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S級迷惑ユーザーとの戯れ

ブクマ150超えと総合pt600超え

ありがとーうございましたっ!


明日はもしかしたら朝夕の2話投稿をするかもしれません。

32話 


「おい!そこの木偶(でく)! ちょっと(つら)貸せや」


「はい、何でしょうか?」


アレウスは乱暴な口調の相手に動じることはなく、

普段の調子で返事をした。


「お前さぁ…………いくらギルドリーダーが優しい

からって、S級様の巣窟についていくか? 普通。

下級jobレベル10の半人前の分際で、()()()

肩並べようなんて甘ぇ考えしてんじゃねぇぞ!!!」


滅茶苦茶凄んできたのだが、アレウスからすれば

ちっとも怖くなかった。何故なら…………


(この人、最上級jobで隊長に匹敵するレベルなら

説得力あるけどよぉ、副長と同じ上級jobのグレート

ウォリアーで、しかもレベルが副長より10低い

成り立てだから、何の説得力も無いんだよなぁ…………)


あまりにも発言に対する実力が伴っておらず、

レオナルドと張り合えるアレウスからすれば、

実力的に格下も同然だった。


「んん? 何だ、ビビってションベン漏らし

ちまったか??」

「いやいや! そしたら強制ログアウトして、

アバターの映像が乱れてるって!」


隣の同僚とおぼしき女が腹を抱えながらツッコミを

入れた。


(この人は…………中級jobローグの…………レベル15?

うちのギルドに挑んできたら、入りたてのミュー以外の

誰にも勝てないんじゃね?)


この2人のあまりのお粗末さにアレウスは反論する気

すら消え失せていた。


「そうだよなぁ~! 流石に漏らしたりはしないよ

なぁ~~~!!」

「あっはっはっはっは!!」


そんなアレウスを他所に、向こうは勝手に

盛り上がってるので


「アレウス、もうそろそろ20時を回る。S級クエストは

時間がかかりがちだからもう行くぞ」


「そうですね。S級クエストで出現するモンスターが

どれ程の強さなのか楽しみです!」


レオナルドの時間勧告に従い、さっさと街へ

向かってしまった。


「「あっはっはっはっ……」あ、おいコラ待てや!!」


男の方がアレウスに拳を放ってきたが、アレウスは

見向きもせずに避けてしまった。


「だからなんですか? 俺達忙しいんで岩でも

殴っていてください」


うんざりする気持ちから、適当な返事をした。


「てめっ…………煽ってんじゃねーぞゴルゥアア!!!」


相手は煽りと勘違いしたらしく、全力で斧を

振り下ろしてきた。


「…………隊長、この街って私闘禁止だったりしますか?」


「そうだな、やり過ぎて運営にBANされたユーザーは

過去に居たな」


「でしたらさっさと行きますか」


「うむ、ここには俺の顔見知りが大勢居る。今後

関わることになるだろうから、挨拶はしっかりと

行うのだぞ」


「はい!」


男の攻撃なぞまるで何もないかのような態度で

回避し続け、レオナルドと雑談しながら街へと

歩んだ。街へ入ったら、この男も攻撃を止める

だろうという考えもある。


「糞がぁ!!」


その魂胆を察した男はあろうことか、絶対に敵わない

相手であるレオナルドに一撃を振るったのだ。


「おい、隊長に何しようとした。ええ?」


アレウスはその一撃を軽く握り止め、

ドスの効いた声で威圧した。


「なっ…………(一連の動きが見えなかった…………!?)」


「だからさ、何で隊長に攻撃したかって聞いて

いるんだよ。隊長には何一つ落ち度が無かった

だろ?」

「えと…………その…………」


男は完全に腰が抜けており、一転して怯えている。

女に関しては、アレウスが男の拳を避けた時点で

棒立ち状態になっているらしい。


「アレウス。それ以上は時間の無駄だ、ギルドに向かうぞ」


レオナルドは自分の事に時間を割かず、アレウスに

早くS級クエストを体験させたい様子だ。


「わかりました。命拾いしたな」


突き放すように斧を離すと、男は地面へ尻餅をついた。


「ち、ちょっと…………大丈夫?」


アレウス達が離れたタイミングで女が男の無事を

確認しに来た。


「………………………………ハッ!」

「あ、正気ni…キャッ!?」


我に帰った男は女を振り払った上で、斧を構えた。

そして…………


「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


声だけは威勢の良い叫びを上げながら、S級とは

思えないカッコ悪さのダッシュでアレウスに接近した。


「あ、空の彼方へご案内~♪」


男が片手斧を振りかぶった瞬間、微妙な距離を

瞬時に詰めて胸ぐらをがっしりと掴んだ。そして

1度回転しながら肩と肘の関節を外し、2度目の

回転中に手首の関節も外し、2回転が終わった瞬間、

体を制止。その時に発生した反動で、関節が外れて

しなっている腕を急加速させ、男を街の中央にある

城へ向かって斜め30度、時速300kmで投擲した。


「ああああぁぁ…………」

「………………」


男は一瞬で街の中央にそびえ立つ城へと遠ざかり、

声は聞こえなくなった。そして女は微動だにしなく

なった。


「お姉さんも空飛んでみる? ああ、勿論優しく

投げるからさ!」


様子を見かねたアレウスが、1つ提案してみると…………


「けけけけけっこうどぅぇええっすうぅぅう!?!?

