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202/241

木枯らしは、神鳥をも墜とす。

お待たせしました。決着です。

200話


「にゃー! ニャゴ、ニャニャニャニャニャニャ

ニヤッ!!」


 目前の敵を突破する方法が浮かばないアレウス達

だったが、彼のテイムモンスターのウィントが提案を

してきた。


「つまり、奴自身の羽根なら、奴にダメージを

与えられるって事か」


「フニャッ!!」


 アレウスの確認に対し、ウィントは自身ありげに

返事を返した。


「ウィーブロウイット、ユージング、ウィゾフニルズ

ウイング!?」

「そうか、(でん)(しょう)のウィゾフニルは、自分の羽根を用いた

武器でないと倒せないんだった!」


 コタロウが困惑しながらやるべき事を話し、

アルベルトが現実の伝承を元に、カラクリを

把握した。


「フニャッ、ニャニャニャニャニャニャム!!」

「しかもコイツに関しては、羽根のままでも有効打を

与えれるみたいッス!」


 ウィントの言葉を更に訳し、2人に状況を伝えた。


「スティールアーンド、ストライク!!」

「2人に期待します! モンスターズも!」


 作戦は(まと)まった。


()(しゃく)な! 攻撃力の無い羽根で、我にまともな

ダメージを入れれると思うなぁ!!」


 魔王軍幹部に対し、あたかも舐めているような

発言をされたので、ウィゾフニルは激昂(げきこう)した。


「バーンネットショット!!」


 両翼をクロスさせ、細かい網目状の火炎を放ってきた。


風遁(ふうとん)連爆神風(れんばくかむかぜ)!!」


 すかさずコタロウが大量の爆薬を展開し、火炎を

()き消した。


「頼んだぜ、ウッディにフラッシュ」

「ギギッ!」

「バジュッ!」


 アレウスは2人に頼みごとをすると、ビローブレイドを

広範囲に展開しつつ、最終的にウィゾフニルに直撃する

()(どう)で振るった。


「小癪な人間共がぁ!!」


 すると、ウィゾフニルは煙の中からビローブレイドが

当たった方向に、直線的で速い攻撃を繰り出し始めた

のだ。


(なるほど、ウィゾフニルの耳は爆音(ばくおん)の反響で聞こえず、

視覚は煙で封じられているから、僕たちが居ない方角

からの攻撃が撹乱(かくらん)効果を生むのか。即席でそこまで

計算して連携(れんけい)できるのは凄いの一言だよ。…………おっ)


 アルベルトはアレウスに感心しつつ、単体で風圧に

流されているウィゾフニルの羽根を回収した。


「大分集まったかな? 4枚ほどください!」


 この時間稼ぎ中に、羽根はそれなりに集まった。


「ヒアユーアー!」


 コタロウが団子状に丸めた羽根をアレウスに投げた。


「サンクス!! アーンド、レッツゴー!!」


 アレウスの号令と共に、近接物理組が突撃を開始した。


「全員溶かしてやる!!」


 ウィゾフニルは全身を旋回(せんかい)させ、周囲に熱風(ねっぷう)

巻き起こした。


「グリーンズ、ハイパーサイクロンストライク!」

「ギッ!!」

「フギジャアアッッッ!!」


 ウッディがウィントをジャイロ投法で投げ、

ウィントがMPを消費することで、周囲に高圧の

旋風を纏いつつ、突撃した。


「ゴッハァ!?」


 旋風で巻き取ることで、高熱を回避して、突進が

ウィゾフニルの腹にめり込んだ結果、"ダメージを

与えること"に成功した。


「なっ、デコに我の羽毛!!」


 ウィントのオデコには、ウィゾフニルの抜けた羽根が、

さながら()(ふだ)のように貼り付けられていた。

 そしてウィントに(おどろ)いている(すき)を突き


「「ポウッ!!!」」

「グオッッ!!?」


 海外式のパンプアップの叫びを発しながら、

アレウス、コタロウがウィゾフニルの両側から

顔の側面に拳を入れた。

 当然拳に羽根が張り付いている。


「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

「ヒィハハハハハハハハハハッッッ!!!」

「こ…………しゃ…………く……なっっ…………!!」


 2人の連打があまりにも速すぎて、ウィゾフニルは

殆ど身動きが取れなくなっている。そのHPも()(はや)

