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二週間が過ぎた今

 美羽ちゃんがきて、2週間くらいが経った。2週間もすれば美羽ちゃんもこの環境になれたのか、堅苦しい感じが無くなったと思うけど。それでも気を張ってる感じが少しするわね。もちろん来た頃と比べたらだいぶ柔らかくなったんだけど。


「エトさんおかえりなさい」

「ただいま、美羽ちゃん」


 具体的な例を出せば、嫁感が増した。


「ご飯できてます。今日はお味噌汁と肉野菜炒めとほうれん草のおひたしですからね」

「ありがと」

「ビールは一缶だけですけど、今日は飲んじゃダメです」

「はい……」


 でもお酒まで管理しなくてもいいんじゃないかなって思うわ。だってお酒を飲んで忘れたいことが一つや二つあるし。

 あ、まだお仕事スイッチONだから口調が硬いのは許してね。


 で、お酒の制限は美羽ちゃんじゃないのよね。しっちゃんが私が飲んでるお酒の量を知って、美羽ちゃんに止めるように言ったのよ。私が美羽ちゃんに弱いのをいつの間にやら知られてて。


 美羽ちゃんの料理の腕も段々上手くなってきたし、最近は私がキッチンに立つことも少なくなってきたし。家でなにかする事減ったわ。


 美羽ちゃんが居候だからって洗濯とかもしてくれるんだけど。このままだと美羽ちゃん無しじゃ生きて行けなくなっちゃう気がするのよね。もうなってるかもって言うのは考えちゃだめよ私。


 そしてそして、今日は赤船に乗ったペリーが来航してきたから。鉄分多めの食事ばっかり、美羽ちゃんお手製弁当にはひじきが入ってたわ。ついでにお酒禁止なのはやりすぎだと思うけど。お弁当作ってくれるのも、嫁ポイント高いわよね。お酒禁止も、私の心配をしてくれていると思えば嬉しいものよね。


「あの、エトさん」

「なに?」

「調味料買ってもいいですか?」

「もちろん。何なら、キッチン周り美羽ちゃんが使いやすいようにしていいよ。フライパンとかも新しくしていいし」

「いいんですか?」

「うん、私ほとんどキッチンに立ってないし。今度買いに行こうか」

「今週お休みあるんですね」

「あっ」


 美羽ちゃんの嬉しそうな表情を見て後悔が募る。だって、だって今週も休みないわ。明日がその休みだけど、すでに予定が入ってるし。


「ら、来週有給とるから。来週行きましょ。ね?」

「有給取れるんですか?」

「取れるよ。一応有給があるから。取ったことないけど……」

「凄く怪しいですけど」

「大丈夫大丈夫。なんか有給消費しろって言ってたから。怒られることないって。なんか労基がうるさいとかなんとか」

「ならいいんですけど」


 実際使えって言われてたから、問題はないのよ。使えてもすることなかっただけで。今は美羽ちゃんいるから、美羽ちゃんのために使えるから無意味にならなくていいわね。普通に使ってても、寝てビール飲むだけだったし。


「学校で友達出来た?」

「できたというか、追いかけられてきたというか」

「追いかけ?」

「中学校の友達なんです。私のこと気味悪がらずに接してくれてた子で」

「いい子じゃない」

「でも、地元の高校に行くって聞いててたので。びっくりして」

「本当に追いかけてきたのね」

「はい」

「男の子?」

「女の子です」

「でも、さみしくなくてよかったじゃない」

「はい、おかげで新しい友達もできそうです」

「追いかけてくれた子のおかげね」

「はい」


 にしても、遠くまで追いかけてくるって相当仲いいのね。男の子なら好きだからなのかなって思ったけど、さすがに女の子じゃね。


「あっ、私たちの関係のこととかは?」

「何も話してないです」

「そっか。でもずっとは隠せなさそうだね」

「その時は、話します。エトさんのこといい人だってちゃんと伝えますから。安心してください」

「その時はお願いね。ご馳走様でした」

「お粗末様でした」

「じゃあ、先にお風呂入っていいよ美羽ちゃん。洗った人の特権だからね」

「じゃあ先に入ってきます。ビール飲んじゃダメですよ」

「大丈夫だって」


 ばれてた。でも、出血止まってないから長風呂はできないし。多分我慢できるはず。



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