリベンジを果たしてみせるという強い闘争心があった。


 翌日ー

 由人は手伝いをしながら、常にスピアーカテラスが現れないか気を張っていた。庭には今日も刺股の訓練が行われている。

 するとアリツフォンから警告音が鳴る。


「よし、今度こそ...えっ!?なんか場所が近い!」


 するとスピアーカテラスが屋敷の塀を飛び入って、庭に侵入してきた。


「そこの二人、中々の腕があると見る。是非手合わせ願いたい。」


 スピアーカテラスは大類姉弟に挑戦を申し込んできたのだ。姉弟は戸惑っている。

 由人はすぐにアリツウエッパーに武着装し、スピアーカテラスの前に姿を表す。


「スピアーカテラス!桃江さんと環助さん達に何をしている!」


「なあに、腕がありそうだから手合わせを申し込んでいたのよ」


「その前に僕がお前を倒す!」


「ほう、先日、腰を抜かしたお主がか?」


「昨日までの僕と一緒にしない事だ!」


「ほう...先日とは違い、闘争心が漲っているな。」


 ウエッパーはアリツスピアーを出現させてスピアーカテラスに挑む。

 ウエッパーは先手必勝に突きを放つ。しかし見事に躱され、相手もその隙に突きを放つが、ウエッパーもこれを見事に躱す。

 相手に確かに違うということを見せつけ、応戦していく。

 相手の突きを防ぎ、自分の突きが防がれ応戦していく中、相手の本気の突きが放たれ、ウエッパーは吹っ飛ばされてしまう。

 戦闘を見ていた大類姉弟は急いで屋敷内にカテラスが出た事を呼びかけた。

 吹っ飛ばされたウエッパーは、先日同様に槍の先を目の前に突きつけられ、追い詰められてしまう。

 すると防子がその光景を目撃してしまう。


「由ちゃん!」


「先日よりは勢いがあったが、一歩及ばなかったな。では今度こそ、その首もらうぞ!」


 スピアーカテラスがトドメをさそうとしたその時、向こうから何かが迫る音が聞こえる。


「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」


 それは大類姉弟が数十人の使用人達と共に刺股を持ってこちらに全力疾走で迫っていた足音であった。姉弟と使用人達が刺股をスピアーカテラスに向かって勢いよく突いた。

 予想外の出来事によりスピアーカテラスは思わず槍を落としてしまい、屋敷の塀に追い込まれ身柄を抑え込まれた。


「し、しまった!槍を!」


「「今だ!由人さん!」」


 大類姉弟が大声で呼びかけ、ウェッパーは立ち上がる。

 アリツスピアーにアリツブレイクチップを装填する。


[Break Standby]


 待機音が鳴り響き、武器に付いているボタンを押す。


[Weapon Break]


「はあぁぁぁぁぁぁ!」


 音声がなった瞬間、ウエッパーは力強く地面を蹴り、叫びながら空高く飛び跳ねる。

 ウエッパーが飛び跳ねた事を確認した桃江達が一斉に退け、全身全霊を込めた突きをスピアーカテラスに急降下して放った!


「ゼイアァァァァァァ!!」


「ぐふぅ!?まさか、拙者が抑え込まるとは...無念」


 スピアーカテラスはその場で倒れ、人間の姿に戻った。

 由人は防子に警察を呼ぶように指示した。助けてくれた大類姉弟と使用人達に感謝していた。


「みなさん、ありがとうございました。僕一人の力では勝てなかったです。」


「いいんですよ。これで私達も訓練の成果が実感できたので。」


 数時間後、屋敷に警察が来てこの件は解決した。スピアーカテラスだった人間は不法侵入者として連れて行かれた。

 防子とその様子を見守っていた。


「屋敷の人達にも助けられとは思わなかったよ。」


「由ちゃんはもっと人の頼り方を身につけた方がいいと思うよ?」


「わ、分かったよ...これからはそうするよ。もちろん防子にもね。」


 由人は人に頼る大切さを学んだのであった。

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