さようならぁぁあう~~」


凄まじい顔芸をしつつ、逃げ出した。途中で

振り替えり、こちらの様子を伺ってきたので…………


「ニコッ!」


と笑うと、白目を向いてアバターの映像が乱れた。


「片付いたな。行くぞ」

「はい」


レオナルドとアレウスはようやく街へと行くことが出来た。


「しかし隊長、さっきの人たちって何だったんですか?」


「格下狩りだな。まぁ、グラス・コープの新人潰しを

グレートアップさせたようなものだ」


「結局自分が弱いから、若い芽を摘もうって事ですね。

あの時アイツらをぶっ飛ばして良かった~」


アイツらとは、勿論グラス・コープで遭遇した

迷惑ユーザー達の事だ。


「所であの姉ちゃん、何で白目向いてボヤけたん

ですかね?」


「んん? アレウス、敢えて笑うことで脅した

訳じゃなかったのか?」


「いやー、俺としてはむしろなにもしないよって

伝えたつもりだったんですけどね。怖すぎて失神

…………失禁? まぁ、なんかなっちゃいましたね~」


「…………仮に戻ってきても、あの位置であの動きを

している最中だと、頭から転ぶか木にぶつかるかの

どちらかになるだろうな。運の悪いことだ」


「南無」


2人して彼女を哀れんだ。そして例のクエストを受け、

ジャングル地帯へと足を踏み入れた。


「おおおおっ、ここはいつぞやの裏ダンジョンに

そっくりじゃないですか~」


「ほう、つまりはあのブラキオザウルスや

プテラノドン相手に単独で立ち回っていたのか。

あれらは平均的なS級冒険者でも最低2人は必要、

SS級でも単独だと苦労するぞ」


「へぇ~S級クエストを受けられる現場なだけあって、

凶暴なモンスターばっかりなんですねー」


「ああ。早速襲撃してきたな」


上からはプテラノドン、横からはディノニクスの軍団が攻めてきた。


「そっちは任せたぞ」

「了解! 行くぜぇっ!!」


アレウスは片手斧の基本技『全霊撃(ぜんれいげき)』……を、自らの

筋力で再現した上で強化した『(ちょう)全霊撃(ぜんれいげき)』に昇華し、

目前のディノニクスを倒すだけでなく、発生した

飛ぶ斬撃で後続まで一掃した。


「フッ、とてもSTRを1.5倍にしてダメージ計算する

だけの技とは思えない威力だな」


レオナルドの方も投げた両手斧から飛ぶ斬撃を放つ技で

プテラノドンを落とし、とどめを刺している段階だった。


「しかし、隊長もS級でも苦戦するプテラノドンに

全然楽勝じゃないですか」


「フッ、俺の実力はお前も知っての通りだろう。お前が

来る前も、ここを庭のごとく駆け回って鍛えていた

からな。SS級が手を焼くモンスターも何度か倒した

ことがあるぞ」


「ヒェー…………でも、俺も負けてらんないッス!

この機会に鍛えまくって、戦闘力だけでも隊長を

超えて見せます!」


「そうか、ならば俺も更に一皮脱ぐしかないようだな」


等と話していると、いつぞやの20m級

ティラノサウルスが現れた。


「生憎今の俺はお前にも有効打を与えれるぜ」


ティラノサウルスの噛みつきを回避しつつ……


(ちょう)全伸(ぜんしん)全霊(ぜんれい)(げき)だぜぇ!!」


ディノニクスを瞬殺した技を、関節外しバージョンで

放ったのだ。直撃時の()(とう)の速度は実にマッハ2.2。

あっという間にティラノサウルスは虫の息だ。


「荒れ狂う一撃というに相応しいな。いつもの

20倍は早く片付いてしまったぞ」


続けてレオナルドが両手斧を高速回転させながら

超スピードで投擲する技『塵旋風撃(じんせんぷうげき)』を食らわせる

ことで、とどめを刺した。


「まぁ、ティラノは固いですしね~。裏ダンで初勝負

した時は、流石にどうしたものかと思いましたよ」


「だが、その時もどうにか倒し、今では

SS級パーティーすら恐れるこいつも一捻りか。

大した物理攻撃力だ」


「けど、やはりと言うか反動ダメージがえげつない

ですね~。仮に外していたら反動で死んでいたかも

しれませんよ」


HPが2/5ほど減少していた。自然回復しても

3割程は減ったままだろう。


「人の身体で音速を超えること事態が無茶だからな。

こればかりは骨肉を鍛えて軽減するしか無いだろう。

さて、目的地に向かうぞ」


「ウィッス」


2人はS級やSS級パーティーも可能な限り戦闘を

避けたがる恐竜達を苦もなさげに捌きつつ、ふと

気づいたらダンジョンの目前まで来ていた。


「では、これより岩竜王・ジャイロドンの討伐を

開始する!」

ブクマ、星5つを着けてくださるとやる気が上がります。感想やレビューも引き続きお待ちしています!

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