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ニューリアルフィジーカー

ボディビル : 兎に角全体的に筋肉が多く、シルエットが

はっきりしている程有利


フィジーク : 筋肉の大きさのみならず、逆三角形度合い

も評価ポイントになる。腹筋とか多すぎると減点される。


因みに今話では関係ありません。

45話


 アレウスが息抜きに向かおうと思い立った

頃、新たなリアルフィジクスモードユーザーが、

グラス・コープ入り口へと到着していた。


「ここが冒険者たちの集う場所…………いよいよ

私も皆様と共に、クエストを達成していくの

ですね」


 腰と肩の間まで伸びる銀髪に、これ以上無い

レベルで整った目鼻立ちのアバターが呟いた。

道行くユーザーは、あくまでもアバターだと

分かっていながらも、彼女に振り向かずには

いられない。


「おい、あんた。何でリアルフィジクスモード

なんかやってるんだ?」


 赤髪短髪の地味な男が話しかけてきた。


「はい、このゲームオリジナルのモード

でしたので、好奇心から試してみました。

とてもエキサイティングで楽s…」


「ああ!? てめぇSAFを舐めてんのか!?」


「?、失礼ながら、意図を理解しかねます。

よろしければ教えて頂けるとありがたいです」


「まぁまぁ落ち着けよ」


 金髪の男が割り込んできた。


「美しい姉ちゃん。今、君がやっている

リアルフィジクスモードはね、暗黙の

ルールでやっちゃいけない事になって

いるんだ」


「暗黙のルールとは、公式では定められて

いないけれど、同じ集団の人々全員が守る

ルールの事ですよね」


「そういうことだ」


「ですが、どうしてリアルフィジクスモードを

禁ずることが暗黙のルールになっておられるの

です?」


「チュートリアルで聞いたと思うけど、リアル

フィジクスモードだとステータスポイントが

入手できないでしょ? それだと今後強くなって

いくモンスターに対抗するように強くなれない。

つまりだ、次第に足手まといになっていくのだよ」


「それでしたら現実で鍛えれば良いでは

ありませんか! ルーチューバーのピカリン様が

紹介していたアレウス様のように、筋肉を鍛える

ことで強く、速くなれると聞いています」


「はぁ~あ、コイツ見込みゼロだわ。粛清するぞ!」


「え…………? キャッ!?」


 赤髪の初撃を辛うじて回避した。


「ど、どうして私を攻撃するのです!? 私、

皆様に何か悪いことでもしまして!?」


「だーーー! 今のでわかんねぇのか!?

足手まといになるようなモードで遊んで

いること自体が迷惑なんだよ!!」


「ですが! アレウス様のように

鍛え込みさえすれば!!」


「姉ちゃん、それができるのはごく一部の天才

だけだよ。姉ちゃんが天才って証拠を見せれば

納得できるかもしれないけどよ、多分無理だろ?

悪いことは言わねえ。ノーマルモードで出直してきな」


「そんな…………折角可愛らしいアバターを作ったのに…………」


「いや、アバターはそのままで、モードだけ

やり直せば良い。リアルフィジクスモードで

ここまでこれる姉ちゃんだ。ノーマルモードで

サクッときたら、俺のギルドに入れてやるぜ」

「おいおいレオン。見た目が可愛いからって

肩入れし過ぎだろう」


 いつの間にやら囲まれつつあり、周囲から

イヤらしいものも含めた視線が向かっている。


「…………折角ですが、ギルド入団も、ノーマルモードも

お断りします。私は…………このまま誰の団にも入らずに

冒険を楽しみます!」


「……………………プッ、「「「「アハハハハハハハ!!!

!!!」」」」」


この場にいるほぼ全員が笑い飛ばした。


「リアルフィジクスモードで一人旅とか頭沸いてん

のか!?」

「コイツは危険だ! 排除だ!!」

「レオン、お前も切り替えてやれよ」

「フッ、当然。俺の勧誘を断る奴は、服をひんむいて

公開処刑だ!」


 荒い連携攻撃が、銀髪美少女に襲い掛かった。


「武器はモンスターを討伐するための物です!

