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動画製作(前編)

投稿遅れ、お詫び申し上げます。


後編は明日に投稿します。

308話


「2人とも、カンペ憶えたかー?」


「おう!」

「…………まぁ、やってみるよ」


 (しし)()の問いかけに、隆二と拓人はそれぞれ返事を

した。


「レディ…………アクション!!」

『カンッ!!』


 豬雄は、どこからか取り出したカチンコを鳴らし、

撮影を始めた。


「オラ、魔王。勇者様が来てやったぞぉ!」


「…………」


 障害物が無い部屋で、隆二は魔王役の拓人に圧を

かけたのだが、拓人は勉強椅子に座ったまま、無言

を貫く。


『ブンッ!!』

「居るなら早よ開けろゴルゥア!!」


 次の瞬間、隆二は門を殴るモーションをしながら、

罵声を発して圧を強めた。


「ククッww。脳筋が、開けれるもんなら開けてmi…」

「オラッ!!」

「グゴォアッッ!?」

「開けろって言ってんだろゴルゥアア!!」


 隆二を見て吹き出しそうになることを堪え、拓人は

不適な笑みを浮かべて挑発したのだが、隆二が門を

蹴破るモーションを行ったと同時に、拓人は頭を仰け

反らせるモーションを行った。


「ック、人間風情が、やるではないか…………」


「魔王と言う割に、貧弱なヤツだなぁ、オイ」


 拓人が右腕で頭を抱えつつ、立ち上がり、それに

対して隆二は挑発を行いながら、ダンボールソード

を構える。


「そう思えるのは今のうちだぞ? 貴様ごときの攻撃、

百発食らおうが、かすり傷すら負わん」


「なら、試してみるか。オラァアッッ!!」

『ヒュブォフォフォン!!』


 拓人の挑発返しに、隆二は持ち前の筋力をもって、

空気が音を発する程の振りを6回程度行った。


「プッ、何処を斬ってるんだ?」


 遠距離かつ、見当違いな方向に剣を振った隆二を

見て、拓人は鼻で笑った。


「何処だと? う・え・だ・よ!」

「何?」


 隆二の返事に反応し、拓人が上を向いた瞬間、


「グラビティ!」

「グアアッ!?」

『ゴトン!』


 落ちてきた何かに押し潰される体で、拓人は後ろに

倒れた。そして、勉強椅子と床が大きな音を出した。


「クッ! 動けぬだと…………!?」

「ヒョロガリに圧殺攻撃は効くだろう? とどめだ。

筋肉剣術・奥義!!」


 隆二は腰を大きく落とし、両手に持つ剣を顔の高さ

で水平に構えた。


「流星大根落斬閃!!」

「グアアアアアッッ!!」


 そして、常人基準で紛れもなく瞬時に距離を詰め、

世界最速の抜刀術を遥かに超える剣速で、大根斬り

を炸裂させた。


「負け…………か。勇者よ、我を討ち果たすとは見事なり。

だが、我が意思を受け継ぐ者が必ず現れ、貴様ら人間

を根絶やしにすることだろう…………。カハァ……!!!」


 破れた魔王は最期の言葉を残し、息絶えたのだった。


「フン、テメェみてーな雑魚の意思を受け継ぐ奴

なんざ、誰一人として現れねーよww。さぁーて、

後は国王をぶちのめして、姫を拐い、ここの連中に

リフォームさせてマイキャッスルにし、全国民に

参勤交代させる極楽生活の始まりだぜーー!!」


 魔王を破った勇者が、本性を現して剣を掲げた。

ここで、


「カーーット!」

『カンッ!!』


 撮影が終了した。


「2人とも良い演技だったぞ! これなら撮り直し

無しだ!」


 トリトンは2人の演技力を素直に称賛した。


「まぁ、ピカリンさんと何度も撮影して、場数を

重ねているからなぁ」


「お陰で、これくらいは緊張せずにこなせるように

なったぜ」


 2人も共通する根拠を教えた。


「成程! 隆二は兎も角、何となくあがり症っぽい拓人

の演技力が高かったのは、ピカリンさんの力があって

こそか! さっすがピカリンさんだ!!」


「隙あらば俺を(けな)してんじゃねーよ」


「冗談だよ。お前自身の努力あってこそでもあるん

だよな」


「当たり前だぜ。全く」


「それはそうと、この映像マジで投稿するの?