4割を切った。


「ここd…」

『ドゴッ!!』


 どうにか隙を突けそうだったタイミングで、

アレウス達同様、羽根をメリケンサックにしている

ウッディの拳が直撃した。


「それじゃ」

「イン・ザ・クライシス!」

「ぬおお!? 動かない!?」


 アレウス、コタロウが、片側ずつウィゾフニルの

翼と脚をロックして、動きを(ふう)じた。


「突き殺しt…ゴッ!?」


 自由度の高い(くちばし)で攻撃しようとしたが、肩に

両手をおいて、ゴムが縮む要領で突撃した

ウッディに阻止されてしまった。


「ぎっぎぎっぎっぎ~♪」

「グエエエエッ!!」


 更に、両足を頭にぐるぐる巻きにし、両腕で尾羽を

引っ張ることで、完全に全身の動きを封印してしまった。 


「ウィント、フラッシュ、そしてアルベルトさん、

とどめを!」

「ヒィア、ウィーゴー!!」

「ななな何する気だ!?」


 ウィゾフニルの正面。彼が見えない場所に、水を

放とうとするフラッシュ、電撃を放とうとする

アルベルト、そして、闘牛のごとく脚を1本空振り

させているウィントが佇んでいた。


『バジュ!』

「行っておいで!」

「ふしゃぐるるるっっ!!」


 フラッシュの水が円錐(えんすい)を作り、アルベルトの電撃が

水に纏わりつき、ウィントが最高速度で突撃することで、

雷神の使いのような姿になった。


「やめろおおおおおおっっっっ!!!」

「フギジャアアッッッ(爆雷(ばくらい)()(でん)の頭突き・(しゅん))!!」


 リアルフィジーカー全員の力を合わせた攻撃により、

ウィゾフニルは無事に討伐されたのだった。


「じゃ、山分けしますか」


 モンスター達は物品を所持出来ないので、3名で

討伐した扱いとなる。分ける時も3等分だ。


「いやー、すんげぇ数のドロップアイテム…………こりゃ

山分けとか言ってたら、時間切れになっちまいそう

ッスよ!」

「全速力で取りましょう!」

「アグレッシブキャーーッチ!!」


 結局、最後は早い者勝ちの勢いでギリギリ全てを

回収できた。本来、魔王軍幹部は大人数で討伐

することを想定されており、こんな決着事態が

運営的にもイレギュラーなのだ。


「んんっ! これは…………」


 アレウスがウィント達の方向を向いた所、時間の

流れが極端に遅くなり、彼等の姿形が変わって

いることに気付いた。


「魔王軍の幹部をぶっ飛ばしたんだ、変異したって

おかしくねぇよなぁ! 見せてくれ、お前らの

新たなる姿を!!」


「ニャ…………ゴロロ…………ガルルル………………!!!」

「ギッ…………ギギギギギッ………………ウウウウ!!!」

「ヒュー…………ヒュー…………ヒュー………………!!!」


 ウィントは山猫の全長から、ジャガー程の全長に、

ウッディはチンパンジーからゴリラに、フラッシュは

ゴールデンレトリバーサイズから、サメサイズに、

皆が(いちじる)しい巨大化を成した。


「イッツァ、アメージング…………」

「纏う覇気(はき)が完全にSS級モンスターのそれだね」


 それを見ていた部外者の2人も、モンスター達の

()(げん)ある姿を見て、彼等の力を瞬時に感じ取った。


「普通、変異でここまで強くなったら、テイマーの

力不足で言うことを聞かなくなったりするものだけど、

アレウス君の場合…………」

「ノォ~~、プロブレムッッッ!!!」


 何分、アレウス自身が単騎でSS級モンスターを

食い殺す猛獣のような存在な為、この手の問題は

無いも同然なのだ。


「フラッシュ、昔は飛ぶ鳥に食われ、泳ぐスズキに

食われるようなサイズだったのによ…………今じゃあ

ウィントと並んで前線張るわ、頂点捕食者サイズに

なるわで成長したなぁ~~」


「グオオオオ…………」


 サイズの大型化に伴い、発声も可能になったようだ。


「ウッディ、お前には大木のような筋肉を着けて

ほしくてこの名前を着けたこと、覚えてるか?」

「ウホッ!」


 単発のドラミングを交えて返事をした。


「立派な筋肉だ! 良く頑張ったな!!」


「ウオーーー! ウホッ!ウホッ!ウホッ!ウホッ!!」


 彼自身も嬉しいようで、高らかにドラミングを

鳴り響かせている。


「ウィント…………」


「ガルルル…………」


 向き合った2人は、初めて出会った日の事を

思い出していた。


~アレウスがウィントをフードテイムした10分後~


「フギャーーー!! カッ!! カッ!!

