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悪夢からの目覚め

お待たせしました 次話から遅すぎる夏休み編です。

211話


「え、断るに決まってるじゃん」


 隆二は、並月高校女子顔面偏差値トップ10に

入っていそうな(とみ)久田須和(くだすわ)の告白を、

あっさりと振った。


「…………は? もっぺん言ってみろや」


「断る。そう言ったんだよ、ちっとは耳掃除しろよ

ミミカス女」


 女子生徒という存在を信用しない隆二にとって、

顔の良し悪しは最早何の価値も産まない。自身に

向ける悪意の総量が一定以上であれば、完全に

敵だと言えるのだ。


「…………いやいや…………お前さ、ちょっと部活で

活躍してるからって、アタシ相手にこんな発言

して、ただで済むと思ってんの?」


 思い通りに行かず、イライラした冨久田は、

既に平常心を保てなくなっている。


「何々?」

「何か金子が冨久田さんの告白振ったらしーぜ」

「うーわ勿体ねぇ~~~~!」

「ガタイに相応しい度胸を持ってたんだねー」


 スクールカースト1軍の冨久田と、全校生徒で

最も異質な隆二の接触に、早くもギャラリーの

注目が集まってきている。


「ただで済むも何も、お前ごときが俺に何を

出来るんだよ」

「っつ!!」

「じゃ、卒業するまで2度と目の前に現れるなよ、

並月の面汚しさん」


 今は無き絶世美女(ぜよびめ)軍団に対してもそうだったが、

隆二は悪質さの裏を取れた敵には一切の容赦をしない。


「…………許せない」


 隆二が隣を通りすぎる直前、冨久田は(じゅ)()

ような一言を呟いた。


『♪~♪~~』


 が、隆二は全く(こた)えず。デスメタルを鼻歌(はなうた)

歌いながら、悠々と廊下を闊歩する。


「アタシを侮辱したコイツに思い知らせるわよ!」


 般若(はんにゃ)を思わせる顔芸を行い、取り巻きの男子達に

命令を叫んだ。


『ザザッ!』


 男子達は素早く反応し、隆二の周囲を瞬時に

取り囲んだ。


『♪~…………邪魔だ、さっさと退け」


「「…………」」


 並の不良なら即座に逃げ出しそうな威圧に、

スクールカースト上位程度のスペックの男子達は、

たじろいだ。


「何やってるのよ、さっさとリンチしなさいよ!」


 が、冨久田は隆二の背後から観察していた為、

男子達の都合をお構い無しに暴力を促した。


「「「「うおおおおおお!!!」」」」


 男子達は、命令を聞いても聞かなくても

ヤバい状況になり、当たって砕けろの精神で

特攻を開始した。


(今の条件下なら、コレが適当だろうな)


『ブォン!!』

「「「「ぐわわっ!!?」」」」


 4人の攻撃が当たる寸前、隆二はSAFで会得した

影分身を繰り出し、彼らを自爆させたのだ。


「え? え!?」


 冨久田に至っては、何が起きたか把握できていない。


「やれやれ、こんな危険人物共でも、スクール

カーストだかで上位だったらのさばれるもんな。

学校ってつくづく息が詰まるトコだぜ」


 そして隆二はそんな彼女を眼中にすら納めず、

学校の不条理を(うれ)いながら歩みを再開した。


「うう…………どっちが危険人物だ…………」

「正攻法で倒せる訳ないんだよなぁ~…………」

「力だけならまだしも、速度が頭おかしすぎる」

「同じ人間とは思えねぇ」


 冨久田の取り巻きは、この攻防で完全に

戦意を失った。


「だらしないクズ共め、女であるアタシが

手本を見せてやるよ! おい、木偶(でく)! 今から

アタシはお前を一方的に叩きのめす。でも、

お前は反撃できない。そんなことすれば、

皆が黙ってないからねぇ~~。プフッww

平静を装って呑気に歩くふりしてもよ、

怖がっているのがバレバレだぞ~~wwww」


 冨久田が、これでもかというくらい身勝手で

理不尽な宣言を言い放ってきた。この宣言に、

一部顔をしかめる生徒も見受けられるが、7割は

事無かれを貫く様子だ。


(あー…………こんなウルセェキチガイに告白したとか

…………マジで黒歴史じゃん。顔だって、今となっちゃあ、

美優あたりとどっこいだし、だったら人道的で優しい

美優が完全に上位互換ってことだろ。いい加減さっさと

黙ってくれねぇかなぁ??)


