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チュートリアルマスター

あらすじ : チュートリアルを開始したら、序盤の雑魚敵ゴブリンが現れた!

3話


「オルゥア!!」


 一撃では倒せないかもしれない。そう考えた隆二は、

数ヵ月前、柔道部に勧誘された際、柔道場のサンド

バッグを破壊した時並の回し蹴りを放った。


『素晴らしいキックだね!』


ゴブリンは蹴られた直後にHPゲージが一瞬で黒くなり、

そのまま10m程飛んでから銅色の何かを残して消滅した。


『倒したモンスターはゲーム通貨のジュエルを

落とすのさ。銅貨は1枚1ジュエルだよ』


「モンスターを倒して金儲けするのは昔ゲームで

やってたなぁ」


 まだ筋トレの(きん)すら聞いたことの無い小学生時代を

思い返しつつ、ジュエルを拾った。


『じゃあ次は、すばしっこい敵を倒してみようか!』


 今度は猫ぐらいの大きさの歯が鋭いネズミが現れた。


『人喰いマウスはかなり速いよ。だけど、これ以上に

すばしっこい敵も多いから、何とか倒してみよう!』


「行くぜ!」


 痛みを感じないVRの特徴を利用し、全宙からの

踵落としを繰り出したが、人喰いマウスは容易く

横跳びで避けた。


「だったらこれはどうかな?」


 右足で地面すれすれの足払いをしたところ、

マウスは跳躍をして回避した。


「ここだ!」


 マウスが最高到達点まで浮いたタイミングで、

地面についた腕を軸に、先程の足払いの反動を

使って全身を捻り、振らなかった左足の足刀で

一撃を加えた。


『おお、凄い! 人喰いマウスを初見で倒せる人は、

1割にも満たないよ!』


「確かに素早いもんな」


 ジュエルを拾いつつ、身体能力が低かったら

手も足も当たらないなと思った。


『さて、次はナックルゴブリンを相手にしてもらおうか。

今度は攻撃を避けつつ、反撃で倒そう!』


 拳に籠手を装備したゴブリンが現れた。ゴブリンは

素早い身のこなしで拳を放ってきた。


「うおっ! 俺が以前加減できなくて、複雑骨折

させちまった不良並のパンチだな…………」


 ケンカ慣れした不良レベルに格闘力が高い。

初撃は大きく下がって避けてしまった。


「さて、タイミングを見て…………」


再びゴブリンが接近の予備動作に入った。


「ここだ!」


 その瞬間、中段直蹴りを放つことで、タイミング

良く一撃必殺をお見舞いすることが出来た。


「いっちょあがり! あの時の不良もこれで倒せれば

大怪我させなかったんだがな」


 初めに5回程殴られ、パニックになったが故の

スーパーデンジャラスぶちかましだったことを

思い出した。

 物思いにふけていると、軽快な音が数秒聞こえた。


『おめでとう、レベルアップだね。こんなスムーズに

モンスターを倒す人は久々だよ』


「あれ? リアルフィジクスモードはステータス

割り振りみたいのが出来ないから、レベルアップも

意味ないんじゃねーの?」


 疑問点を聞いてみた


『いいや、特技はリアルフィジクスモードでも

発動できるから、レベルアップすることによって

特技を覚えるというメリットがあるよ。それに、

ある程度ストーリーを進めたら、拠点でノーマル

モードと切り替えられるようになるんだ』


「ふーん、ステータスポイント? みたいのを貯金

出来る感じかな? まぁ、おいおい分かるか」


『さて、チュートリアルはこれで最後だ。それぞれ

装備の違うゴブリン3体を倒してみよう!』


 剣、籠手、杖を装備したゴブリンが現れた。


『あ、そうだ。言い忘れていたけど、君は魔法も

使えるよ。少し時を止めるからステータス画面の

特技から確認してみて』


 言われた通りに開いてみると、魔法技の欄に

『マグ・ショット』と書かれていた。


