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その日私は襲われた

明日から連続更新できるといいな。

 コンビニの袋に沢山入ったお酒とおつまみを、家に帰ってどうやって食べようかなんて考えながら歩いてたら。いたのよね、道端に座ってる女の子が。フードを深めにかぶって街灯の下に。


「どうしたのあなた」


 荷物を脇の方において、体育座りしてる女の子よ。気になって声をかけた。まとってる雰囲気、普通じゃなったし。辺りは真っ暗で、女の子一人いるのが危ないからってものあったんだけど。


「家出したんです」

「家出?」

「はい」


 声に元気はないし、家出なんて。今時家出するような子供がいること自体に驚きを隠せなかったけど。何より、フードの奥にうっすらと赤くなった頬が見えた。


「家に帰りたくないの?」

「家に居たくないから家出したんです」

「まあそりゃそうよね。行くところはないの。友達のところとか」

「ありません」

「じゃあネカフェとか」

「断られました、未成年だからって」

「じゃあ家来る。今日くらいなら泊めてあげるわよ」

「いいんですか?」

「女の子を真夜中の道に置いてくと、夜のお酒が不味くなるのよ。来るなら立ってついてきなさい」

「はい」


 家出少女を後ろに連れて、夜道を歩くなんて。はたから見たら怪しいわよね。なんて思ってるうちに、家に着いた。


「とりあえず荷物おいて、顔洗って来なさい」

「はい」


 女の子が、顔を洗ってる最中に豆乳をレンチンする。夜の外にどれくらいの時間居たのか知らないけど、体冷えてるだろうし。暖かいものを飲めば元気になるわよね。

 顔を洗って戻って来た少女の頬は!赤くはれていた。フードの奥に見えた赤い頬は見間違いじゃなかったってことだ。


「はい豆乳。飲みなさい、少しは元気になるから」

「ありがとうございます」


 ちびちびと、女の子が豆乳を飲んでるうちに。お風呂の給湯ボタンを押して、リビングに戻ってくると。マグカップの半分くらいまで豆乳を飲んで、女の子が声を出さないで泣いていた。


「何があったか知らないけど、私しかいないんだから声出してもいいのよ」

「うっ、うぅぅぅぅ」


 なんて言いながら、缶チューハイを開けてる私も私よね。もっと大丈夫とか、色々掛ける言葉があったと思うけど。こういう時は下手に何も言わない方がよかったりするのよね。

 女の子の、泣き顔を見ながらお酒を飲むって。なんかひどいことしてる気分になってくるわ、でもお酒飲むのもやめらんないのよね。仕事と終わりのお酒は、冬のこたつと一緒よ。

 缶チューハイの三本目を飲み終わるころには、女の子も泣き止みつつあって。お風呂も沸けてた。


「私、お風呂入るけど。一緒に入る?」


 何となく一人にしておかない方がいい気がして。寒かっただろうななんて思いもあって。お風呂に誘った。


「入ります」


 持ってきた荷物から、着替えを取り出してるのを見ると。ほんとに家出してきたんだ、なんて思う。一人じゃないお風呂は、なんていうか新鮮みたいな。変な感じだったけど。それ以上に、女の子の体を見て衝撃が走った。


 傷だらけだった。と言っても血が出てて生々しい傷じゃなくて、何かをぶつけたような。推測でしかないけど、殴られたら蹴られたりしたような。そんな傷跡。中にはかさぶたになってるのもあって。そりゃあ家出したくもなるわ、と心の中で一人思った。


 とりあえず、女の子を座らせて。傷口があまりいたくないように体を洗って。頭も洗って、浴槽に入れた。

 自分の髪を洗いながら、声をかけてみた。


「少しは元気出た?」

「はい」

「そっ、ならばよし」


 口数は少ないけど、声は心なしか元気になってる気がする。気がするだけで、何にも変わってないかもしれないけど。


 自分の体も洗い終えて、二人で入るには少し詰めないといけない浴槽の中に。私が、女の子を後ろから抱っこしてるみたいな。そんな感じで入った。当然お湯がこぼれていったけど、しゃーないわよ。

 それにしても、女の子とお風呂に入るだけでも普通じゃないってのに。家出少女なんだから状況が濃いわー。

 私の胸に寄り掛かる感じで、女の子が体を預けてきたけど。当然ながら不快感なんてなかった。


「名前なんて言うの」

美羽(みう)です」

「私は聡里(さとり)よ。まあ、おぼえなくてもいいわ。それで、いつまでいたいの」

「えっ」


 驚いた声とともに、振り向いて私の顔をまじまじと見てきた。

 ま、そうよね。今日くらいはなんて言われたのに。急にいつまで居たいのなんて言うんだから。でも、傷だらけの子をこのまま家に帰すのはね。良心の呵責ってもんがあるのよ。


「私、居ていいんですか」

「家出してきたんでしょ。「帰ってこい」なんて言われるまでは好きに居てもいいわ」

「ありがとう……ございます」

「いいのよ」


 こうして、美羽ちゃんと同居生活が始まった。

 お風呂を上がって、パジャマ着て。美羽ちゃんの寝るところはないわけで。必然的に、一緒に寝ることになったんだけど。

 私は酔っていた。まあ、缶チューハイ三本開けたし。お風呂入って気持ちよくなったいたし。色々な要因はあったと思うけど。

 その夜の布団の中で。私は美羽ちゃんに襲われた。

毎日更新のつもり!

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