青空テーマパーク
寝落ちでこんな時間になったーーーー!
すまぬーーーーーーーー!!
10/1 お待たせしています。本日、頭痛で
まともに書けないので、明日の午後に
投稿します。
追記 3日の0時台に投稿します。
209話
「アレクラコンビ!」
声がする方を振り向くと、レイルが車輪の無い
スケボーのような物を抱えて手を振っていた。
「レイルさん! そのボート何ッスか?」
アレウスは早速、ボートに興味を持った。
「コイツは空をサーフィンすることが出来るボートだ。
あそこの広場で自由に滑れるから、お前らも一緒に
滑ろうぜ!」
「良いッスねー、早速滑りましょう! な、クラフト」
「ああ、寝袋で仮想現実とコネクションした上で、
更にボートとコネクションする…………科学の神秘を
感じるぜ!」
そう言って、3人は宙を滑り始めた。このボートは
浮かせたいと思うだけで自動で浮遊し、更には上下
逆さになっても足が外れないようになっているため、
宙吊り状態でトンビのように旋回する等の現実では
あり得ない挙動を行えるのが醍醐味だ。
~球状メリーゴーランド~
「いぇ~い!」
「楽しいッスね~!」
背の低いマリリンがペガサスの前部に、彼女より
背が高いフィンチが後列に座っている。
「はわわっ! 落ちますっ!?」
球体故に、落下しそうな起動で回ることがあり、
イシュタルは思わず焦ってしまった。
「案ずるな、超硬質ゴムシートベルトが支えてくれるさ」
ジャンヌが焦るイシュタルを宥めながら、久しく
穏やかな夜を楽しんだ。
~風船地帯~
『ズダダダダダダダダダダダダダダダンッッ!!』
『パパパパパパパパパパパパパパパパンッッ!!』
ジェルマンが2丁拳銃を連射したところ、的が
描かれた風船全てのど真ん中に命中した。
「フッ、一丁上がり」
掌で高速スピンさせた拳銃をホルダーにしまい、
完璧に締め括った。
「流石はジェルマン先輩ですっ!」
『『『パチパチパチパチパチパチパチパチ』』』
ミューが褒めながら拍手を行ったことで、
周囲のユーザー達も拍手を贈ってきた。
「これくらい楽勝さ。さて、お次はミューちゃんの
出番だな」
ジェルマンがミューの肩に手を置き
「はいっ!」
ミューが元気な返事を返して、選手交代となった。
今度はランダムに選ばれたユーザー達が、風船と
なって浮かんできた。運良く、アレウスの姿も見えた。
「…………えいっ!」
空気抵抗係数が高く、直ぐに減速するハートの矢
だったが、ミューはそれをしっかりと計算に入れて
おり、見事アレウスの心臓部にクリーンヒットした。
「やりましたよ、ジェルマン先輩っ! アレウスの
ハートにクリーンヒットです~~!!」
余程嬉しかったらしく、ミューは少女のように
跳びはね始めた。
「流石ミューちゃんだね。きっとアレウス君にも
福が舞い降りるさ」
気が抜けた普段のジェルマンの状態で、ミューを
褒めた。
「はいっ!(う~ん、今回はバトルモードの
ジェルマン先輩に、クールな褒め方でアレウス
との仲の進展を予言されたかったな~~。あの
キザな雰囲気で全然キザじゃない先輩のセリフ、
結構癖になるんだよね~~)」
パッと見は褒められて大喜びしているが、
内心では些細な注文がクソ多い。ミューの
女子力が垣間見えた瞬間だった。
~雲のトランポリン~
「ほぅ、たまには遊戯もするものだな」
「隊長も大人びてばかりいずにっ、ジャーンプでーすよっ!」
「うむ」
マリリンに諭され、レオナルドもアトラクションを
楽しんだ。
「レオナルドさん、こんばんは」
「アルベルトさんか、今回のイベントでは大活躍
でしたな」
「とんでもありません、アレウス君やレオナルド
さん、コタロウさんや、他全てのユーザーの方々が
居てこその盛り上がりでしたよ」
(…………なーんで隊長は直ぐに外交話に花を咲かせる
かなぁ?)
