異世界転生??
うおおお! ブクマ30人突破どころか40手前まで来た!?
あ~~りがと~~うご~~ざいますっっ!!!
HPについて
ノーマルモード : ユーザーやモンスターの耐久力を表す。
防御が攻撃を下回り、大ダメージを受けてもHPで耐える
ことが出来る場合も多く、非常に重要な能力である。
リアルフィジクスモード : ユーザーの心臓の大きさ、
痛覚耐性等に影響を受ける。持久力の高いものは勿論の
事、膨大な筋肉量を維持する心臓の持ち主も高くなる。
アレウスも中々の高さを誇っている。
22話
「おい、アレウス」
「はい」
突然ジャンヌに呼び止められた。
「自分のHPを確認してみな」
「HP……あっ、減ってる! どうしてですか?」
「暑さでやられてるんだよ」
「暑さ……ってことは、クーラーポーションの出番ッスね」
バニラアイス味を手に取り、一気飲みした。
「甘い! 極限まで糖質制限した後の、
大会前のカーボローディングの時に
食べたアイスクリームの味だ!!」
一昨日優勝したボディビルディング大会前に
食べたアイスクリームを思い出した。
因みにカーボローディングという炭水化物を
摂取する行動は、大会でポーズを取るときに、
筋肉をパンパンに張らせるために行う。
「ア、アレウス、静かにしてくれ…………」
「アレウス君。大声だしたら、モンスターが
わんさか来ちゃうよ」
C級組2人がやや引きながら、注意をし、
「ったく、モンスターが来たらお前1人で
退治してもらうからな」
ジャンヌは呆れながら、罰を言い渡した。
「あっとすいません、経験不足ゆえの不注意でした。
文字通り、迷惑かけないために、前からやってきた
モンスター軍団を相手してきます!」
その数…………100は超える、ヒートゴーレムと赤鬼と、
サラマンダーの群れであった。
「…………怒るのは後だ。全員戦闘準」
「行くぜえええっ!! サイクルクロー!!」
あらかじめ両腕を広げた高速できりもみ回転を
行いつつ、極僅かだけMPを消費して技を発動した時、
予想外の現象が起きた。
「な、何だ!?」
「いや、格闘家にあんな技無い筈だ!!」
「はは、本っっ当に有言実行しちまうからなぁ…………
こりゃ何の罰にもなって無いな」
普段の10倍は威力、範囲共に巨大な旋風が発生し、
魔物達を旋風に巻き込んで、一網打尽にしてしまった。
「…………エグい」
「全くだよ。中央に居たゴーレムとか、縦の断面図写真みたいになっているし」
「時速100キロ以上あるよな、あれ」
ジャンヌが指差した対象は、勿論アレウス。
そのアレウスの現在の様子だが…………
「止まれねー!! 目が回る~~!!
助けてーーーー!!!!」
自ら技の制御が聞いておらず、かつ、空気抵抗の
減速を抑えるきりもみ回転をしているものだから、
ずーーーっと時速100キロのミサイル状態に
なっているのだ。
「「「た、助けれるかぁ!!!」」」
残念ながら、モンスターを含め、彼を止められる
存在は居ない。
『ボッゴオオオン!!』
アレウスが見えなくなってから3秒後、岩盤が
砕けるかのような轟音が聞こえてきた。
「い、今の音は!?」
「アレウスは生きているみたいです!」
クラフトは自作のレーダーマップを広げ、アレウスの
生体反応の確認から断言した。
「アイツが早々死ぬわけがない。それよりも音の
詳細を確認するぞ!」
3人は一直線に駆けていった。
「「っこれは!?」」
「ははっ、こいつは…………裏ダンジョンの入り口だぞ…………」
「「裏ダンジョン?」……って、たまに発見される、
謎の領域ですよね」
ゲームの情報収集を欠かさないクラフトでも、
存在だけしか知らないらしい。
「ああ、隊長も1年前に1度だけ入ったことが
あるらしいが、表ダンジョンのレベルを更に
上回るモンスターが跋扈し、見たこともない
レアドロップアイテムが見つかると言っていた」
手合わせでアレウスと互角以上に渡り合う
レオナルド隊長をもってして、1度しか
踏み入れたことの無い領域らしい。
「…………ま、ヤバさはこれで分かったと思うが、
