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序 婚約請負人の離婚
「離婚しよう」
夫が、言った。
私は、愕然とした。夫が本気で言っているとはとても信じられない。
「何言ってるのよ」
夫は、何でもない事の様に、私に書類を差し出す。
「離婚は決定事項だ。申請書を書け。大司教に提出して離婚の許可を頂く」
「決定事項って・・勝手に決めたの?!」
「お前だって、今まで散々、他人の人生を勝手に決めていたろう」
「勝手に決めてないわ。大体、女を駆け引きの道具にしてるのは貴方たち男でしょ?!」
「今更、被害者面か」
「何、その言い方!!」
私たちは、睨み合い、それっきり言葉を失くす。
私は宰相の妻、ヴェルエラ。
またの名を婚約請負人。
誰が言い出したか、私には、そんな渾名が付けられていた。
その私が、離婚って・・・。
冗談じゃねーよ!!