ヘアスタイリング・ゴリマッチョ
髪型、beforeの方がカッコいい説ある??
そうでもない? お待たせしました。本小説、
再始動です!
9/24 お待たせしています。日付が変わる頃に、
半休息回になりますが、上げるつもりです。
208話
『ピンポーン』
「来たぜー」
的場家の玄関前で、インターホンを鳴らした。
「隆二! 早速美容院にレッツゴー!」
美優が勢いよく扉から飛び出し、隆二の背中を
押して急かした。
「そう急かすなって、俺の愛チャリのスピードなら、
万一にも遅刻しねぇさ」
隆二はそう言いながら、美優が後部座席に
乗ったことを確認し、走り出した。しかし、
「隆二、逆~~」
「逆か~~~い!」
逆走をしていたので、前輪を軸に車体を
180度回す、ジャックナイフターンで
方向転換し、再発進した。
「あー、ビックリした~~。ギュ~って
密着していて良かったよ~~」
美優は隆二の広背筋に密着していたお陰で、
辛うじて振り落とされずに済んだようだ。
「驚かせてすまねぇ、技名言っておけば良かったか?」
「グルンと回るって言ってくれたら嬉しかったな」
「成る程、次の機会に活かすぜ」
これが"配慮"の基礎か。隆二はそんなことを
考えながら、自転車を加速させた。
「あ、隆二~」
「何だ?」
美優の問いかけに、隆二は振り返らずに返事した。
「三角筋全体、今朝鍛えたでしょ?」
「よく分かったな。未だに筋繊維がヒリヒリ
するほど最高のワークアウトになったぜ」
「エヘヘェ、だって玄関の前の隆二が、いつにも
増して小顔だったもん」
「顔周辺の付属物が大きくなることで、顔が相対的に
小さく見える小顔効果が発動しているのさ」
「目の錯覚面白いよね~~。パンッ、パンに
張ってるね~~」
美優は右手を隆二の肩に触れさせ、プニプニと
つつき始めた。
「危ね~から、ちゃんと腹直筋に腕回しとけよ~」
「はーい!(これもまたヨシ!)」
~美容院・宇天麗光~
「ほぉ~~、やっぱ見た目を良くする施設だからか、
外からの見映えを徹底しているなぁ~~!」
隆二は初めて見る美容院の外観に、感嘆の声を
上げた。
「だって初めて入るお店なら、絶対見た目良い方を
選ぶでしょ? そんなわけで、隆二のお目通りに
叶って良かったよ! さ、入ろう~」
美優はさりげなく隆二と手を繋ぎ、美容院へと
一緒に入った。しかし、隆二の様子は特に変化が
無かった。
「カワさーん、電話で言ってた隆二を連れて
きましたよー!」
「おー、美優ちゃん! 隆二君共々いらっしゃーい!」
先端部になるにつれて赤みがかる髪色の、
アシンメトリーな前髪が特徴的な美容師が
出迎えてくれた。
「美優に連れてこられた金子隆二です。本日は
よろしくお願いします」
「月並みな感想だけど、スッッゲェ筋肉量だねぇ!
