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#8「押し付けメイド」A

 今日も仕事を終えて、僕の部屋で夕飯を数人でテーブルを囲って食事をする。

 僕と防子と雷男、そして今日はもう一人いた。それは固山 柔子ちゃんだった。僕たちは横幅の広い四角いテーブルを囲って食事をしていて、上から見た視点で僕と雷男は下で防子と柔子ちゃんは上にそれぞれ隣り合って座っている。

 食事の様子を見ていると、柔子ちゃんは防子にくっ付きながら食事をしており、今日の夕飯のシチューを防子に微笑みながら食べさせている。一見仲が良さそうに見えるかもしれないが、防子の顔は引き攣っている様に映っていた。


「じ、自分で食べられるから、食べさせてもらわなくても大丈夫だよ?柔子ちゃん...」


「まぁ、遠慮しないで!ほらどんどん食べて!」


「いや、本当に大丈夫だから...」


「そんなに強引に食べさせてやるなよ。防子ちゃんが困ってるじゃねぇか。」


「うるさいわね...何でナンパ野郎のあんたがここにいるのよ。」


「そりゃあ、俺は由人の専属執事だからな。主人と食事を共にするのはなにもおかしくないだろ?」


「ふぅん...じゃあ防子は必要ないんじゃない?」


「わ、私は専属メイドだから。それに由ちゃんと一緒にいたいから...」


「いーや!いくら専属メイドだからって、男二人と一緒に、しかもこんなナンパ男と一緒にいるなんて危険よ!」


「おいおい...随分言ってくれるじゃねぇか。そっちこそ防子ちゃんが困っている事に気がつかねぇのか!」


「男二人だから困ってるんでしょ!このハゲナンパ執事!」


「分かってねぇじゃねぇか!迷惑雌豚メイド!」


 何で夕飯を食べているだけで喧嘩が起こるかな...しかもどっちも口悪...防子は苦い顔をして二人の口喧嘩を傍観している事しか出来ないままでいた。これ以上はいけないと思い、僕は声を上げた。


「二人共。今二人が喧嘩している事によって現在進行中に防子が困っている。困らせたくなかったら言い合いはそこまでにしてほしいかな。僕もこのまま食事をするのは気分が悪い。」


「そ、そうだな。悪いな、防子ちゃん、由人。」


「由人さんのおかげで命拾いしたわね。ハゲ男。」


 何だかんだで雷男は聞き分けはいいみたいだ。それにしても柔子ちゃんってこんなに口悪かったっけ...?でも防子が困っているのは事実だ。柔子ちゃんは防子に依存しているように見える。何故ここまで依存しているか分からない。その上仕事もサボりがちになっているみたいだからな...何があったのだろう?

 食事を終えて、柔子ちゃんが片付けをしている間に防子に聞いてみる事にした。


「あのさ...柔子ちゃんは何があったの?昔はあんな感じではなかったよね?」


「俺は初めて見た時からサボっているような感じの奴だったぜ。」


「屋敷に入った時からって事は、その前に何かあったって事か...」


「話してもいいけど...今日は疲れちゃったから...明日でもいいかな?」


「そうだね...ごめん。」


「全く、あの押し付けメイドには困るぜ。じゃあ俺は自分の部屋に戻るとするか。ゆっくり休めよ二人共。」


 僕達に気遣いの言葉を掛けて雷男は僕の部屋から出ていった。


「...チャラい所があるけど、私達の事気遣ってくれていい人だよね。雷ちゃん。」


「執事と言うより、兄貴分みたいだよね。」


 防子も部屋に戻って、僕は就寝する事にした。それにしてもあの変わり様...人って変わる物なんだなー。この場合は悪い方向にだけど...


 日が差し込み、朝がやって来た。防子が朝食を運んできて食事にしようと思ったその時、アリツフォンから警告音が鳴り響く。どうやら朝食はお預けみたいだ。僕は防子と共に車に乗って現場に急行するのであった。



 現場は公園であり、そこにはカテラスと抗戦中のアリツシャーマの姿があった。僕達は公園の木に身を隠した。

 僕達はアリツチップをアリツフォンに挿し込む。


[Weapon In]

[Defence IN]


電子音声の後に待機音が鳴る。


「「武着装!」」


掛け声を言って、CERTIFICATIONの文字をタップした。


[CERTIFICATION. In Charge of Weapons.]

[CERTIFICATION. In Charge of Defence.]


再び電子音声が聞こえた瞬間、僕達の周りに光が纏い、武器の超戦士「アリツウェッパー」と防御の超戦士「アリツシーリア」に武着装した。


「シャーマ!助けに来たぞ!」


「ウェッパー!そしてあなたがアリツシーリア...」


「あっはい!初めまして!」


「挨拶は後にして、あのカテラスはジュエリーカテラス!宝石を飛ばして攻撃してくるんだ!」


 そのカテラスはジュエリーの名の通り、顔はエメラルド、左手はルビー、右手はサファイアになっていて煌びやかな印象を受けるカテラスだ。


「ガアァァァァァァ!」


「輝いているのに喋れないタイプのカテラスか。」


「僕も叩き割りたいと思っているんだけど、両手から宝石を飛ばしてきて、近づけなくて...」


「よし。じゃあ私達も...と言いたい何ですけど、朝食を食べてないから力が出ないだよね...。」


「それはそう。」


 ジュエリーカテラスは僕達に宝石を飛ばして退散したのだった。


「待て!...逃げられたか。」


 僕達はその場には僕達以外いなかったので、武着装を解いた。


「あっ、メイドさんだ。」


「えっと、私は由ちゃんの...」


「挨拶は屋敷に戻ってからにしない?お腹空いちゃってね。拳也君も一緒に来るといいよ。」


「わ、分かりました。僕、お母さんと来たので、一緒にいいですか?」


 僕達は拳也君と分部博士と共に一旦屋敷に戻る事にした。

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