タコは怪異をも捕食する
遂にブックマーク100人達成!
ありがとうございますっっ!!!!
週間VRゲームも33位に入り、100位とはいえ、
月間VRゲームにも乗るようになりましたっ!
あーりがとーーう、ございますっっっ!!!!!
29話
「「ただいま~!」」
「レイルにアレ君お帰り~」
「2人ともお帰りなさい~。今日もアレウスは
早かったね」
マリリンとクラフトがくつろいでいた。
「クラフト、丁度よかったぜ。バーベルセットの
材料揃えたぞ」
「おっ、もう揃ったんだな。流石の機動力だよ」
「じゃ、後はよろしく! 楽しみにしてるぜ」
そう言って、アイテムを渡した。
「じゃあさ、2人とも暇そうだし、あたしの
クエスト手伝ってよ!」
「俺は構いませんよ。レイルさんはどうですか?」
「目ぼしいアイテムを優先的に寄越すなら
付き合ってやるぜ」
「じゃあ行こう!」
今回のクエストは、S級冒険者でも討伐が厳しい
ヒュジラというモンスターの卵の採取だった。
ヒュジラはゴジラの体にヒュドラのような首が
5本生えたモンスターだ。身体能力や頑強さは
勿論の事、炎、冷気、斬撃の暴風、毒、電撃の
ブレスを吐くことが厄介だ。因みに電撃のブレスは
ナトリウムイオンと塩素イオンのプラズマを吐くこと
で成立させているそうだ。
~崖地帯~
「はーあ、折角後少しでアサシンがカンスト
しそうだったのに、忍者にならざるを得ねぇか」
「怖がることはないよ、レイル。あたしの補助魔法で
全ステータスを上げて上げるからね。勿論アレ君も!」
クエストに最適なjobとして、レイルは忍者に、
マリリンは補助魔導士になった。
「アザッス!……と、言いたいところですが、
俺は具体的に何をする係ですか? レイルさん
みたいに気配を消せませんし…………」
「道中のモンスター退治と、万が一ヒュジラが
起きたときに、可能なら仕留めて欲しいって感じだね」
「ったくあっぶねークエスト受注しやがって…………」
「ヒュジラなんて早々帰ってこないわよ」
そうこうしている内に、モンスターの大群が襲ってきた。
「マリリン、AGIを上げてくれ」
「はいはーい、ゲレッグ~」
AGIを上昇させる補助魔法を2人にかけた。
「来た来た来たー!」
レイルは疾風の如く駆け出し、適度に接近したら、
物凄いペースで手裏剣を飛ばし始めた。
「あ~あ、STRが心元ねぇから大して効いてねぇなぁ」
雑魚を倒せはするが、一掃という訳にはいかず、
囲まれつつある。
「俺の場合は純粋に足腰の出力が上がるのか…………」
リアルフィジクスモードのアレウスは、足腰の筋力が
上昇するらしい。したがって…………
「チーターを超える俺の蹴りに震えろぉぉおお!!」
速度はチーターレベルに達し、そこから放たれる
蹴りは実に普段の4倍の威力。レイルを囲みつつ
あったモンスター達は、1秒足らずで四散していった。
「…………お前ならリアルでも獣に勝ちそうだよな」
「昔流行った獣の倒し方を実践したら倒せそうだよね~」
強くなり続けたアレウスは、いよいよ本格的に
獣扱いされ始めたのだ。
「いやぁ…………熊や猪には遭遇しないことが一番ッスよ」
3人でアイテムを拾いつつ、雑談しながら先へと
進んでいった。
~ヒュジラの巣窟~
「……………………」
何かを悟った表情のレイル。
「……………………」
何やらワクワクしているアレウス。
「……………………」
ポカーンと口を開けたマリリン。
(((ヒュジラ居るじゃねーか!!)))
立てば50mはありそうなヒュジラが地面に横たわり、
寝ていた。首が4本しか見えず、一本は地面に埋まって
いるのかも知れない。
「おい…………滅多に巣に戻らねぇんじゃなかったのか?
