水面下ではじまる戦い
やる気売ってないでしょうか
なんか寝苦しい。
あんまりいい気分ではない目覚めを迎えた理由はすぐそばにあった。美羽ちゃんが私にベッタリくっついて寝ていた。布団を捲れば美羽ちゃんはちゃんと服を着ていたから、とりあえずひと安心。でも足を絡めて、胸に顔をうずめてるのはなんでだろう。しっちゃんはソファーに寝てて、美羽ちゃんは普通に布団で寝てたと思うんだけど。
もちろん隣の布団はもぬけの殻で、抜け出して私の布団に入ったのはわかるんだけど。美羽ちゃんの布団って背中側にあるから、起きて潜り込んでこないと反対側には来れないよね。まあ、寒かったのかな。もしくはしっちゃんがきて寂しさが戻ってきたとか。
とりあえず起こさないとダメかな。
「美羽ちゃん朝だよ」
「おはようございますエトさん」
「おはよう、あの手とか足とか離してくれると嬉しいかな。動けない」
「もう少しだけ、このままで居ちゃダメですか」
少し眠そうに、目をぱちぱちさせてる美羽ちゃんのお願いを断れる訳もなく。
「五分だけね」
「はい」
美羽ちゃんに密着されながら、頭を撫でたりして五分。美羽ちゃんが甘えん坊になって、胸にスリスリしてきたり。足がゆっくり動いて、こそばゆかったりしたけど。五分経ったので起き上がってリビングに。
「おはよう、二人とも」
「おはようってずいぶん早起きじゃない、しっちゃん」
「お料理中ですか、薫子さん」
「ええ、おかずを少しだけね。美羽がご飯炊いてくれてるし、昨日の夜の残り物もあるから。ほら顔洗ってきて、そのうちに準備してるから」
キッチンに立って料理する姿は、さながらお母さんの様で。凄く様になってる。
まあ、美羽ちゃんの保護者やってるから間違いじゃないんだろうけど。
言われるままに洗面所で美羽ちゃんと顔を洗って戻るとテーブルにはすでに朝ご飯の用意が住んでた。
「ほら座って」
『いただきます』
「美羽学校はどう、楽しい?」
「はい、楽しいです」
「友達はできたりした?」
「一人追いかけてくれた友達がいて。最近はその子とすごしてます」
「そう、それはすごいわね」
またもやこの空気、入り込めない。
「エトは仕事どうなのよ」
「え、うん。相も変わらず忙しいけど。新人の教育もしないとだし」
「休みはあるの」
「あるけど無いかな」
「まあ、昨日の様子見たから予想はできてたわ」
「あはは、そうですか」
会話がぎこちないのは昨日のせいかな。あんなことあった訳だし。
「弁当二人分詰めといたから、忘れずに持っていきなさいよ」
「ありがとうございます、薫子さん」
「ありがとしっちゃん」
「一週間くらい居るから、家事は手伝ってあげる」
「しっちゃん仕事は?」
「ここでするわ、パソコンあればどうにかなるもの」
「個人事業主はいいなー」
「色々面倒なこともあるのよ」
なんて話しながら食べてたら、私は仕事に行く時間になって。急いで食べて、鞄を持って玄関に行くと美羽ちゃんとしっちゃんがついて来た。
「行ってらっしゃい、エト」
「行ってらっしゃい、エトさん」
「行ってきます、二人とも」
ちなみにお昼ご飯のお弁当は真ん中に大きなハートマークのお弁当だった。
しっちゃんが私を落としに来てるっ!
毎日更新のつもり!
面白いと感じていただけたのなら、気分でぽっちと感想と評価をお願いします。
いつも誤字報告ありがとうございます。大変助かっております。