#22「大切な幼馴染」A
少し肌寒い気温の秋、由人がふと窓から庭を覗くと、大勢の使用人達が一斉に棒状のような物を振り回している光景が目に入った。
庭に出てみると、大類桃江と環助の姉弟が防衛術の指導をしていた。棒状の正体は刺股で、それぞれ数十人ずつのメイドと執事が大類姉弟に指導されていた。その動きは全員まるで棒術も普通に使いこなせそうな勢いのものであった。
「いつの間にこんなことしてたんですか?」
「これは定期的に指導しているんですよ。」
「全然分からなかった...」
「これで不法侵入や不届き物を簡単に捉える事が出来るでしょう。」
(もう普通に戦えるのでは?)
由人は部屋に戻り、防子や雷男にこの事を話した。
二人もさすまたの防衛術の指導を受けているが、超戦士になってからは他の人達よりも指導される回数は減らされたらしい。ちなみに愛剥路も受けていたもよう。
最初から戦闘慣れしているのは何故のだろうと由人は思っていたが、これでようやく疑問が晴れた。
するとアリツフォンから警告音が鳴り響く。
二人と愛剥路は仕事があり、拳也はまだアリツフォンが直っていないので、由人一人で現場に向かう事になった。
現場は能野町の空き地であり、そこにはルオマーがゴリークと共にカテラストーンを捜索していた。
「茶色くて刃がある...お前がルオマーか?」
「超戦士...やはり邪魔をしに来たか!スピアーカテラス!」
「...拙者の出番か。」
ルオマーは同行していた、落武者の風貌で槍を持っているスピアーカテラスを由人の前に差し向けた。
由人はアリツフォンにアリツチップを挿し込む。
[Weapon IN]
電子音声の後に待機音が鳴る。
「武着装!」
掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップする。
[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]
再び電子音声が聞こえた瞬間、由人の周りに光が纏い、アリツウェッパーに武着装した。
「では、いざ参る!」
ウェッパーはアリツフォンを取り出し、アリツスピアーを出現させて手に取る。
お互いの槍同士がぶつかり合う。しかし、スピアーカテラスの方が槍捌きは上であった。
このままではまずい!そう思った由人は、相手の隙を見計らって、渾身の突きを放った。
しかし、スピアーカテラスはウエッパーの突きを躱し、逆に隙を作ってしまい、スピアーカテラスに突きを放たれてしまい、反撃されてしまう。
やはり、実力が違う。そう思ったウエッパーは体が震え始め、恐怖心に襲われる。
その隙にすかさずルオマーは自身の刃でウエッパーを斬りつける。斬りつけられたウエッパーは倒れ込んでしまう。
「ルオマー様!これは拙者の真剣勝負!手を出さないで頂きたい!」
「おっと、すまない。隙が出来ていたんでな。」
スピアーカテラスがそう言うと、ルオマーは引き下がる。
倒れ込んでいるウエッパーにスピアーカテラスは目の前に槍を突き付ける。
「さっきから体が震えているぞ?おとなしくしっぽを巻いて逃げるべきではないのか?」
「そんなことは...できない...!」
「その心意気だけは褒めて信ぜよう...では、その首、もらった!」
倒れ込んでいるウエッパーにスピアーカテラスはトドメの突きを放った!
そこに、アリツシーリアがウエッパーの目の前に現れてアリツシールドで突きを防ぐ。
「むっ、邪魔が入ったか。わざわざ負け犬を助けに来たか。」
「よ...由ちゃんは負け犬じゃない!」
「スピアーカテラス、カテラストーンを見つけたから引くぞ。」
「御意。次に会う時は、その負け犬で腰抜けの姿にならないようにするんだな!」
捨て台詞を吐き、二体の怪人は去っていった。
「大丈夫!由ちゃん!」
「...何とかな…僕は屋敷に...戻...」
由人はその場で倒れ込んでしまい、防子は由人を自身の車に乗せて屋敷に戻った。
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