カッッッ!!!!」

「スッゲェ速さだな! けど、心開いてほしいぜ!」


 子猫というかはカラカルのようなスピード感の

攻撃を、アレウスは避けながら誉めている。


「フシャグルルルアッッ!!」

「やられたっ!」


 しかし、この頃はレオナルド直伝の感覚鍛練が

まだ不十分であり、殺気を元にした超回避も

付け焼き刃だったので、カマイタチをあっさりと

食らってしまった。


「フニャアッ! カッッッ!!!」


 一撃食らわせて満足したのか、置き()(やげ)()(かく)

吐き捨てて、今度はギルドの居間で暴れ始めた。


「ア、アレウス君…………大丈夫…………??」


 まだ、普通に接していた頃のミューが、心配そうに

声をかけてきた。


「おう、筋肉のお陰で断骨されずに済んだぜ!」


 回復ポーションを飲んで傷を癒しつつ、

サイドチェストをして見せた。


「アハハ…………」

「けど、これから仲良くなれるのかな…………?」


 クラフトが、あまりにも心を閉ざしている

ウィントを見て、心配そうに(つぶや)いた。


「最初がこんなんだから、最後に真の相棒になった時が

面白ぇんじゃねーか! それに、アイツの名前はウィント

だぜ!」


 飛び上がり、着地までに宙で5回身を(ひるがえ)した子猫を

指差しつつ、アレウスは話す。


「うぃんと?」

「何か意味ありげだな」


 2人は興味を持って聞いてきた。


「ああ、アイツの荒々しい戦闘力の前には如何(いか)なる

草も身体を起こせない。まるで木枯らしのような

強さを持つアイツには、この名前が相応しいと

思ったのさ」


木枯らし(ウィントリー)を略してウィントか…………良いなそれ!」

「仲良くなれると良いね。応援してるよ!」


「2人ともありがとうな。よろしく、ウィント!」


「カッッッッッ!!!!!!!!」


~回想終わり~


「あれから色々あったな。アースドラゴン一緒に

倒して、少し仲良くなったり、スパロウと一緒に

優勝したり、お前の心身を傷付けたゴミクズに

復讐したり…………黒ひげを皆で倒したり」


「ウホ…………」

「グオオ…………」


 その頃には仲間になっていた2人も神妙そうに

聞いている。


「そして今、最早俺と別行動していても、こうして

共通の目標に迎えるほど迄成長した。俺、ここに

居ないスパロウ、ブルー、クロウズも含めて皆の事

誇りに思ってるぜ! 一緒に来てくれてありがとうな!!」


「ガオーー!」

「ウホホッ!」

「グオーー!」


 4人は互いを抱きしめ合い、喜び合った。


「イッツァ、ビューティフル…………」

「彼は今、テイマーの極致を歩み始めたんだね」


 リアルフィジーカーの2人も静かに様子を見ている。


「アレウス、ウィント、ウッディ、フラッシュ。

よくぞその絆で魔王軍の幹部を撃ち破った。

お前達のリーダーとして誇りに思うぞ」

「隊長! 見てくださいよ、3人ともスゲェ変異を

見せてくれました!」

「ああ、絆の強さが見た目の威厳や端麗(たんれい)さに

良く出ている。これからも共ni…」

「!!!!!」


 突如、レオナルドとアレウス達が左右に別れた。


「えっ、何かあるのですか!?」


 アルベルトは訳が分からないといった様子だ。


「カミング、ベリベリベリベリデンジャラスガイ…………」


 アレウス達に次いで殺気に敏感なコタロウも、

ソレがやって来ることを察知し、身構えた。


「くま~~~~…………」


 衝撃波を伴って、眼前に現れたソレは殺気と

反比例した可愛らしい声を発し、蜂蜜の臭いと

獣臭(けものしゅう)()き散らした。


「ダイアモンド…………」

「ラン・クマ!!!!」


「グンマァァアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」


 パワードスーツを着け終えたアレウスの叫びに

呼応するように、ランクマは叫び散らす。


 新たなる魔王軍幹部との戦闘が開始した。

最後までお読み下さり、ありがとうございます。

下の星やブクマを着けてくださると、励みに



なるクマ~~~~!!

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