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世の中って狭いのね……

昨日更新忘れていたので今日は二話更新。こちら二つ目。

 お風呂から上がって、ビールを一缶だけ飲んでから美羽ちゃんの隣にスタンバイ。お風呂上りは飲まなきゃやってらんないよ。飲まない選択肢がないよ、うん。


「電話しますね」

「うん」


 スマホの画面を見たままだった美羽ちゃんがついに電話をかけた。


「こんばんは薫子(かおるこ)さん」


 薫子さんっていうんだ。なかなか古風な名前?


「はい、大丈夫です。優しい人が助けてくれて。その人の所に居候してます」


 美羽ちゃん優しいって言ってくれた。嬉しーな。


「女性です、とってもいい人で今日服を買ってもらいました。名前ですか? 越冬聡里さんです。隣に居ます」


 わたしのことしょうかいしてくれてる。まあ気になるよね居候先の人のことは。


「聡里さん、薫子さんが話をしたいって」

「わかった」


 美羽ちゃんから、電話を受け取るけど。すごくドキドキする、なんて挨拶すればいいかな。こんばんはが無難だよね。というか、仕事スイッチ入れればいいのか。


「変わりました、越冬です」

紫苑(しえん)薫子です。この度はありがとうございます。ところで私の名前に聞き覚えがあるよね、エト?」

「えーっと。もしかして、もしかなさらずとも。しっちゃんでございますか」

「ええ、貴方の大学同期で親友のしっちゃんですよ」


 あは、あはは……

 親友の姪っ子と一夜ともにしちゃってた! これ以上増やさないでよ、元教師と元教え子だけでお腹いっぱいなのに。しっちゃんは大学の同期で親友で、もう一人親友はいるんだけど。一夜ともにしちゃったことなんて言えないよ、ばれたらすっごい怒られちゃう。しっちゃん怒るとすごく怖いんだよ!


「とりあえず、美羽のことありがと」

「うん、ほんとたまたまだったんだけどね」

「でも、顔覚えてたから拾ってくれたんでしょ?」

「え?」

「教育実習、私の姪がいるからってあの学校選んだんじゃない。忘れたの?」

「あはは、そうだっけ」

「覚えて無くて、見知らぬ子を拾ったっていうの?」

「はい、そうです」

「エト、貴方ねぇ」


 やばいこの流れは怒られるやつ


「はあ、今回はそのお人よしに助けられたから怒らないで上げるけど」

「ありがとうございます」

「来月になるけど、様子見にそっちに行くわ。夜兎(よう)ちゃんも誘って」

「おー久しぶりに、三人で集まれるね」

「そのテンション飲んでるでしょ」


 しまった、仕事スイッチ切れてた。


「飲んでます……」

「美羽に飲ませてないでしょうね」

「飲ませておりません!」

「変なこともしてないでしょうね」

「してません!」


 どっちかというとあの時は襲われたので、された方だから嘘はついてない!


「そう、あった時にお金渡すから。食費とかに充てて頂戴」

「いいよお金は。一人暮らしさみしかったし、美羽ちゃんは私を癒してくれるし」

「だとしてもよ。少しはもらいなさい、美羽のお小遣いでもあるし」

「わかった」

「それじゃ、美羽に代わってちょうだい」

「うん。はい、美羽ちゃん」


 美羽ちゃんとしっちゃんが話してるけど。正直もういっぱいいっぱいだよ。お酒飲まないとやってられないよ。足は勝手に冷蔵庫に向かっていく。


「聡里さん、薫子さんがもうビールは飲んではいけないと」

「そんなー」


 しっちゃんエスパーか何かなのっ!


 仕方なく美羽ちゃんの隣に戻ろ。


「はい、それじゃあおやすみなさい」


 電話だけでこんなに疲れるなんて思わなかったよ……


「聡里さん、薫子さんとお友達なんですか?」

「大学の同期で親友だよ」

「あの、エトさんって私も呼んでいいですか」

「ん、いいよー」

「じゃあ、エトさん寝ましょ。夜も更けてきましたし」

「そうだね、ねよっか……」


 なんかもうねむい。

 美羽ちゃんに支えてもらいながらお布団にイン。明日には美羽ちゃんのお布団が届くから。一緒に寝るのは今日が最後かな。


「あの、エトさん」

「なぁに」

「今日寒いので、抱き着いていいですか」

「いいよー」

「ありがとうございます」


 横向いてる私に、後ろから美羽ちゃんが抱き着いてきて。足も絡めてきて。美羽ちゃんの肌がちょっとひんやりしてるから本当に寒いんだなーって思いながら。首筋に美羽ちゃんの顔が埋まって、ちょっと息が首筋にかかってこそばゆいな、とか思いながらそのまま寝たのでした。

 そして翌朝に、酔った末の言動が恥ずかしくなって。もだえる羽目になることをこの時の私は知らないのです。




毎日更新のつもり!

そのためには皆さまの感想が糧になります。もちろん評価でも。

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いつも誤字報告ありがとうございます

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