トカゲの次はドラゴンの幹部
本日11/18(水)の分です。
61話
全長20mの竜人とアレウスが睨み合っている。
『ヌゥン!!』
尾の末端がマッハ2前後まで加速される正真正銘
即死の1薙ぎが繰り出された。
「(敢えて前進してぇの)対物理受け身!」
よく、棒のような長物を振り回す相手に対し、
敢えて接近して制圧する場面がある。これは
運動エネルギーが高まった先端が直撃することを
防ぐ目的であることが多く、今回のアレウスも
大質量マッハ2の直撃を回避すべく前進し、
受け身技でノーダメージまで抑え込んだのだ。
「受け身のエネルギーも乗せた『超発勁』を
食らいやがれ!!」
柔道式前回り受け身を取ったことで、次の動作に
即繋げることが出来る。今回はSS級物理ユーザーが
絶望しがちな岩竜王相手でも、かなりのダメージを
与えれそうな威力の発勁を発動させた。
『…………イビルザードがやられるわけだ』
ウロボロスは飛び立ちつつ、相手が弟分を負かす程の
存在であることを認識した。
「これも中々通じねぇのか。伊達に兄貴分じゃねーなぁ」
発勁はDEF(硬さ等)の強さを無視してダメージを
与えられる攻撃手段なのだが、ウロボロスには1%
にも満たないダメージしか入ってなかった。
『当然だ。舐めてると…………こうなるぞぉ!!』
1k㎡は消失しかねない火炎放射を放ってきた。
「超吸引砲拳撃!!」
『ほぅ…………』
籠手装備・柔術家の技の1つ『吸引砲拳撃』を
強化して放った。この技は炎や毒等の流動体に
対して、それらを纏った飛ぶ拳でカウンターを
行える。しかし、当然ながらウロボロスに炎は
効かなかった。
「全く、どうしたもんかなぁ?」
現在、空中を飛び回るウロボロス相手に手を
出せない状況に追い込まれている。
(こちらからの飛ぶ斬撃やブレスのカウンターは
効かねぇ。発勁も効果今一つ…………かといって
助走つけて跳んだら食われるだけだしなぁ…………。
んん?)
ウロボロスの姿が一気に大きくなった。
『潰れろ!!』
「ことわーる!」
アレウスはウロボロスの突進を跳躍で避けつつ
長棒に持ちかえた。そのまま超スピードの全宙を
行いつつ、その勢いで加速した一撃をお返しした。
『効かんな!』
「当たらないぜっ!」
圧倒的泥仕合の雰囲気が漂う。
『ヌゥン!!』
「へっ!」
空中から振り抜く尾の一撃も、アレウスは軽く避けた。
「オラァ!!」
『効かん!』
その場で瞬時にマッハ1.4まで加速した棒も、
殆どダメージになっていない。
『貴様では我を倒すことなぞ出来ぬのだぁ!』
そう言って、連続で火球を放ってきた。
「そっくりそのまま返すぜ! お前じゃ俺に一撃も
有効打を与えれねぇぜ!!」
着弾した場所を半径10mの溶岩に変えてしまう
火球をかわしつつ、挑発を続けた。
『ならばその挑発に乗るとしようか。メテオレッグ!!』
上に最大火力のブレスを放つことで加速した
踏みつけ蹴りが瞬時に迫り来る。
「っおおっ!!」
直ぐに反応したアレウスは全速力で距離を取った。
~街中~
「ムオオッ!」
レオナルドが両手斧の一撃で、ティラノサウルスを倒した。
「グッッ!! イシュタル!!」
「サイクロン!!」
クラフトが面積の大きな盾で竜人達の拳をガードし、
一瞬の隙をついてイシュタルが中級風魔法を放った。
「…………巻き込まれることを想像したくない威力だな。
クラフト、今のうちに回復だ」
「はい!」
先程のガードで大ダメージを受けたクラフトは、
直ぐに特回復ポーションを飲んだ。
『ドォン!!!!!!!』
「な、何が起きてますの!?」
突如襲った揺れと轟音に、イシュタルは動揺する。
「街の外から聞こえましたよ!?」
クラフトが続ける。
「…………アレウス。一体何と戦っている?」
この規模の衝撃はレオナルドも未経験らしい。
~街の外~
『勘の良いガキよ。取り敢えず距離を取って逃げ…』
「食らええっ!!」
大技の隙は格好の餌食だぜと言わんばかりに、
初手不意打ちでダメージを与えた最大火力の
殴打を再び繰り出した。
『せっかちなガキだな』
「余裕ぶってられんのも今の内だぜ(地味に打点を
ずらしてダメージを軽減してるのが、流石魔王軍幹部
って感じだな)」
唯一、光明が見えているこの一撃も対応されつつある。
『…………そうだな。何も我自身が貴様に
とどめを刺す必要は無いな』
そう言って、指パッチンをしたところ、
周囲にヒュジラの大群が現れた。
「…………DEFとINTは弟子と比べもんにならねぇか」
圧倒的不利…………どうなる??
注釈:久しぶりに出てきたヒュジラですが、以前卵採取のクエストに
出てきたゴジラの胴体にヒドラの5つ首がついたモンスターです。
武器 (ステッキ)について。
魔法系jobユーザーの内、手数で攻めるタイプの
ユーザーに愛用される武器である。速射性、連射性に
優れる上、武器重量が軽いが故に回避能力も落とさない
ので、反射神経が良い者にも相性が良い。
アレウスも自慢の蹴りと併用出来る点を気に入っている。
ブクマ、高評価、感想、レビューが励みとなっています。
今後も面白い内容をかけるように頑張ります!