ユーザー同士に向けないで下さい!」


「うるせぇ! さっきから正義ぶってんじゃ

ねぇぞ!!」


 大振りの片手斧をしゃがんで避ける。


「避けてないで反撃しろや!」


 魔法使いが煽るようにマグ・ショット(魔力球)を放った。


「お断りします! 私は幼少の頃より野蛮な

真似をしないと誓っていますので!」


 紙一重で避けながら答えて見せた。


「へぇ、じゃあ裸晒(はだかさら)すまでじっくりといたぶって

やろうぜ!」

「いいね~」

「賛成!」


 更に攻撃が激しくなると思ったときだった。


「うわっ!」

「ぎゃっ!」

「何だ!?」


リンチしているメンバーの内、3人の武器に何かが

当たり、武器が落ちてしまった。


「矢…………!! どこのどいつが放った!」


「退いて!」

「おわっ!?」


 誰かがピンク髪のアーチャーに退かされ、

転倒した。


「恥ずかしくないの!? 1人の女の子を

よってたかっていじめて!!」


「ああ!? 何言ってやがる?」

「ソイツはリアルフィジクスモードなんか

やってるボンクラだぞ!!」

「そういうお前だって、以前俺達とアレウスを

いじめてたじゃねーか!」


「そうよ、返り討ちにされて、それからしばらく

してギルドに入ったことで、いかに愚かなことを

していたかを思いしらされたわ。対する貴方達は

未だに愚行を続けている事が恥ずかしくないの?」


「無いね。お前こそ俺を裏切った恩知らずの分際で、

恥ずかしくないのか? ミュー」


「あら、ウィルソン団長……こほん、失礼、

"元団長"、お久しぶりですね。相変わらず

戦士のレベル15で、可愛らしいですね」


 軽蔑(けいべつ)した目を向けながら、皮肉を言い放った。


「てっ、てっ、てめっ…………」


 ミューとウィルソンが別れて約1ヶ月。

ジェルマン達にアドバイスをもらいつつも、

コツコツと努力を重ねてアーチャーのレベルを

カンストさせたミューに対し、元団長の

ウィルソンはレベルが変わってなかった。

そのため、とても恥ずかしい思いをしている。


「何にしたって、アグロフラッシュのミューが

来たからには、この子に手出しさせないわよ」


「ぶっ殺…」

「うるさい」


 ウィルソンが動き出そうとした瞬間、ミューの

矢が脳天に突き刺さり、死に戻りした。


「あの…………ミュー様…………私はどうなっても

構いません。これ以上、貴女の手を汚すわけには」

「勘違いしないで、これは私が好きでやってる

ことなの。だから気にしないで。人を傷つけたく

ないならそこにいてね。絶対に私が守るから」


「へっ、言うじゃねぇか。この人数相手に

勝ってみろや!!」


 怒号と共に、全員が距離を摘める。


「乱射!」


 無数の矢を放つ技を発動した。1本1本の矢は

全て誰かの脳天に命中した。


「オラァ!」

「バック!」


 ミューの指示により、銀髪美少女も同時に後退する。


「遅いのよ!」


 矢を弓につがえる。


「へへっ」


 男は左へずれた。


「曲射!」


 しかし、矢の軌道をずらす技で完全に対応した。


「俺様の出番だな。見せてやるぜ雷速を超え、

光速に達した俺の剣技!」


「ヒューヒュー!」


「ブライトスラッ」

「おっっっそ!!」


 高速居合い斬りの技『紫電一閃』を発動したのだが、

それと殆ど同じ速度で走ってきた誰かに止められた。


「アレウス君!?」


 その誰かの正体は当然アレウスだ。


「ミュー、よくその子を守り抜いたな。

カッコ良かったぜ!」

「う、うん!」


満面の笑みで褒められ、ミューは照れながら

嬉しそうに返事した。


「さーて、雷速を超え、光速に達した俺の剣技(笑)

は相も変わらずポンコツだったが、ここからは俺も

相手だぜ」


「またしても……!! お前か!!」


 以前もアレウスに辱しめを受けたレオンは、

彼の登場に苛立ちがピークに達した。


「い、1度ならず2度までも!!」

『ドォン!!!!!』

「「ひっ!?」」


 赤髪の男が口を開いたタイミングで、付近で

爆発が起きたかのような音が聞こえたので、レオンと

並んで萎縮した。


「おい、クソガキ…………てめぇ以前に「2度と

話しかけるな」って忠告したよな?」


 アレウスに胸ぐらを捕まれた、赤髪短髪の

地味な男…………彼は以前、アレウスに突っかかって

きた迷惑ユーザーその人なのだ。


「はっはひっ…………そっ、そのぉぉぉおぉおおぉ

おおおおおおっっっっ!?!?!?!?」


 突如強く引っ張り回され、頭に血が昇る感覚に

謎の奇声を上げてしまう。


「2度と顔も見たかねぇーんだよぉ!!!」

「あーーーーれーーーーー!!」


 腕関節を外し、十分な遠心力を加え、投擲速(とうてきそく)()

時速500km以上にしてから、天空へと解き放った。


「これで決める! ブライトスラッシュ!!」


 中二男レオンの本領が発揮された。


「うんうん、全速力で走っていると、大体

こんな速度で物が近づいてくるんだよな~」


 が、大体こんな速度で走っているアレウスに

してみれば、容易く剣を握り止めれる速度とも

言える。


「へぇ、中々良い剣じゃねーか」


その上レオンから取り上げて、マジマジと

観察している。


「かっ、返se…」

「わーってる」


アレウスは"る"と"よ"の間の一瞬で、剣を凪いだ。


「よ!」


 関節を外したその一撃は音速をも超え、超音速の

剣の先端部が通った軌跡から放たれた飛ぶ斬撃は、

半径10mの木々を綺麗に斬り倒した。因みに剣は

振り抜きのタイミングで投げ捨てた


「あがっ…………」


 剣を投げ捨てられたレオンに最早反抗の意思はなく、

ただ腰を抜かしているだけだった。


「折角だから紫電一閃の手本を見せてやる」


 そう言って、瞬く間にレオンを一閃した。


「…………はっ! 今d…」


 残党がミュー達に攻撃をしようとしたが


「ああ!?」

「ひゃああああ~~!!!」


 アレウスの1睨みで全員仲良く、尻尾を巻いて

逃げた。


「ふぅ、雑魚の嫌がらせも困ったもんだぜ」

「やっぱアレウス君には敵わないなぁ~カッコ良さも」


 ミューはウインクも交えてアレウスを褒めた。


「いやいや、そんなことは無い。多勢に無勢で

頑張ったミューがMVPさ」


 ウインクに若干照れつつ、ミューを改めて褒めた。


「2人とも…………ありがとうございます。それと、

私を2人のギルドに入れさせてもらえませんか

…………!!」

ブクマ、星5つを着けてくださると、やる気が上がります。感想やレビューも、お待ちしています!

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