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有給と新人は使いよう

昨日はダウンしてました。

「ええ、はい。よろしくお願い致します。それでは失礼致します」


 よし、これで先方への根回しも済んだし。安心して有給が過ごせるわ。

 いざ、有給を取ろうと思っても。どうにもすることがあり過ぎて、これは無理かなぁと思っていた私だったけど。ふと目に付いた新人を見て天啓が!

 新人の教育として、私の代わりに仕事をさせてみれば良いのではと。いつかは外回りとか、先方に挨拶をしに行くことになるし。行かないといけない所も、お得意さまで。新人に経験をと言えば、快く受け入れてくれそうな所だったし。

 これは行ける! と先方への根回しや新人への教育とか。上司に許可を取ったりとか。色々することはあったけど、当日私が居なくてもいいように段取りが組めて。電話も上司にするように言ったから、私に電話が来ることも無く。ちゃんとした有給が取れるのが確定した。

 まあ、明後日が日曜日で。休日出勤が確定してるけど……だってそもそも休みの日を有給にできないし。そもそも休日出勤がおかしいのよ。休日って、休む日って書いて休日よ。なのになんで休日出勤なんて言葉ができたのよ、矛盾してるじゃない。

 まあいいわ。有給取ったし、面倒なことは考えない方が幸せに生きられるのよ。


「ただいまー」

「おかえりなさい。ご飯できてますよ」

「美羽ちゃん嫁!」

「もうお酒飲んでるんですか。変なこと言ってないで、着替えてください」


 三週間たったからなのか、それとも別の理由があるのかわからないけど。美羽ちゃんはだいぶ柔らかくなった。口調だけじゃなくて仕草とかそういう感じのも。こう、抑圧からの解放みたいな? 自由って感じで、美羽ちゃん自身も楽しそう。


「飲んでないよ、明日が有給だからテンションが上がってるんだよっ!」

「ちゃんと寝てくださいね」

「美羽ちゃんが一緒に寝てくれるならいいよ」

「わかりました」

「え」

「なんですか、いやなんですか」

「いやじゃないよ。ただ、いいよって言うと思ってなかったから」

「私も少し寂しかっただけです。それにちょっと寒いし」

「確かに寒いよね。長袖のパジャマは美羽ちゃん持ってきてたっけ?」

「ないです。暖かくなると思ってたので」

「じゃあ私の貸してあげるよ」

「エトさんの、ありがとうございます」


 今日のご飯は、しじみの味噌汁に焼き鮭と。とっても健康的でした。

 お風呂に入ってリビングに行くと美羽ちゃんがポワーンッとしてた。酔ってぽわぽわになってる感じに似てるけど。お酒飲んでるわけじゃなさそうだし、というか飲ませちゃだめだし。

 冷蔵庫からチューハイを取り出して、カシュッッと一本開けてと。美羽ちゃんの隣に座って飲み始めるけど、無反応。よくわからないけどなんか重症っぽい?


「美羽ちゃん」

「は、はい」

「ホットミルクとか何か飲む?」

「じゃあ、ホットミルクを」

「はーい」


 牛乳をレンチンして美羽ちゃんの所に持っていって。


「はいどうぞー」

「ありがとうございます」


 眼をしょぼしょぼさせて眠そうに飲んでるし、眠いんだね。まあ十一時くらいだから仕方ないか。


「飲んだら布団にいこうか」

「うん」


 私も美羽ちゃんも飲み終わって、手をつなぎながら布団に入って。向き合って寝る。息がかかるくらいの距離に、美羽ちゃんの顔があって。まつ毛もはっきり見えるし。お布団に入ってすぐ寝ちゃったから、手はつないだままで。美羽ちゃんの指がうにゅうにゅ動くのがすごくもどかしい。それにすごくドキドキしてくる。こう、いけない感情がもぞもぞって蠢きだして。

 このままキスしちゃってもいいかななんて、思っちゃったり。顔を近づけていってあと少しで唇と唇が当たる距離で


「んっ」


 って美羽ちゃんが身じろぎして。握ってる手に力が入って、目じりから涙が一筋流れた。悪夢を見てるのか、何回かこうやって寝てる時に泣いてるのをよく見る。時には声も出して。そういう時は、頭をなでたり、手を握ってあげると泣き止んでくれて。

 さっきまでの、感情はもう綺麗になくなってる。今は美羽ちゃんをなでながら心は優しさで満ち溢れてる。母性っていうのかもしれない。子供いないから、わからないけど。

 美羽ちゃんの頭をなでてると、次第に涙は流れなくなっていて。目じりに溜まってる涙を指で拭ってあげると。安らかな寝顔に戻ってた。

 大人になっても、子供の時でも。世界は生きにくい。息が詰まりそうになることもあるし、死にたくなちゃう時だってあるけど。少なからず美羽ちゃんには幸せになってほしい。私はいつまで、美羽ちゃんの幸せを守って上げれるんだろう。

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