ええ??」
ヒソヒソ声のレイルがマリリンに詰め寄る。
「仕方ないじゃない! こんなこともあるわよ!」
ヒソヒソ声で反論する。
「2人とも落ち着いてください。こっそり行けば
起きないですよ」
アレウスが2人を落ち着かせようと声をかけた。
「っしゃあねーな。起きねぇことを祈るしかねぇ」
「例え起きても俺が首を殴り続けるので、ご安心を!」
アレウスは3節棍を取りだし、明るい表情で答えた。
「ほら、アレ君もやる気まんまんだし、レイルも
頑張って! クエスト報酬もレアなのあげるからさっ」
既に全ステータスを上げる補助魔法をかけ終えた
マリリンがレイルを鼓舞した。
「じゃ、行くぜ……土遁・隠息消音」
息を潜め、足音1つ立てずに歩みだした。
(良い感じ…………そう、それそれ!)
レイルは寝ているヒュジラに気づかれること無く
接近し、卵を1つ抱えた。
(ヒュジラ怖ぇぇ~~。2度と会いたくねぇな)
そう思いながら卵を持ち上げた時だった。
『ギロリ』
ヒュジラが目を覚ました。
(えっ!? 気配も足音も完璧に消えてたよな!?!?)
(なんで!?)
レイルとマリリンはヒュジラが目覚めたカラクリを
理解できていない。
「卵を持ち上げたことによる重量の変化かな?」
「うっそ!?」
ヒュジラの首の1つが地面に潜っていた場合、
卵を持ち上げた事による重量変化を察知できる
可能性がある。まぁ、今はそんなことよりも…………
「俺が食い止めます!」
「頼んだああああ!!!」
「レイル、速く! 速く!」
アレウスとレイルが正反対の方向へ走っていく。
「先手必勝!超加速の一撃だぁ!!」
アレウスは大ジャンプをし、ヒュジラの5つの首に
3節棍を命中させた。ウォーミングアップの時に、
ある程度使えるようにした成果を遺憾なく発揮し、
ヒュジラの首を全て明後日の方向へ向けさせる事が
出来た。
『グオオッ!?』
あまりの速度に驚いたのか、大きな隙が生まれた。
「うひゃあ、炎と雷が混ざって爆発するわ、真空波と
冷気が相殺し合うわ、あんなブレス食らってられんな」
直径6mはあろうかという属性攻撃が、5本も放たれる。
まともに食らって生きていられる人間は居ないだろう。
「一か八かとどめを狙うか!」
今の5連撃でもHPを10分の1ほど減らしたのだが、
アレウスには更なる攻撃手段があるらしい。
「アレ君無理しちゃダメっ!」
「それよりもっと速く走れ!」
後方では、マリリンとレイルの2人が必死で逃げている。
ブレスの射程圏外まではまだまだ遠い。
「両腕の関節も外しィ! 5節棍だぜぇ!!」
ヒュジラが動けない隙に先端部を最大限加速し…………
「食らええええええっっっ!!!」
『スパァァァァアン!!!』
右腕がもげてもおかしくないような速度で
振り抜いたのだ。右腕のリーチが増した
関節部も含めて5節棍となった棍棒の先端部は
音速を余裕で超え、ヒュジラの首5つを横なぎに
破壊する寸前、衝撃波を撒き散らしたのだ。
『ゴボバッ…………』
命中するまでに、マッハ4.6まで加速した棍棒は
ヒュジラの頭の1つを時速300kmまで加速しつつ、
頭蓋を粉砕した。加速されたヒュジラの頭は次の頭を
掠り、また次の頭に当たり、それらが連なって当たり、
最後の頭にも当たった。勿論HPもオーバーキル気味に
無くなっており、完全に討伐してしまったのだ。
「ふー、なんとかなったな。相変わらず
自傷&反動ダメージは半端ねぇけど」
アレウスは、関節を元に戻しつつ、華麗に着地した。
ブクマ、星5つを、着けてくださるとやる気が上がります。感想やレビューも引き続きお待ちしています!