問題は侵入方法だな…………」
確かに巨大な岩盤が砕けた痕跡があるが、
その更に奥にある直径60cm程の穴。
副長ジャンヌはそれに目を付けていた。
「これは硬い壁に対して、勢い良くぶつかって
無理やり入り込んだとしか思えないな」
「まぁ、アレウス君なら可能でしょうね」
「ドリルのように壁を掘るアレウス。来世は
土竜かな?」
本人が居ないことを良いことに、冗談を言った。
「ぶはっ! クラフト、やめてくれよっハハッ!」
「んー、僕的にはそんなにツボらなかったな」
ジャンヌはムキムキの土竜が、時速100㎞で
穴を掘る姿を想像してツボり、ジェルマンは普通だな
といった反応だった。
「俺のギャグは置いといて、この壁は専用の道具で
開く仕組みになっていたそうですよ」
「アハハハッ! そうだったか! っふう……」
「そんな都合良く専用道具なんて見つからないよねぇ」
そういう類いの道具は、良くて表ダンジョンの
ボスが持っているが、普通は突拍子もない場所の、
突拍子もない道具である事の方が多い。
だが、クラフトから告げられた言葉は更に希望を
引き剥がす一言だった。
「残念ですが、道具をはめる鍵穴はアレウスが
掘り進んでいます」
「あちゃあ…………」
苦笑いするジェルマン。
「………………アレウスーーーー!!」
突如激昂しながら大剣を壁に叩きつけた。
「後先考えずにモンスターに突っ込んだ挙げ句! 誰も壊せない壁を掘り進めるとかっ! お前はアホかーーーーー!!!」
大剣の振れる速度とは思えない速さの連続斬撃を
浴びせ続け、「お前はアホか~ーーーー!!!」
の叫びと共に、単純威力2倍の特技『ブレイク
スラッシュ』を叩き込んだ。
「はーーーーあっ! やっぱ壊せねぇわ。アレウスが
死に戻りするか、自力で戻ってくるかするしか、
アイツに生きて戻ってくる道は無いな」
「あー…………本当に副長の攻撃による壁の
損傷率は0ですね」
「うー…………ここから先、アレウス君無しで
フレイムドラゴンを探索するのか…………
しんどくなるね」
ジェルマンがやや不安そうに呟いた。
「関係ない! 我等は今までもこの3人ペアで
ダンジョンやらドラゴン系のモンスターやら、
攻略に討伐をしてきただろう!」
「まぁ…………ダンジョンはC級かつ3人専用の
難易度で、ドラゴン系も際下級のリザード
モドキに毛が生えた程度でしたけどね」
無根拠に鼓舞するジャンヌに対し、
クラフトは冷静に返した。
「僕の銃撃は弾数に限界があるので、あまりに
敵の数が多いとリロード時間を取られるんですよ」
「アレウスが居た時はどうしても彼が数を
減らしてくれるから、ジェルマンさんは
凄い精度で急所を撃ち抜いて居ましたよね」
「そうだ! そうだ! 折角本格的なドラゴンの
狩り方を学ぶチャンスだったのを、不意にしたのは
アレウス自身だ! 2人共着いてこい! 私達だけで
攻略するぞ!!」
イライラしながらズカズカと歩きだしてしまった。
「…………アレウスだって予想外の事だったろうに、
だけど副長の気持ちも同情してしまうなぁ」
「こうなったら敵が何体でも撃ち抜くしかないな」
残ったC級メンバー2名もアレウス、ジャンヌ双方の
気持ちを考え、気分を切り替えて任務再開した。
SIDE ALLES
「…………いやー、流石に死んだかと思ったぜー!」
アレウスが生き残った理由、時を1分遡って見よう。
「止まれねー!! 目が回る~~!!
助けてーーーー!!!!」
何故か威力が凄まじくなったサイクルクローに
振り回され、自ら止まることの不可能な速度で
前進している。
「岩盤んんぇ!!? 死ぬ!!!」
岩盤がビックリするほど早く迫ってきており、
思わず死を覚悟した。
(どうせ死ぬならぁ! ドリルストライク!!!)
渾身の力を込め、ドリルストライクを発動させた。
その回転速度は謎の威力になったサイクルクローを
更に上回り、普通の打撃でヒビを入れれる岩盤なぞ、
バターの如く抉り貫いた。のみならず、
(腕に来る感覚が変わった。掘ってるのは
岩じゃねぇのか!?)