マリリンは、遊びより会話に没頭するレオナルドに、
良くわからない不満を抱くのだった。
~足場渡り~
僅か四方10c㎡の雲で出来た足場が連なる道。
それはまるで忍者が渡るため池の丸太のようで
あri…ん? 忍者と言えば…………
「ホァタタタタタタタタアッッ!!」
アレウスを超える巨漢が、普通道路の法定速度を
遥かに超えたスピードで、僅かな足場を渡りきって
しまった。
「コングラッチェーーーーションッッ!!!」
渡りきった上忍・コタロウは、達成の喜びを
ダブルバイセップスで表現した。
「あの速度は俺も無理だわ」
この異常事態に、レイルは戦慄するばかりだ。
「ああ、私は言わずもがな、隊長も不可能だろう。
だが、アグロフラッシュにはもう1人切り札が
居る」
「うおおおおおーーーーー!!!!」
四足走行のアレウスが、地球生物最高速度を
叩き出し、コタロウ以上に短いタイムでゴールを
決めた。
「イッツァ、リアルビースト…………」
コタロウもまた、戦慄するのだった。
~純白雲観覧車~
「再来週、楽しみだな」
「ええ。クラフト君達も、来週から夏休みだった
かしら?」
「そうそう、後1週間だけ頑張って登校するぞ~~」
アレウスとミューは…………
「…………で、腹直筋にバチバチと痛みが走ってる
わけさ」
「ウフフフ、明後日自転車に相乗りしながら、
マッサージしてあげるね♪」
「悪戯にくすぐって、ミューだけ落ちる何て事が
無いようにな」
「分かってる分かってる!」
数十秒、何もない時間で互いの顔を見つめ
あっていた。
(す、凄くドキドキする…………このまま顔を
近付けたら…………キ、キス出来ないかな…………??)
ミューはアレウスに気づかれぬように、少しずつ
顔を近付けていった。
「おっと」
「ムグッ!」
急にアレウスの手に顔を押し戻され、一瞬
動揺した。
「こっちをガン見する気配がしたんで、スケープ
ゴート防止の為に、距離を取ろう」
「…………うん(そうだった…………丸見えだったわ…………)」
レイルとマリリンは…………
「ああっ、惜しい! ミューたんもうちょっと
だったのにぃ~~!」
「じゃ、賭けは俺の勝ちだな」
「次は私が勝つわ!」
「次も勝つのは俺だぜ」
レオナルドとジャンヌは…………
「ふむ、剣術道場か。俺も幼少期は住み込みで
修練を受けたことがある」
「奇遇だな。私が幼き頃、私のいくつも年上の
少年が、父に引き取られて弟子になっていたよ」
「ますます奇遇だ。俺が住まわせてもらった道場
には、いくつも年下の女の子がいたぞ」
どうも、互いの過去がリンクしている事に
気づいたらしい。
~クラウドジェットコースター~
「ギョエアォァオァオアォアーーーーッッッ!!?」
「速い速い速い速い速い速いーーーーッッッ!!?」
ミュー、フィンチが、ジェットコースターの
速さに恐怖している。
「「…………」」
クラフト、イシュタルは、恐すぎて声も出なく
なっている。
「うおおおおおおおおっっ!!」
「きゃーーーー! たのしーーーー!!」
ガヤペアこと、レイル、マリリンは、心底
楽しそうだ。
「銃弾はこれよりも速いのか…………」
「かつて音速は超えられないと言われた時代が
あったのに、文明とは進化を続けるものですね」
ジェルマン、アルベルトは、少し変わった視点
から楽しんでいる。
「フッ、皆楽しそうだな」
レオナルドは余裕そうな表情だ。
「だが…………これらはどうにかならないのか?」
ジャンヌが怪訝そうな表情で、後ろをチラ見した。
「ウハハハッ!! 速ーーーーー!! 行け行け
ーーーーーー!! うおおお! 落ちたぁ!!
登ったぁ!!! 曲がったぁ!!!!」
「ムーヴクイックリー! アーンドアジリティ!!