このままだと、ただのイテぇDK2人だぞ?」


「勿論、編集しまくるぜ! PDKの2人は見学していな」


「PDK??」


 隆二は、豬雄が言った謎の言葉に反応した。


「多分パンピー男子(D)高校生(K)の略だと思う。全く、

ダントツでイテぇのはお前じゃん」


「さっき貶したのを冗談にしたのに、俺を貶すの

かよ!」


「流石にこれは擁護できん」

「確かに」


「…………まぁ、そうだな」


 最初こそ抗議した豬雄だったが、少し振り反って

納得したようだ。


「さて、まずは背景を弄るぞ」


 豬雄は、パソコンを操作し、動画の編集を始めた。


「おおっ、フランケンシュタインがいそうな部屋模様

になったな!」

「そこはドラキュラで良いと思うぞ…………」


 背景が城に変わったことで、隆二は感想を述べたが、

拓人の突っ込みが入った。


「んーと、門の位置はこの辺だな。で、庶民くせぇ

椅子を玉座に変えて、クソデケぇシャンデリアっと」


 その後、フリー素材を駆使し、様々なオブジェを

飾り付けていった。


「自虐しまくりだな、オイ」

「庶民的というか、現代的だな」


 そして、2人は豬雄の発言に突っ込みを入れずに

いられなかった。


「あっと、お前らの姿をそれっぽくしねーとな。

こうしてこうして…………よーし! 様になった!」


 勇者・隆二の姿は、前方以外を覆う甲冑に、マント、

矢鱈とお尻に食い込んだビルパンに、アイアンブーツ

という、スパルタ兵をイメージした装備となった。


 魔王・拓人の姿は、限りなく黒に近いグレーの素肌

に全身を覆い隠す紫ローブ、首のネックレスと額の

赤い宝石が、禍々しさを出す姿となった。


「カッケェーーー!!」


 当然、拓人は大喜びした。…………しかし、


「いや、あのさぁ、筋肉目立たせてくれたのは嬉しい

けどよ」


「だろ?」


 隆二は、物言いたげに、豬雄に声をかける。豬雄は

かけられた声に素直に返事したが、


「ビルパン食い込み過ぎだろぉ! もっとマシなオブジェ

はねーの!?」


 その後に続く言葉は抗議そのものだった。


「まー、確かにそこに目がいくか~。しゃーねぇ、

いっそ柄の悪い山賊ファッションにするか。こうして

こうしてっと」


「こっちの方が断然様になってるな。良い感じだ!」


 結果、オールバックヘアーにドクロとサファイアの

ピアスを左右につけ、ダイアのネックレスをかけ、

勇者らしいロングコートを裸に羽織り、下半身を

皮ズボンと銀のアイアンブーツで固めるという、

"勇者から略奪した山賊ファッション"が完成した。


 隆二と豬雄は盛り上がっていたが、


(…………あれ? 台詞は荒ぶっていたけど、隆二って

歴とした勇者役だったよな??)


 拓人は違和感を覚えた。


「そうだ、段ボールソードをゴールデンソードに

変えて、魔王にも邪悪な錫杖を持たせるか」


 そして、2人の得物を相応しいものに変えて、

舞台設営は完了した。


「じゃ、試運転がてら流すぜ」


『オラ、魔王。勇者様が来てやったぞぉ!』


「おおー、それっぽくなってるなー!」


「けど、音がないと寂si…」

『居るなら早よ開けろゴルゥア!!』

『…………』


 勇者が豪腕で扉を殴るシーンにて、響くはずの轟音

が一切聞こえてこなかった。


「「ブフォwwwww」」

「これアカン!! っははwwwww」


 全員が吹き出し、急遽一時停止してしまった。


「ハァ……、ハァ……、効果音入れてかねーとな」


「歩くシーンにも低めの足音入れようぜ」


「そうか、動画編集が何で時間を食うのかっていえば、

編集すべき項目が多いからなんだな」


「そうなんだよ。お前らも配信者になる時は、その辺

覚悟しとけよー」


 そして、編集は多岐に渡った。


『オラッ!!』

『ボグゥオオオオン!!!』

『グゴォアッッ!?』


「音はこれで良いな」


「けど、門をぶっ飛ばさねーとな」


「100km位にするか?」


「…………うーん、魔王ののけ反りとタイミングが

合わないな…………」


「編集でカットするにも、俺の蹴りがカックンって

なっちまうよな」


「…………こういうのはどうだ? 殴られた門を一瞬

歪ませて時間を稼いで、代わりに吹き飛ぶ速度を

340.29 m / sにする。どうかな?」


「ナイスアイデア!」

「流石拓人!」


~剣を乱舞するシーン~


「ここは飛ぶ斬撃でシャンデリアを落とすんだよな?」


「ああ、斬撃のエフェクトはこれで良いか?」


「目視不能感が出て、良いと思うよ」


「それと、最後の斬撃の後に暴風が吹き荒れる

エフェクトを入れてみるぜ」


 変更点を視聴し、


「「力強さ出て良いなぁ!」」

「じゃ、これでいくぜ!」


 良ければ採用する。


~とどめのシーン~


「ここ、攻撃前に流星の背景を一瞬写すぜ」


「どれどれ…………」


「1秒チョイならクドすぎず良いな」


「そうだ、インパクトの瞬間に、大地震起こそうぜ!」


「大きな振動か。ナイスアイデアだ!」


「お前ならいつか、筋肉で地震を起こすかもなww」


「やってやるぜぇ!!」


~夕方~


「カー、カー」


 気づけば、カラスが鳴く時間になっていた。


「ゴクッ、ゴクッ、うし、準備OKだ」


「さて、流すぞ…………」


「2人芝居が、どうなったか、いざ視聴!」


 編集された動画が、流れ始めた。

最後までご覧下さりありがとうございます。


来週は2本は絶対投稿します。

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