岩盤を破壊した次の瞬間から、腕に伝わる感触が
変わり、より硬い物体を掘っているようだった。
「…………ぅうお!?」
そろそろ減速によって掘削出来なくなると思った
タイミングで、向こう側に出たのだ。そして
数十秒の放心状態を経て、今に至る。
「さてと、良く分からん場所に来たのだが、
恐竜時代に転生したのかな?」
周りを見渡すと、恐竜みたいなモンスター達が
そこら中を歩いていた。
「VRで無双中に白亜期に転生した高校生ビルダー、
恐竜相手でも遅れを取らなかった。なんてな、
明らかにそこらのドラゴンより強そうだぜ」
どう考えてもリザードモドキ10体より、
ブラキオザウルス1体の方が強そうだ。
「何はともあれ…………回復が先かな?」
無茶な掘削作業により、腕がタコ並みに
ぐにゃぐにゃに折れ曲がっていたので、
貴重なハイパーヒールポーションで全快した。
「さて、頑張って生き残りますか!」
早速ブラキオザウルスに挑み始めた。
SIDE JEHANNE
「あれから30分ですか」
「幸か不幸か、モンスターが10体以上出てこない
お陰でどうにかなっているな」
「フッ、やれば出来るもんですねぇ」
ジャンヌはすっかり怒りが収まり、ジェルマンは
ガンマンモードに入り込んでいる。
「しかし中々遭遇しないものですね、
フレイムドラゴ…………」
「どうし…………遂に来たか」
振り返ると、紅く燃え上がるような鱗に覆われた、
2足歩行のドラゴンが見下ろしていた。
「全長、10mといった所か?」
その巨体たるは、ドラゴン系の風格を全身で
表していると言っても過言ではなかった。
「B級上位レベルって所か? 引き締まって行くぞ!!」
気を引き締めた瞬間、フレイムドラゴンは尻尾を
大根切りのように叩きつけてきた。3人は当然
回避する。
「生きてるか!」
ジャンヌの問いかけに
「「当然です!」」
2人は揃って返事した。
「食らえ!!」
対ドラゴンを想定したバズーカ砲に持ちかえ、
顔面へ砲弾を直撃させた。
「流石だな! おおおおっ!!」
フレイムドラゴンの方向へ回避していたジャンヌは
両足の間に大剣の特技『バスタースピン』をおみまい
した。この技は6回転高速スピンするので、両足首に
12回の多段ヒットをする。
「準備完了。ギガボルトショック・最大出力!!」
巨人のうなじを削ぎに行くような装備をした
クラフトは、アンカーをフレイムドラゴンの
両翼に引っかけ、最大出力の電流を流した。
『グオオオオオオオオッ!!!!』
3名の攻撃でHPゲージが半分を切った
フレイムドラゴンは、パニックになり、
全身全霊で暴れだした。
「くっ!」
遠方に陣取っていたジェルマンはどうにか尻尾の
1凪を回避したが
「ぐおっ!?」
落石に頭をぶつけて大ダメージ。
「グワッ!!」
「チィッ!!」
クラフトは爪の一撃を諸に食らい、HPが半分以下に
なる。ジャンヌはどうにか大剣でガードしたものの、
ガードの上から3分の2まで減らされた。
『グオオオオオッ!!』
「させるか!!」
全員が近い位置に集まったところをフレイムドラゴンの
炎が炸裂した。が、ジャンヌが間一髪で『風迅裂斬』を
繰り出した事で、風圧で炎の威力を激減できた。
「…………次食らったら死んじまうな」
「あっと、相手は言い残す暇も与えてくれないらしい」
「避けられ……るか??」
今まさに炎が炸裂すると思われた瞬間…………
『ボグゥオォォオオオン!!』
突如天井の岩が局所的に崩れ、フレイムドラゴンに
命中。その岩の上には約20mのティラノサウルスも
乗っていた為、フレイムドラゴンのHPはあっと言う間
に虫の息になった。
「あれは!」
ジェルマンが指差した方向には
「「アレウス!」」
最強最速のメンバーが落下していた。
「皆!…………と何か居るな。ついでに食らいやがれ!!」
アレウスは腕を高速でしならせ、かなり音速に
近い速度で籠手による斬撃を放った。虫の息の
フレイムドラゴンにはオーバーキルも良いところ
であり、即死した。
「ふぅ、皆さん無事で何よりッス!」
ブックマーク、星5つを着けてくださるとやる気が上がります。感想やレビューもお待ちしています!




