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お風呂場でほっこり

昨日更新忘れていたので今日は二話更新。こちら一つ目。

 美羽ちゃんとお風呂に入れるなんて思わなかった。てっきり断られると思ったのに、少しは心開いてこれたのかな。


「美羽ちゃん髪洗ってあげる」

「お願いします」

「初めて会った時より、髪長くなってるよね」

「そうですか?」

「あの時はショートカットだったでしょ」

「覚えてないです」

「そっか」


 美羽ちゃんの髪長くてサラサラで、若さを感じるなー。私なんてもう、髪乾かす体力がなくて万年ショートカットだよ。若いっていいね。


「痒いところは無いですかー」

「気持ちいいです」

「でしょー。頭皮マッサージはこれでも上手なんだよ」

「美容師に習ったんですか?」

「疲れを取るために頑張って覚えました……」

「あっはい」


 なんか美羽ちゃんに引かれた気がする。だって、疲れ取れないと次の日が大変なんだもん。できることはなんだってするんだよ。それが社会人なんだよ……


「はい、トリートメントしてと。体は自分で洗う?」

「聡里さんに洗って欲しいです」

「おおぅ」


 冗談で言ったらオーケーされちゃったよ。言われた私の方が驚いでると。水も弾くつやつやプルプルのもっちりお肌に、十代の若い肌に私が触っちっていいの!

 いいんだよね、だって同棲してるもんね!

 なんなら一線越えてるもんね!


「前は自分で洗ってね」


 と言っても、やっぱりまだ背中の傷跡は残ったままだよね。最初に見た時よりは薄くなったりはしてるけど、傷があるって見てわかるくらいには残ってるし。痛くないのかな。

 人差し指で、背中の傷を触れるは触れないかの感覚でなぞってみた。


「ひゃあっ」

「あっ、痛かった?」

「こそばゆかっただけです」

「ほかの傷とかも痛まない?」

「肩が少し」


 肩を見ると。右肩がまだ少し青くなってる。確かにこれは痛いだろうね、内出血してるんだし。


「じゃあ洗うね」


 力を入れ過ぎたら、やっぱりまだ痛いだろうし。皮膚だけ治って筋肉の方が痛い時もあるだろうから。洗えてるけど、力は入ってない感じで。そうやって洗ってると、美羽ちゃんが時折ピクッってして。なんかそれが可愛い感じだけど。


「こそばゆい?」

「うん」

「じゃあ、少し力強くするね」


 さっきよりは力を強めにしても、痛くないみたいで。そのまま背中を洗って、前は美羽ちゃんにバトンタッチ。そして自分の髪を……


「聡里さんの髪洗いたいです」

「私のはいいよ、楽しくないと思うし」

「洗いたいです」


 ここまで言われると、ね?


「じゃあ体洗い終わったらお願い」

「はい」


 つくづく私は美羽ちゃんに甘いって思うけど。こういう甘えは美羽ちゃんが必要としてるんだろうなって思ったら、悪くないのかなって思う。さすがに教育上宜しくないところはちゃんとするけど。最初の日のあれはノーカンだよね、ノーカン。


 美羽ちゃんが体を洗い終えて、私と場所を入れ替わって。髪を洗ってくれてる美羽ちゃんの手は、たどたどしくて。そこが可愛いなーって思う。気持ちよさは普通かなってくらいだけど。誰かの髪を洗うのが初めてならこんなものだよね。


「気持ちいですか?」

「うん気持ちいよ。ありがと」


 私の髪は短いからすぐ洗い終わっちゃう。そのまま背中も洗ってもらったんだけど。


「前も洗いますね」

「前は」


 ってころ割る前にもう洗われ始めちゃって。結局断れないまま、美羽ちゃんに体を洗われることに。これってだいぶ贅沢だよね。血のつながりのない女の子に頭も体も洗ってもらって。私って幸せ者っ


「うらやましいです、胸大きくて」

「そうかなっ、美羽ちゃんもすぐ大きくなるよっ成長期だし。美羽ちゃん、洗うよりこれっ揉んでない?」

「洗ってます」

「そうっ、ならいいんだけど」


 でもこれ確実に洗ってない気がするっ。だって体洗うスポンジ?なんていうかわかんないけど。ネットかな。あれ使ってたのに急に手に泡つけて洗ってるし。確実に揉まれてるような気がっ。お、終わった。

 美羽ちゃんに胸をもまれるっていうアクシデント以外は普通に洗い終わって。二人して湯船に浸かると、お湯があふれちゃって二人でクスクス笑った。ギリギリだけど二人で入れてよかった。私が後ろで、足の間に美羽ちゃんがいる感じ。こうして肌と肌が重なると思い出さなくていいことを思い出しそうになって。頭をぶんぶん振り回す。


「美羽ちゃん、学校うまく行ってる?」

「友達はできてないですけど。楽しいです」

「そっかよかった」


 美羽ちゃんて何年生なんだろう。三年前に会ってて、その時確か中学校一年生だから。今高校一年生か。でもあれよね。学校に行けてるってころは親がお金を出してるわけで。親学校に来ないのかな。美羽ちゃん家出してても、学校行ってるならね。


「学校に、親が来たりしてない?」

「来ないです。行ってる学校も知らないから」


 んーなんかつじつま合わないよね。学校いけてるのに、親はその学校知らないなんて。でもこれ以上は聞いててもいいのかな。踏み込み過ぎてる可能性もあるわけだし。


「家出、これで二回目なんです」

「二回目?」


 美羽ちゃんから話してくれたってことは、いいのかな。


「最初、叔母の所に家出したんです。耐えきれなくなって。そのまま一年くらい居て。その間に叔母が保護者になって、でも両親が何度も会いに来て。叔母の迷惑になるのが嫌で、また両親の元に戻って。でもやっぱり何も変わらなくて。叔母に頼んで遠くの高校に行けるようにしてもらって。高校入学と一緒にまた家出しました」

「そっか、それで私が家出してきたのを拾ったと」


 全然「そっか」で片付けられることじゃないんだけど。すごく重すぎるんだけど!

 でも、美羽ちゃんにも居場所があったんだね。助けてくれる人が居たんだね。良かった、本当に良かった……


「その叔母に連絡したの?」

「してないです、また心配かけちゃうと思って」

「した方がいいと思うよ。余計心配させちゃうと思うから」

「聡里さんだったら、心配しますか?」

「するよ。どうしてるかな。大丈夫かなって」

「お風呂あがってから連絡してみます。そばにいてほしいです」

「もちろん、そばに居てあげる」

「ありがとうございます」


毎日更新のつもり!

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