ギルド入団の条件
お待たせしました~
8話
「こんばんはー!」
拓人……もといクラフトが、ギルドメンバー達に
挨拶をする。
「こんばんはー」
「こんこんこんー」
「クラ君、こん~」
ギルドの内部は木像建築となっており、床板の
ストライプ模様が向かいの壁まで続いていた。
「あれ? クラ君、その人だぁれ?」
やや低身長だが、ボディラインがはっきり現れている、
紫ボブカットの女性ユーザーが話しかけてきた。
「紹介するよ。彼は俺の現実の方での友達、
ryu…アレウスだよ」
「(今ぜってぇ隆二って言おうとしただろ…………)
アレウスです。彼に誘われて、皆様のギルド入りを
希望することにしました」
心の中でクラフトに突っ込みを入れつつ、
自身が何故来たかを説明した。
「アレウス君ねー」
「何処かで見たアバターのような…………」
先程の女性と薄青髪の華奢な男性が何かを
思い出そうとしている。
「あっ! 確かルーチューバーのピカリンが
インタビューしそこねていた新米ユーザーじゃん!」
金色ツンツンヘアーの細身だが筋肉質な
男性ユーザーが思い出したように叫んだ。
「そうか! 僕が数時間前に見た、新人狩りを
返り討ちにした大男か!」
薄青髪の男性も、思い出したように反応した。
「えー! 2人ともずるーい! 見たかったー!!」
紫ボブカットの女性が駄々をこねる。
「それは残念だったね。因みに俺も動画を見た上で、
本人から実演してもらったばっかりなんだ。だかr…」
「クーーーラーーーフーーートーーー!!!!
あたしはアレ君の荒ぶる姿を見たことも無いのに
動画だけじゃなくっ! ましてや実演してもらった
なんてどういうつもりっ!!?」
クラフトがアレウスのことを話し、その上で
何かを述べようとしたのだが、紫ボブカットの
女性が凄まじい剣幕で食らいついてきた。
因みに名前を叫んだ後の長文は、約3秒で言いきった。
「おっ、落ち着いてよマリリンさん。彼が入団すれば、
いつでも見られるからさっ。それよりも」
「それよりもって何!? そんなクラ君なんか、
フレイムピラーで火葬するんだからっ!」
「流石にそれはリフ・マジックシールドで
跳ね返すからねっ!」
「ぐぬぬ…………分かったよぅ。話し聞くよぉ」
マリリンは一旦引き下がり、話を聞く姿勢をとった。
「で、俺はアレウスの凄まじい身体能力を見込んで、
皆で鍛えていく新人ではなく、即戦力としてギルドに
貢献してもらうべく、入団させたいんだ」
「ってことはよぉ。入団時の試験クエストも
高レベルな物になるってことだな」
金髪の男性がやれやれといった表情で話した。
「アレウス君……だっけ? どうやら僕達の仲間に
なるのは至難の道のりになりそうだよ。クラフト君、
君は友人を虐めるのが趣味だったのかい?」
薄青髪の男性も金髪の男性と同じような反応だ。
「レイルさん、ジェルマンさん。俺はそれでも
アレウスが入団できると信じている。と言うわけで
リーダーか副長に会いたいのだが、何処に居るか
知ってる?」
「あー……俺はわりとさっき来たから知らねぇや。
ジェルマン、知ってるか?」
金髪男性の発言から、彼がレイルで薄青髪男性が
ジェルマンという名前であることが確定した。
「副長なら自室で武器の手入れをしているよ。
ドアノックすれば入れてくれるだろう」
「ありがとう。それじゃあアレウス、行こうか」
「うっし、実力を見se…」
「私ならここに居るぞ」
階段からビキニアーマーを着用した腰まで伸びる
緑髪の女性プレイヤーが降りてきた。
(おっ、カッケェ剣を持ってやがる。いつかあんなのを
振り回してみたいものだ)
アレウスは真っ先に彼女の持つ剣に注目したようだ。
「副長、早速ですが、ギルドで役立ちそうな者を
発見したので、仲間に入れさせてもらえませんか?」
「ふん、アバターの見た目はこの上なく強そうだな。
だが、本体の強さはプレイヤーの腕とステータス
割り振りによって決まる。まぁ、私からすれば
ひよっこも同然だ」
「そりゃあゲーム歴が違いますもん。
仕方無いことッスね」
「何だ? 反論しないのか?」
「そんなことしたって意味ないっしょ。だったら
腕を見せた方が早い。入団条件のクエストを教えて
ください」
アレウスは内心、クエストがどんな感じなのかが
楽しみで仕方なく、ウズウズしている状態なのだ。
「良い意気込みだな。では……今夜中にDランクの
クエストをクリアしろ」
「「「「えっ…………」」」」
アレウスを除く4名が同時に驚いた。
「皆さん? どうかしましたか??」
当然アレウスは訳が分からない。
「…………アレウス、1つだけアドバイスがある」
「何だよ? 深刻そうな表情をしやがって」
謎に深刻な表情をするクラフトに理由を問う。
「全速力でクエストをこなしていけ」
アレウスの両肩に手を置き、目をみて真剣な
表情で話した。
果たして…………クラフトがここまで真剣に
アドバイスをした訳とは!? 続く!
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