「撃ち方も書いてあるのか。手のひらを上に

向けると魔力球が現れるので……」


 掌に拳より少し大きめの白球が現れた。


「球体の外側をなぞるように手を動かして、

打ち出す方向へつき出す」


 説明文通りに操作し、剣ゴブリンの方向へ

打ち出すと、球体はゴブリンへ命中した。


「おお、ファンタジー感があるなぁ!」


『上手く撃てたね。それじゃあ時を戻すよ!』


 ゴブリン達が動き出したので、素早く全員を

確認できる位置へと移動した。


「おっ、(やっこ)さんも撃ってくるか」


 杖ゴブリンがマグ・ショットの予備動作を始めたので、

籠手ゴブリンが死角になる位置へと移動を開始した。


「下がって……」


 移動が完了したら、直ぐ様バックステップをする。

籠手ゴブリンも攻めるために向かってくるが、

あるタイミングで突如、籠手ゴブリンが背中を

反らせながら吹き飛ぶように加速した。


 杖ゴブリンのマグ・ショットが籠手ゴブリンに

命中したのだ。


「オラァ!」


 同時に隆二は身体を止め、急ブレーキの反動を乗せた

右ストレートで籠手ゴブリンを正面へ殴り飛ばす。


「やっぱ屍をぶつけただけじゃあ倒せねぇよな」


 杖ゴブリンに籠手ゴブリンの屍がぶつかったのだが、

それだけで倒せるはずが無い。それを理解している

隆二は走り始め、トップスピードまで加速しきる前に

跳躍した。


「撃たせる前に蹴る!」


 そして現在出せる最大の威力で飛び蹴りを放ち、

杖ゴブリンを倒した上、その屍をこちらへと

向かってきている剣ゴブリンに命中させて、

体勢を崩した。


「さてと……あの剣は俺の脚より長ぇよな」


 空中で籠手ゴブリンから発生したジュエルを

キャッチしつつ体勢を整える。そして敢えて

剣ゴブリンを接近させ、斬りつけてくる

ゴブリンの攻撃を確実に避けることで

間合いを把握した。


「こういう時こそっ……マグ・ショットだ!」


 ゴブリンが接近仕切る前に魔力球を命中させ、

間合いを詰めさせない。


「今だ……っおっ!」


よろけた隙に、とどめの一撃を加えようとしたが、

低威力の斬りつけを最小限の予備動作で放って

きたので、たまらず後退した。


「もういっちょ!」


魔力球でじわじわ削る作戦に移行する。


「もっかい……あれ? 出ねぇな」


『MPが足りなくなったんだ。現在は3回連続で

撃つのが限界みたいだね』


「…………仕方ねぇ。格闘技は小学生の頃にちょっと

だけ空手やってた位だが、のりきるしかねぇな。

考えろ……俺!」


 一先ず相手の攻撃を誘い、動きを覚えることにした。


「よーく見れば避けることは容易いよなぁ。おっ?」


 先程とは明らかに動きが違う。これは……


「突きかぁ!」


 中段への突き。ダメージは大きそうだが、外せば

隙が生まれる。隆二は並外れた高さの垂直跳びで

100cm程跳躍し、左足で剣の側面を踏んだ。

予想通り足場に出来たので、右足で当てた瞬間引く

サッカーボールキックを顔面に入れた後、膝を

折り畳んだ状態から全力で踏みつけた。


「うし、いっちょあがり!……ん? 剣と……杖?」


『それはドロップアイテムだね。武器毎に

物理攻撃力や魔法攻撃力が違うから、拾ったり

購入したりする度に確認すると良いよ。最も、

リアルフィジクスモードを遊ぶ君の場合、

攻撃は加速させるほど威力が増すから、

今のうちに高威力の攻撃方法を確立すると

良いよ。それじゃあ……楽しんでね!』


「おう!……よぉし、モンスターを見かけたら

倒していくかぁ!」


 隆二はとことん楽しむべく、モンスターが

多そうな場所へと駆け出した。

ブックマークや星5つを着けてくださるとやる気が上がります。感想やレビューもお待ちしています!

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