 一方の隆二は当然ながら、心底面倒臭そうに

している。何故なら、後ろの奴に自身を虐げる

実力はなく、しかし、自身も最早後ろの奴に

殴る程の価値も見出だしていないからだ。


(って…………)

「◯ねええええええっっ!!」


 冨久田は全力で隆二へ駆け出したが、隆二は

隆二で冨久田の背後に忍び足で接近する気配に

着目した。


「うわおっ!??」

『ガッ!』


 隆二が着目した気配の主により、富久田は壁へと

叩きつけられた。


「さっきから聞いてれば、アンタ何なの!? 隆二に

何の恨みがあって、こんな仕打ちをしているのよ!!」


 気配の主は美優だった。利き腕で胸ぐらを

持ち上げつつ、壁で固定している。


「グッ…………離せッ!!…………的場美優!!!」


「離すわけ無いでしょ? まずはこれまでの

非道を隆二に詫びることから始めなさい」


「…………このっ!!」


 苦し紛れで、速度の出ないパンチを繰り出すが、

武的センスに優れる美優に、そんなものは当たらない。


「お、お前らぁ!!…………この女…………好きにして

良いからぁ…………ヤれぇ!!!!!」


 相手が隆二ではなく、女ならと、取り巻き達に

命令を下した。


「おっ、そういうことなら」

「悪く思うなよ、的場~~」

「オラ、その手退けろや!」

「ヘヘヘッ!」


 4人揃っていきり立ちながら、美優に手を伸ばす。


「「イデデデデデッッ!!」」

「ヒイッ!!」

「デュブッ!?」


 が、当然隆二に阻止された。1人は顔に

アイアンクローをかけられ、もう一人は肩を

砕けるか砕けないかの境目の握力でホールド。

更にもう一人は蹴りの寸止めにより、キンタマ

ごと全身を萎縮させられ、最後の一人は誰も

目視できない足払いで頭から転倒させた。


「なぁ、オイ。特にお前とお前よぉ。今美優に

何しようとした? ぇえ?」


「イデデデッ! 離せッ…………ギャアアアアッッッ!!」


 質問に答えなかった方は、アイアンクローを強めた。


「や、やめてください、肩砕けますぅ!!」


「だったら答えろや! 何しようとしたぁ!!」


「か、髪引っ張って…………4人で押さえ込んで

…………人気の無いところでボコボコni…」

「フンッッ!!」

「カッ…………!!!!!!」


 威圧で肩を粉砕するイメージを見せつけ、失神

させた。


「女子1人相手に4人がかりで乱暴しようと

するたぁ、見下げた根性だなぁ、オイ!!」

「あ"あ"あ"あ"っ!!?」


 転ばせた奴が、隙を見て美優の脚に手を

伸ばしていたので、前腕を踏みつけたのだ。


「おい、短小ヤロウ、この寝てるバカを殴って起こせ」

「は、はぃぃ…………」


 失神させた奴を投げ渡し、叩き起こさせるように

命じた。


「っはっ! あ…………え…………??」


「よぉ…………」


「う、うわあああっっ!! ま、まだ何かする気か!?」

「土下座しろ。テメェら全員そこに整列して美優に

頭下げな。やらねぇなら、その頭蓋骨、スイカ割りの

要領で砕くぜ」


「「「「ヒィィィィ!!!」」」」


 その後、1分間程、まるで新興宗教の教祖に

するように、何度も頭を下げさせられたのだった。


「フン、次俺らにちょっかいかけてきたら、

腕もぎ取ってやるからな」


「分かり…………」

「ましたよぉ…………」


「さてと、美優、もうソイツ下ろして良いぞ。

腕疲れたろ」


「う、ううん、このクズが反省するまでは絶対に

離さないわ」

「だ、誰が陰キャ何かに…………!!」


「…………これだけ圧倒されても反省できねぇんだ。

もう、そういうキチガイ生物ってことなんだよ。

だから」


 美優の手を緩めさせ、富久田を解放させた。


「…………本当に良いの?」


「ああ、こんな粗大ゴミの為に、神射手の腕を

(わずら)わせるなんて、労力の無駄遣いも良いとこだ。

今度いきってきた時に、また力の差を見せつければ