身長も図抜けているし、外国人かと思ったよー!」
「実際に筋トレの方法とか、色々と外国の技を
取り入れていますからね~」
「ささ、本日はその伸びきって暑苦しそうな髪の毛を、
サッパリしつつカッコよくしてあげるよ~~! 美優
ちゃんはいつものでいいかな?」
「はい! いつものセットでお願いします!」
「良いねぇ~。パッツンロングこそ美優ちゃんの
個性って感じだね!」
こうして、2人並んで座らされた。
「あっと、そうだ。美優ちゃん、今日はアシちゃんに
セットしてもらって良いかい?」
「勿論ですよー。隆二に美容院の良さを教えちゃって
下さい!」
「了解~! じゃ、隆二君、早速切っていくね~」
「いやー、どんな髪型になるのか楽しみッス」
早速暑苦しすぎる襟足が切り落とされていった。
「隆二君は、美優ちゃんと同じ並月高校に通って
いるのかな?」
「そうッスよ。ゲーム友達ってところですねー」
「ゲーム…………あーー! 美優ちゃんと美麗チア部の
乱闘を食い止めた野球部の子って君か~!」
「そんなこともしましたね~~」
「もう! カワさん、それは恥ずかしいから
言わないで下さい!」
「あ、ゴメンゴメン~~」
『ヴーーーーーーン』
バリカンで、後頭部にツーブロックを入れ始めた。
「ということはそうか、君が学問も部活動も
今一つパットしない並月高校に突如現れた
パワーファイトのスペシャリスト男子校生
なんだね~~!!」
「野球だの陸上だの、瞬発力を活かせる部活動
には、軒並み助っ人に呼ばれましたね~~。良い
経験させてもらいましたよ」
「こんな筋肉量の高校生は、君以外に居ない
だろうし、見るからに強そうだもんねー。実際、
動物並みの身体能力を随所で発揮したって聞いて
いるし」
「そうなんですよー! 隆二ったら、野球場の
フェンスを足場に、ホームランをキャッチしたり、
陸上トラックをチーターみたいなスピードで
走ったりしていましたよー!」
「まるで漫画のような事だけど、隆二君なら
出来そうだと思えてくる…………」
右耳の上にもツーブロックを入れ始めた。
「筋肉を大きくするトレーニングに加えて、SAF
っていうゲームで、普通なら肉離れするような
全力運動を行うことで、今の身体能力を獲得
しました!」
「なる程~(SAF…………ねぇ)。」
右側が完了し、左側に移った。
「??、どうかしましたか?」
「いやぁ、随分と相反する要素の組み合わせだなぁと
思ってねぇ」
「ま、誰しもゲームして運動神経が向上するなんて
思わないですよね~~!!」
「俺も、言ったのが隆二君じゃなかったら、疑って
聞き返していた所だよ~~」
左側も完了し、メインの前後左右頭頂部のカットに
移行した。そして会話を弾ませながら、それでいて
あっという間に終了した。
「さっ、生まれ変わった君の姿はこんな感じだよ!」
<Before…………>
<After!!>
「おおおーーー! 何か街中歩いている若者っぽい
感じになってるーーー!」
隆二なりに、感動したようすだ。
「面白い表現だね~。床屋とは違う髪型はどうかな~?」
「マジで生まれ変わった気分ですよ! 来て
良かったです!」
「隆二終わったのー?」
カット中の美優が、横目で隆二を見た。
「カッコよくなってるじゃん! 紹介者冥利に
つくわね~!」
美優視点でも好評だった。
「それじゃ、シャンプーに移るね~。アシちゃん、
交代だよ~」
「分かりました~。それでは隆二君、こちらへどうぞ~」
「お願いしまーす」
こうしてシャンプーを終え、ワックスで
セットしてから、美優のカット・シャンプーの
終わりを待った。
「おっ待たせ~!」
「おっ、美優もボリュームがサッパリしたなぁ」
「それでも、ポニテとか色々とできる長さは
確保しているのよー」
「成る程。俺もこれからはワックススキルを磨くぜ!」
「合計で4000円になりま~す」
「思ったより安い…………。丁度でお願いします」
「毎度ありー! また来てくれると嬉しいよ~」
「是非、数ヶ月後にお願いします!」
「美優ちゃんは紹介料金で安くなるよ~」
「わーい!」
こうして髪型を新たに、夏の暑さを乗り越えようと
筋トレと食事とゲームに励む隆二であった。
「最後まで読んでくれてありがとよ!」
「隆二の髪型、良くなったと思う?」
「俺もだが、いつかはウィントや美優も
お披露目してーよな」
「何でウィントが先なのよ~~!!」
「えええーー!? 何故怒られる~~~。
髪型もだが、筋肉の表現の感想などがあると、
今後の作画の参考になって嬉しいぜ!」
真面目な反省点としては、ツーブロの色を
もうちょっと改善したかったというのが
あります★★★★★。




