#19「心遣いとキモカワチュパカブラ」A
由人が熱を出して三日が経ち、由人の風邪は完治した。
由人が朝ごはんを食べ終わり、着替えをしているとドアからノックが聞こえる。
入って来たのは、分部未央理だった。風邪が治ったと聞いて由人の様子を見に来たのだ。
「由人君、調子はいかがかしら?」
「はい。もう完治したので大丈夫です。すいません、ご迷惑をおかけして。」
「いいのよ。屋敷の手伝いをして、戦いの日々を送っているんですもの。気をつけていても体調を崩しても仕方ないわ。こちらこそ仕事が忙しくて顔を出せなくてごめんなさい。」
「そんな、いいですよ!僕より仕事を優先して下さい!」
未央理は由人の事を心遣った言葉をかけると同時に謝罪をした。
「...今更ですけど、屋敷の使用人の人達を超戦士にした事...どう思ってますか?」
「そうね。本人達が望んだのなら私もそれを尊重することだけかしらね。それに屋敷を守ってくれるなら頼もしいだろうし。あいかわらず、叔母さんもすごい物を作るわね。」
未央理は超戦士を頼もしい存在と言ってくれた。
戦っている所を一度も見たことないのに頼もしいと言ってくれるのは、叔母である彩絵花博士を信用している証拠だろう。
「本当によく作りましたよね...そういえば麗綺さんは最近ここに来ませんね?」
「ああ...何でも、小便を集めるらしいわよ...。」
呆れながら未央理は言うと、見た目はいいのに相変わらずやばい人だな...と由人は心底思った。
今度は無理しちゃだめよ。そう声を掛けて、未央理は部屋から出ていった。
由人は屋敷の庭木を切る手伝いをしていた。庭にある木を梯子を登り、高枝切りバサミを使って葉や枝を切っている。
すると下から声が聞こえてくる。声を掛けていたのは、雷男の舎弟の執事の浮山或輝だった。
「由人さ〜ん!もう風邪は大丈夫なんッスかー!」
爽やかな顔の華やかな声で呼びかける或輝に対し、由人は梯子から降りて答える。
「ああ。もう大丈夫だよ。この前は僕の看病を手伝ってもらって悪かったね。」
或輝は毎日大変なんッスか?と由人に質問する。
毎日カテラスが出る訳ではないが、異形の者と戦う日々は非日常な上に死と隣り合わせに立っているので、やはり大変のほかないであろう。
そんなに毎日大変ならこんな事をしなくていいんじゃないのか?と或輝が言う。
由人は答える。みんなにそう言われるが屋敷に住まわして貰っているのだから、何かしらの貢献をしないと罪悪感に押しつぶされてしまいそうだし、それに動いていると気が紛れる。そう答える。
それを聞いた或輝は由人の手伝いを手伝う事にし、梯子を抑える事した。梯子を登り、庭木を切る作業を再開する。
少しばかり切る簡単な作業だが、それぐらいがちょうどいいのだろう。
しばらく切っていると、アリツフォンから警告音が鳴る。由人は梯子を降り、ハサミを或輝に渡し、急いで屋敷を飛び出した。
屋敷の外に出ると、壁玉防子が屋敷のバイクに乗って待機していた。
「由ちゃん!準備は出来てるよ!」
「今日はアリツバイクじゃないんだ。」
「乗ってあげなきゃ可哀想だよ...って愛剥路ちゃんが言ってたから」
由人はガレージからヘルメットを被って、防子の後ろに乗って現場に急行した。
(そろそろ本当に免許取りに行かないと...)
現場は能野山の岩壁付近だった。岩壁の断崖絶壁の頂上から二人を見下ろすカテラスがいた。
そのカテラスは体色が緑色であり、気味が悪い雰囲気があると同時にどこか愛嬌のある姿をしていた。
「キモカワって言うのかな?」
「何だか戦いにくい感じだね。」
するとその怪人は両手で岩石を取り出し、由人達に向かって岩石を投げ始めた。
勢いよく投げて来るので、威力が尋常じゃなく、生身で当たったらしばらく動けないのは確実だろう。
「「武着装!」」
二人は急いで武着装して超戦士になった。
「チュパ!」
怪人は崖から降りて、由人達の前に姿を現す。
「可愛いのは見た目だけみたいだな...」
「危うく騙される所だったね...」
カテラスの名はチュパカブラカテラス。
チュパカブラカテラスはアリツウェッパーの目にも止まらぬ速さで素早く移動し強烈なパンチを顔に喰らわせる。
「チュパァ!」
「ぐわ!」
続いてシーリアに強烈なキックを腹にお見舞いした。
「チュパァ!」
「あぁ!」
ウェッパーはアリツガンを手にしてチュパカブラカテラスに向かって撃つが、素早いスピードで避けられてしまい、そのままその場から去ってしまった。
「に、逃げたか...」
「すっかり見た目に油断しちゃったね。」
二人は屋敷に戻ることにした。
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