良いだけさ」


「ゲホッ、ゲホッ…………的場、テメーの事は1年の

頃から気にくわなかったんだよ…………陽キャみたいな

見た目の癖して、地味な奴等や化け物とも分け隔て

なく話しやがるし…………アタシらからすりゃ邪魔で

仕方ねぇんだよ!!」


 見た目も良く、男子から密かに人気を集めながら、

陰陽関係なく仲良くする美優は、スクールカースト

上位に依存した富久田達にとって、邪魔者でしか

ないのだ。


「あっそ、じゃあ貴女も差別やめれば? 邪魔者は

減るわよ」


「な…………怪物の隣だからって好き勝手言ってんじゃ

ねe…うぎゃおおあっ!!?」


 美優に飛びかかろうとしたところ、隆二の寸止めの

拳が目前に現れた。富久田はあまりの恐怖に、腰を

抜かして失禁したようだ。


「あっちゃあ…………ゴミ撒き散らしやがったか。

何にせよ、これは全面的にお前の自業自得だ。

ゲス系の教師にチクったりしたら、本当に◯す

から、念頭(ねんとう)に置いとけよ」


 釘を刺し、2人で教室へ向かった。


「み、見るな! 見てねぇで…………助げで…………

よぉ~~~~!」


 醜態をさらし、泣きながら助けを求めたが、

まだ近くに居る隆二が怖いのと、落ちぶれた

カースト上位者に関心が薄れた野次馬は、

誰一人として彼女に見向きもしなかった。


「美優、助けてくれてありがとうな」


 隆二は美優の肩を軽く叩きながら、礼を言った。


「ううん、私こそまた助けられちゃったわ。

いつもありがと♪」


 美優は隆二にスリよりながら礼を言った。


「オイオイ…………こんな大勢の前で猫ちゃん

みてぇにすり寄らないでくれよ…………」


「まあまあ、でもビックリしたよ、トイレ

済まして出てきたら、隆二がアタオカ達に

絡まれていてさ」


「あーー、まぁ、アイツらが今日見た悪夢に

関係している連中だったな。ま、既に敵じゃない

感じだったがな」


「ウフフ、当然じゃない。けど、特に女に嫌がらせ

受けた時はいつでも頼ってよ、私が代わりにシメ

上げるわよぉ」


 悪そう且つ、頼りがいのある悪戯な笑みを

向けてきた。


「ああ、頼りにしてる。美優の方こそ、襲撃者が

男なら、ヤンキー・マフィア問わず俺に助けを

求めてくれ。物理的に破壊してやるぜ!」


「2人ともー! 無事だったか~!」


 拓人が、騒ぎの中心人物を隆二達だと考えて、

事の詳細を聞いてきた。


 そして次週の火曜まで時が過ぎ、隆二達3人は、

電車に乗っていた。


「いやー、この俺ともあろうものがドキドキ

してきたぜぇ」


 夏を思わせる柄の半袖シャツを着用した隆二が、

ワクワクした様子で話す。


「俺もだ。現実だとどんな娘なんだろうな、

イシュタル」


 拓人は、やはり普段より少しオシャレさに

気を使った服装だ。


「あ~ん、早く会いたいよ~~」


 2人の男子の間でそれぞれの片腕を抱く

美優は、白のシャツに黒のミニスカートと、

いかにも女子らしい服装をしている。


「お、着いたか!」


 目的の駅に到着したので、3人は降りた。


「駅を横に走る道路を右に曲がり、鶏の看板の

店を左に曲がる」


『コッケーコッコ!』


「ちょwwww 隆二wwwwwwwwww」

「ははは…………で、あれこれこーやってと、到着!」


「…………デケェ」

「ほ、本当にここで合ってるの??」


 隆二、拓人、美優の目の前にある建物の姿は…………!?

「さって、同級生共には力の差も示せたし、

これで学校では変なのには絡まれねぇだろ」


「隆二…………フラグたてちゃダメだよ…………」


「けど、イシュタルの中の人がどんな娘か

楽しみだなぁ!」


「本当にね!」


「えっと…………このクソデケェ門から察するに…………」

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