ヒーーーーーー!!! ハーーーーーーー!!!!」
何か精神世界で結託した筋肉2人が、最後部
座席で大声を張り上げているのだ。速筋繊維隆々の
スピード狂の為、さぞや楽しいのだろう。
~ラストはサンダークラウドマグカップ~
「よーし、最後はあれだな…………」
アトラクションの看板には、雰囲気を
盛り上げるために、男女で乗ることを
オススメしますと書かれていた。
「チラッ」
隆二は、ワイワイと話していたマリリン、
ミュー、フィンチの方を向いた。
「「「ビクッ!!」」」
しかし、本日遊戯に狂い尽くした隆二を
見てきた3人は、『スッ』と距離を取った。
「イシュタル~、一緒に乗ろうぜ~~」
「あ、えっと…………強いカックンを避けてくれるの
だったら~…………良いよ」
イシュタルも冷や汗をかきながら、相乗りの
条件を出してきた。
「えー…………カックンあった方が俺としては面白ぇ
からなぁ~…………」
条件が合わず、途方に暮れていると
「やれやれ、アレウスはガサツ過ぎて1つも
モテないと?」
「副長!」
「仕方ない。隊長はどうにでもなるし、私が
相乗りしてやろう。好きなだけカップを回すと
良い」
「うおーー! やったーー! 愛してますぜ副長!!」
何故かその辺のチャラ男キャラが言いそうな
セリフを吐き、大喜びでカップに乗り込んだ。
「……………………」
「あれ? ミューパイセン??」
「はっ! さっきの記憶が思い出せないわ…………」
「若年性アルツハイマーッスか?」
そして、各々カップを回し始めた。
「スピン・ザ・ワールド!」
当然、アレウスは全開でスピンしていく。
角加速度マックスだ。
「そうそう、こういうスピード感を求めていたんだ。
もっと速く回してくれ」
「ラジャー! グルグルグルッとぉ!!」
「あっはははwwwww アレウス、髪が慣性に
引かれて靡きすぎだぞ!」
「そりゃ副長もでしょーがwwwww」
そう、お互い長髪の2人は、カップの角加速度に
よる慣性の法則で、髪の毛が靡いているのだ。骨肉が
通る部位は筋肉で固定可能だが、髪の毛はそうは
いかない。
上から見たその様は、さながらお洒落に着色した
独楽が回転しているように見える。…………更に
『ドォン!!』
「うぉーー! 唐突な雷ぃ! シビれるぜぇ!!」
「また不思議なリアクションだな。カップの回転数に
応じて発電され、周囲に落ちるそうだぞ」
「回すっきゃねぇッスねぇ!! てか、俺らの
髪の毛、避雷針にならねぇッスよね??」
「フッ、知らんな。けど、例え死んでもこの世界
なら、生き返れる」
「確かに。じゃ、加速しまーす」
カップは最高角速度に接近しつつあり、周囲
には無数の雷が落ちていく。外部からこの様子を
見ると…………
「ウゲェ…………副長以外の女だと、アレウスの
相手は勤まらねぇな」
「雷、当たっていませんよね?? 悔しいけど、
今の私じゃ相席は無理です…………」
レイルはガチドン引きし、ミューは力不足を
悔やんだ。
「ああ、無理は禁物。な?」
「はい」
「アレウス君…………ちゃんとジャンヌ様にご配慮
出来て居ますでしょうか…………」
「どうだろうね…………あの雷だし…………」
ゆっくり楽しむイシュタル、ジェルマンペアも、
主にジャンヌを心配していた。
「兎も角、僕たちはゆっくり優雅に堪能していこう」
「賛成です。ジェルマン様♪」
「アレ君最後まではしゃいでるね~」
「アレウスなもんで、仕方ないよ。副長南無」
マリリン、クラフトペアは、アレウスを
ありのまま受け入れている様子だ。
「あっ、クラ君、隊長とフィンチちゃんだよ!
ヤッホー!」
レオナルド、フィンチが不規則な角速度で
幻惑的な動きをしている。お互いに手を振りあった。
「はぇ~~、レオナルド大先生は、アレウスの
感覚を鍛え上げたんですねぇ~~」
「まぁな。だが、才能は元より、奴自身に強さへの
執着心がなければ、あの次元まで感覚を研ぎ澄ませる
ことは不可能だった」
「何せ、なつき具合抜きに、あの強さのウィント達と
完璧なコミュニケーションを取れますからねぇ。
半端者だと、背後から噛みつかれますよ普通」
「全くだ。才能だけでいえば、聴覚はマリリン、
視覚はジェルマン、平衡感覚はジャンヌやレイル、
嗅覚もレイル、触覚はジャンヌの方が才能があったが、
あの速度を活かした鍛練・経験の積み上げによって、
見事に抜かしているからな。俺も平衡感覚と動体視力
では、最早勝てると思えない」
「うん、野生ッスね。アレウスも、レオナルド大先生
もっ♪」
「ははっ、俺もなのか」
レオナルドは、雷鳴り止まぬマグカップの方を見た。
その頃、アレウスは今週のプレイングを
振り返っていた。
(戦闘機で遊んで、空跳ぶ靴で宙を駆け回って、
飛行モンスター達を強くして、皆でウィゾフニルを
撃破して、だけどランクマに負けて、人力飛行機も
うっかりミスで失格になった。だが、どれも面白くて
俺の力になった、良い経験だった。
ありがとう、大空よ。ありがとう、ゲームと
制作者の皆様)
ブックマーク700人突破! 大感謝!!
「アレウス、ちょっと暴れすぎだぞ」
「悪ぃ、クラフト。楽しすぎてつい…………」
「因みにな、俺は地面から伝わる振動を
察知するのに長けているんだぜ」
「つっても、レイルさんとどっこいだと
思うけどな」
「それ言うなぁ!!」




