知らぬ間に奪われて、捧げられてた初めて
とりあえずこれから美羽ちゃんと、しっちゃんのエトちゃん争奪戦が始まります。
「身体くらいは自分で洗って」
「エト、洗ってー」
「だーめ」
「けち」
「けちで結構」
しっちゃんが体を洗ってる間に髪を洗う。
まさかしっちゃんが私を好きだなんて思いもしなかった。たしかに今になって思えば、しっちゃんの友達は女の子ばっかりだったし。それこそ彼氏がいるなんて話も聞かなかったし。
どれもこれもしっちゃんが女の子を、というか私が好きだからって言うことを考えれば全部辻褄が合う。
そしてもっと大事なのが、美羽ちゃんと一線超えちゃった原因ってしっちゃんなんじゃないかなってこと。
だって普通に考えてだよ、高校生になったばかりの子があんなことするなんて。ありえない。そりゃあ女の子は成長が早いって言うけどいくらなんでもね。
でも、しっちゃんっていう悪い見本がいればなくも無いんじゃなないかなーと。
「エトちゃーん」
なんかいや予感がする。
「体洗ってあげる」
「私そっちの気ないから、離してっ」
「そんなこと言って、エトちゃん彼氏いないでしょ」
「まあ」
「じゃあいいよね」
「だから良くないんだってば」
なんでしっちゃんこんなに力強いのっ!?
美羽ちゃんといい、なんかおかしくない。私ってそんなにか弱い乙女だったけ。
「きゃっ」
しまっ!
「エトちゃん捕まえた」
床にあった泡に滑って尻もちついた所に、上からしっちゃんが乗ってきた。これは、どこからどう見ても食べられる構図っ! 阻止しないと色々と大変なことに。
はっ! 転んだ拍子に温度調節ダイヤルが水になってる。これは行ける。どうにか手を伸ばしてシャワーを全開で出す。そしてシャワーのノズルを掴んで……
「頭冷やして、しっちゃん!」
冷水を頭から被って動きが止まった。そのまま無言の数秒が過ぎて、くしゅんとくしゃみをした。
「ごめんなさい……」
「とりあえずお風呂入ったら」
「そうする」
どよーんっと重たい空気の中、しっちゃんはお風呂に入ってぶくぶくと沈んで行った。
体を洗い終えてお風呂に入ると、さすがに狭かったから密着しなきゃいけなかったけど。頭冷えたしっちゃんなら大丈夫だよね。
「しっちゃん」
「エト、大好き」
「あれ……頭冷えてない」
「冷えてるわよ。もう色々ばれてるし隠すのやめただけ」
「あ、うん」
つまりこれが、素なんだ。
「私、今でも好きなのエトのこと。大学の卒業旅行覚えてる?」
「うん、覚えてるけど」
「宿でエトが寝てる時にね、ファーストキスしたの謝っておくわ」
「え、なんて」
「ファーストキスよ、私のだけど」
「待って、私もファーストキスなんだけど」
だってそもそも彼氏とかいなかったし、というか今もだけど。美羽ちゃんに襲われたのも初体験だし。うん。
「嬉しい」
あっしっやんの微笑みがすごく怪しく見える。
「あの、私はそっちの気ないから。できれば普通に接してもらえると嬉しいかななんて」
「彼氏いないんでしょう」
「まあ……」
「じゃあ付き合わない?」
「え」
「だから付き合わないって言ったのよ」
「いやーそっちの気ないから」
「そう、じゃあ必ずその気にさせるから」
「んっ!!」
「じゃあまた明日ね」
すごく強烈なキスだった。でも好きにさせるっての本気の本気なのよね。どうしよ……私の貞操が危ない。もうあってないようなものかもしれないけど確実に……
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