映画のチョイスが美羽ちゃんらしかった
お久しぶりです。遅れてすみません
セカンド・ラブという映画を美羽ちゃんと胡桃ちゃんと見たんだけど。
二回目の恋じゃなくて二つ目の恋だったのね。彼氏に振られた女子高生が親友の女の子と恋に落ちる映画でした。
美羽ちゃんがしっちゃん色に染まりかけている。大変だ大変だ!
「美羽ー、面白かったねー」
「う、うん。そうだね」
「越冬さんみたいな大人の女性も百合好きだとは意外でしたよー」
「あはは……面白かったかな。ん? 私も?」
「うん、越冬さんもー。美羽は昔からー百合好きだったよねー」
「そ、そうだね」
胡桃ちゃんから話しかけられた美羽ちゃんを見ると、ぱっと私から顔を逸らした。
「どったのー美羽ー」
「な、なんでもないよ」
「挙動不審じゃーん」
いや、挙動不審になりたいのは私の方だよ!
冷静な仮面を被ってるけど。え、美羽ちゃんは百合好き?
あれ?
美羽ちゃんは大丈夫だと思ってたけど、大丈夫じゃないの!?
あれ、最初に襲われたのって。もしかしなくても気が動転してとかではなく。攻めな美羽ちゃんに襲われたのかな。
そーっと美羽ちゃんから距離をとる。子供だからって安心してたけど安心できなかった。身近なところに子羊を狙う虎がいた!
しっちゃんと美羽ちゃん。2匹に睨まれた哀れな子羊を誰か助けてー!
「エトさん!」
「な、何かな」
「その、私は百合が好きですけど。エトさんのことは大好きですから!」
それって襲われるって事ではー!?
「にひひー。ラブラブだねー美羽ちゃん。エトさんとは、そういう関係なのー?」
「にゃんにもないのー!」
「美羽ちゃんキャラ変わってるー!?」
暴走した美羽ちゃんに腕を引かれて、その場を無理やり離れることに。
「はぁ、はぁ」
「えーっと美羽ちゃん大丈夫?」
「大丈夫……です」
「ならいいけど」
うーん。どうしようこの気まずい雰囲気は。美羽ちゃんが百合だと判明したことによる緊張感。
とりあえず、近くのカフェでゆっくり休憩。
「あの」
「んー何美羽ちゃん」
「あのですね」
「うん」
「隠しててごめんなさい」
「あー、いや気にしちゃいないよ」
なんて目を逸らしながら言っても、説得力ないけど。
「本当は今日落ち着いた時にお話する予定で、映画はその布石だったんですけど。胡桃ちゃんが変なこと言って狂ったんです」
「ちなみにそれはいつ頃の予定だったのかな」
「帰宅してからです」
それはまた襲われる流れなのでは?
と思いながら、美羽ちゃんの目を見て話す。
「まあ、誰を好きになるかは個人の自由だし。私は気にしないよ。嫌いになったりしないから、安心してね」
「それは心配してなかったです。エトさん、優しいので」
「あっ、そう」
嬉しいような嬉しくないような。褒めれてるから嬉しいのかな?
「初恋だったんです、エトさんが。中学校で寄り添ってくれて。単純かも知れませんが、私嬉しくて。好きになっちゃったんです」
おっとー。美羽ちゃんの性癖歪ませたのは私だったのか!
つまりこれは、因果応報、自業自得な展開なのか!?
「ははは…………」
乾いた笑いしか出ないんですけど。羊が猫だと思って育ててたのは虎でしたって?
面白くないよ、まじで……
「久しぶりに会った日、ある意味では初めて会った日。すごく安心して、すごくエトさんが恋しくなって。襲っちゃって」
こじれた恋心が原因だったか……
「でも、エトさんがエトさんだって分かってつい甘えちゃって。本音を言えば家に帰ったら襲いたいです」
若いからって、少し性欲に忠実すぎないかなぁ!?
「でも我慢します。エトさんから私を求めてくれるまで」
あれぇー? なんかヤンデレじみたセリフが聞こえてきたぞ。と言うか美羽ちゃん攻めなのね。私が受けか。確かに流されやすい性格してるけどさぁ。
そもそもさ、しっちゃんも美羽ちゃんも。私を逃す気ないよね。私の意見軽く無視してるよね?たとえ逃げても、地獄の底まで追ってきそう。
「これからはエトさんを落とすつもりで行くのでよろしくお願いします」
頭を下げた美羽ちゃんだけど、これって宣戦布告では?
教え子と親友に体も心も狙われる私の人生これからどうなるのよー!!!!
誰か教えて……
読んでいただきありがとうございます。




