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#16「防子への執着」B

 NOUYA GAMEから少し離れた所にあるファミリーレストラン「NOUYA RESTAURANT」にやって来た。

 テーブル席で防子と柔子は向かい合って座った。防子はオムライス、柔子はパスタを注文した。


「そういえばアタシ読んでいる本があるんだよね〜」


「柔子ちゃん、本読んでるんだ。どんな本?」


「「油揚げ工場で働いていた私が異世界転生して、自分で作った油揚げを九尾の狐に上げたら、異能の力を授けられ、異世界を無双する力を手に入れました。」という本よ!」


「な、長いタイトルだね...」


「この本は油揚げ工場で働いていた女性が異世界転生して、職場で作っていた油揚げを九尾の狐に上げて、すごい力で異世界を生きていく話よ!」


(た、タイトル通り...)


「今度、防子にも貸してあげる。」


「あ、ありがとう...」


 話をしていると注文した二人分の料理がテーブルに揃い、昼食を食べ始めた。すると、防子の携帯から受信音が鳴った。


「あっ、由ちゃんからLINEが」


「どうしたのかしら?」


「雷ちゃんと育鈴さんが麗綺さんに連れ去られたって!」


「麗綺って誰?」


「御手洗商事の令嬢さんだよ。でも由ちゃんは大丈夫だから心配しなくていいって」


「じゃあ心配いらないんじゃない?大した事ないと思うし。」


「そうかな...?」


「次は服とか下着とか見たいんだけどいい?」


「うん。やっぱり自分の服は大事だよね。」


「ううん。アタシじゃなくて防子の。」


「わ、私の!?」


 二人は昼食を終えて、店を出て、早速服屋である「NOUYA CLOTHES」にやって来た。

 柔子はベーシックやアメカジ、ガーリーな服装等さまざまな服を防子に次々と着せていった。


「柔子ちゃんは服、選ばないの?」


「いいのいいの。今日は防子の服を選ぶから。」


(こんなに色々な服着たの初めてかも...)


 そして防子は最終的にエレガンスな黒いワンピースを購入した。


 次に行ったのはランジェリーショップ「NOUYA LINGERIE」だ。


「防子にはどんなのが似合うかな~♪」


 柔子が選んだ色んな色の下着を防子は次々に試着していった。


「青とか水色がいいかしら?」


「柔子ちゃん...流石に下着を何着も着るのは恥ずかしいよ//」


「やっぱ水色ね!」


 防子の下着を購入して、二人は店を出た。


「柔子ちゃんは服や下着を何も買ってなかったけど、買わなくてよかったの?」


「アタシは一人で買いにくるわ。人に見られるのって恥ずかしいし」


「そ、そんなのズルいよ!」


 空を見ると日は夕焼けに染まっていた。


「それにしてももう夕方ね。楽しい時間は過ぎるのは早いわね。」


「そうだね。」


「そろそろ屋敷に戻りましょうか。」


「うん。」


 二人は車で会話をしながら屋敷に戻る事にした。


「柔子ちゃんはどうやってこの屋敷で働けるようになったの?」


「何?急に?」


「柔子ちゃんは私みたいに両親と絶縁とかした訳でもないから、どうしてかなと思って。」


「そんなの、防子が心配だったから頼み込んで雇ってもらったに決まってるじゃない。」


「心配で?」


「当たり前じゃない。両親から逃げてきたなんて聞いたら心配するわよ。それでアタシはようやくここで防子を見つけたからここに雇ってもらったって訳よ。」


「そうだったんだ...私のために...ありがとう。柔子ちゃん。」


 防子の事を思って、胸が張り裂けそうなくらいに好意を寄せていた柔子は防子の事をずっと見守って来たのだった。


「とにかく、アタシは防子の助けになりたいから、困った時はいつでも私に頼りなさい!」


「う、うん!」


「それじゃあ、引き続き一週間よろしくね。」


「うん!...えっ?」


 そして二人は屋敷に戻って、一日目の休暇は終わった。



 この屋敷での入浴は男女で時間が分けられている。前半が男、後半が女である。

 風呂場は大浴場になっており、大体十人ぐらいは入れる大きさになっている。

 前半である男性陣が入ってくる。由人と雷男、環助そしてその他大勢の使用人が湯に浸かっていた。


「毎回思うけど、もう銭湯と変わらないね。」


「なー。」


「環助さん。入浴時間が分けられているのは分かりますけど、どうしてこんなに大勢で入るんですか?」


「それは、時間短縮の為です。」


「そうなんですか。まぁそうですよね。」


「ああ、女子と一緒に入りてーなー。」


「雷男!お前はまたそんな事を!」


「由人は防子ちゃんと入った事ねーの?」


「う、ううん、小さい頃に入ったような...あんまり覚えてないかな...」


「そんなもんかー」


「そういえば、麗綺さんに連れ去られたと後ってどうなったの?」


「あの子、ウンチほしいって和式トイレで俺と一緒に入ってウンチ取ってきたんだよ。ヤバくね?」


「雷男でもヤバいと思ったんだ...」


「そんであの子が自分で出したウンチのタッパー貰ったよ。」


(貰ったのか...)


「実は、私も同様の事がありまして。」


「環助さんも!?そういえば屋敷の人間全員って言ってたような...」


「私もそのタッパーを貰ってしまいました...若い女性が自分のを詰めるなんて...」


(僕は突き返したけどね...)


 時間が過ぎ、後半である女性陣が入ってくる。

 防子や柔子。愛剥路や育鈴、そして桃江とその他大勢の使用人が大浴場に入った。


「あ、あの、柔子ちゃん。そんなにくっ付いてたら、防子ちゃんも困っちゃうんじゃ...」


「何?アタシの勝手でしょ。防子も嫌って言ってないんだから。良いでしょ!」


「そ、そうですね...ごめんなさい...」


「...という事は柔子ちゃん以外はみんな麗綺さんに大の方の物を取られたって事ですか!?」


「そうなの〜すごい娘ね〜」


「感心するんじゃありません!清掃会社の社長令嬢とあろう御方が、あんな収集を...」


「でも桃江さんも取らせちゃったんですか?」


「...はい」


「わ、私も、一緒にトイレに入って、その、取られるの、恥ずかしかったです//」


「す、すごい人だね。後はもう柔子ちゃんだけなのかな?」


 入浴時間が終わり、皆それぞれの業務を果たし就寝し一日は過ぎていった。

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