#15「憧れと再会」B
ストーンカテラスの攻撃で負傷した拳也。由人は急いで屋敷に運んだ。
三時間後ー
「ん...ここは?」
「気づきましたか?」
目を覚ました拳也に声を掛けたのは大類桃江だった。
拳也が運ばれた場所は、拳也が以前に住んでいた時の部屋であった。
ベットやテーブルも綺麗な状態であり、本棚もあって、その上には拳也の家族が写っている写真が飾ってある。ちゃんと父親の姿もある。
「この部屋、綺麗にしてあるんですね。あの時のままだ。」
「拳也ちゃんも大事な思い出の場所ですもの。ちゃんと毎日掃除しているんですよ。」
「桃江さん...ちゃん呼びはもう恥ずかしいんですけど...」
「私にとってはいつまで経っても、拳也ちゃんは拳也ちゃんですよ。それでいかがですか?怪我の方は?一応を応急処置をしたのですが...」
「ええ、おかげで結構良くなりましたよ。ありがとうございます。」
そして部屋に由人と路宇都が入ってくる。
「拳也君、大丈夫かい!?」
「由人さん。はい怪我の方は治療してもらったので大丈夫です。...そのヘルメットって愛剥路さんのヘルメットですよね?」
「ああ、話がしたいから持ってきたんだ。」
「物みたいに言わないでもらえるかしら?」
「うわ!ヘルメットか喋った!?」
拳也は驚いた様子を見せた。
「久しぶりね!拳也君。アタシは路宇都よ。」
「え!?路宇都さんですか!?このヘルメットが!?」
「まぁ、前に研究室に来た時は一言も発していなかったからね。」
拳也は喋り方を聞いて路宇都だと言うのが分かり、今度は歓喜の様子を見せた。
何故ヘルメットになっているのかを路宇都は拳也に説明した。
「意識をヘルメットに移植...そんな事してたんですか...母さん、何で教えてくれなかったんだ」
「愛剥路の傍にいたのと、拳也君が屋敷を離れた事で伝えるタイミングがなかった...といった所かしら?」
「そうだったんですか...あの路宇都さん!僕はあなたのおかげでバイクに憧れて、バイクの免許を取りました!」
「...そう。懐かしいわね。あなたを後ろに座らせて、よく色んな所に行ったわね。」
「なので、今度は僕があなたを連れて何処かに連れて行きたいです!なので今から行きましょう!」
「でも怪我は大丈夫なのかしら?」
「怪我はもうどうって事ないです!お願いします!路宇都さん!」
憧れの人と思わぬ再会を果たしたのか、拳也君、嬉しいのか勢いがすごいな...と由人が内心思うくらいには気持ちが舞い上がっている様子だった。
「そこまで言うなら、しょうがないわね。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「こんなに熱心なお誘いされたら断れないわよ。誰かの身体を借りなきゃいけないわね...流石に後ろに乗せたいでしょ?」
「それはまぁ...でも誰の身体を」
すると、部屋に砂浜育鈴が部屋に入ってくる。
「拳也ちゃん。怪我はどうかしら〜。」
「育鈴さん。ええ大丈夫です。」
「あら、由人ちゃんもいたのね。」
「はい」(この人は誰に対してもちゃん呼びするんだな)
「よし。じゃあ育鈴ちゃんの身体を借りようかしら」
「あら?」
路宇都は育鈴の顔に装着して、育鈴の身体を乗っ取った。
「それじゃあ行こうかしら。」
「これ、育鈴さんは大丈夫何ですか?」
「大丈夫よ。意思がなくなる訳じゃないから。」
拳也と路宇都を被った育鈴は外に出て、拳也はアリツバイクを出現させた。
「ヘルメットは自前なんですけど、バイクはまだ自分のを持ってなくて。」
「まぁ、あの現状ならね。それにしてもバイクも出せるなんて、すごいスマホね。」
拳也も黒色のヘルメットを被ってバイクに乗った。愛剥路も拳也の後ろに乗った。
(なんか育鈴さんのモノが当たるな...)
二人は出発して走行を開始した。町を走り、峠を走り、軽いツーリングをした。町のコンビニ「NOUYA MART」に入り、飲み物を買って休憩した。路宇都は自分を外し育鈴は意識を戻した。
「こんな所まで来たのね〜。」
「悪いわね、育鈴ちゃん。それにしても運転上手ね。拳也君。」
「まぁ、まだまだですけどね...こうやって路宇都さんを連れていけるとは思えませんでした。身体は違いますけど...」
「そうね、私も今不思議な感じよ。」
すると、アリツフォンから警告音が鳴り響く。
「路宇都さん、ここでお別れです。」
「アタシも連れてって」
「危険ですので帰って下さい。育鈴さんもいるんですから。」
「貴方の勇姿がみたいの。離れた場所にいるから、お願い。育鈴ちゃんも付き合って。」
路宇都の言い方は真剣だった。これを聞いた拳也は答えた。
「...絶対に離れていて下さいね。」
「ありがとう。拳也君。」
拳也は路宇都を乗せて現場に急行した。
現場は能野町の山「能野山」の山壁付近だった。そこにはストーンカテラスの姿があった。拳也達は到着して、路宇都は安全な場所で拳也を見守る事にした。
アリツフォンにアリツチップを挿し込む。
[Martial Arts In]
電子音声の後に待機音が鳴る。
「武着装!」
掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。
[CERTIFICATION. In Charge of Martial Arts.]
再び電子音声が聞こえた瞬間、拳也の周りに光が纏ってアリツシャーマに武着装した。
「また探し物か?今度こそ倒す!」
「またてめぇか!今度こそ、このストーンカテラス様がてめぇを殺すぜ!」
早速シャーマに岩石を飛ばすストーンカテラス。シャーマははぁ!と拳を突き出し、岩石を粉砕した。事前にアリツハンドを発動していた。
「なっ!?」
「憧れの人の前だからね。かっこ悪い所は見せられないんだ!」
路宇都は拳也の姿を見て、歓喜している様子だった。
次々と岩石を粉砕して、ついにストーンカテラスの目の前に近づき、拳を突き上げアッパーカットを繰り出し、ストーンカテラスは空高く吹っ飛んだ。
上空に吹っ飛ばされている間にシャーマはアリツレッグを発動し、アリツフォンにアリツブレイクチップを挿し込む。
[Break Standby]
待機音が鳴り、画面をタップした。
[Martial Arts Break]
シャーマは空高く飛び上がり、吹っ飛ばされているストーンカテラスに右足を突き出して、飛び蹴りを喰らわせた。
「リャアァァァ!」
「俺様の方がやられた〜!」
ストーンカテラスは地面に落ちて衝突し、人間の姿に戻った。そこに全身が茶色で両手に刃がついており、禍々しい見た目した怪人が姿を現した。
「お前がルオマーか!?」
「また会おう...超戦士よ」
怪人は石のような物を持って、その場から一瞬で姿を消した。
拳也はとりあえず警察と救急車に通報し、拳也達はその場を離れ、屋敷に戻った。
「拳也君。かっこ良かったわよ。」
「あ、ありがとうございます!そう言って貰えると嬉しいです。」
「この屋敷には戻ってこないの?」
「母さんの手伝いがあるので、それにここには来ようと思えば来れるので。」
「そうね。また会いましょう、拳也君。」
「はい!それじゃ、僕はこれで。」
拳也は研究室に戻っていった。拳也の心は歓喜と困惑が混じっていた。
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