消えたアレウスの行方
AGIについて
ノーマルモード : 移動のしやすさや、機動力、攻撃速度に影響を及ぼす。技によっては、与ダメージが上がる。
リアルフィジクスモード : 主に下半身の筋トレ、体脂肪率の減少で上昇する。全力疾走や反復横飛び、モンスターとの激しい戦闘でも上昇していく。また、体温が上がることで、筋肉の発揮する力も上がり、更に高まる。
速いと破壊力が増すため、STRとは基本的に比例関係にある。只し、あまりに速すぎると、反動ダメージが発生する他、カウンターを食らった時のダメージも増加する。
19話
「見たこと無いレベルの闘いだった…………」
クラフトは先程まで繰り広げられていた、レオナルドと
アレウスの闘いの興奮を抑えきれないようだ。
「隊長、俺と手合わせした時は相ッッッ当
手加減していたんだなぁ…………」
「当たり前じゃない。隊長が本気出したら
あんたなんて秒殺よ」
「実際お前は秒殺されてたしな」
「むぅぅ!」
以前レオナルドと手合わせした2人は、あの時
全く本気で無かったことに今、気づいたのだ。
「それにしても、軽い手合わせでは済まなかったね。
こうなることは予想ついてたけど」
ジェルマンが半ば呆れた様子で手合わせの帰結を語った。
「まぁ、あの2人がぶつかるんだ。当然の結果だな。
……にしても、隊長は居るのに、アレウスの奴は何処に
行ったのだ?」
先程、レオナルドが絶技を放ってから、アレウスの姿が
消えているのだ。攻撃を避けた上で隠れているのか、
既に死に戻りで自室のベッドに居るのか…………
「…………手応えは無かった。アレウスよ、一先ず俺の
必殺技を避けたことに最大の称賛を与えよう。そして
…………いつまでも隠れてないでかかってきたらどうだ?」
どうやらレオナルドもアレウスの気配1つ
感じ取れていないらしい。
「…………変だな。悪質ギルドのPK忍者軍団すら
捌ききる隊長が、アレウスの気配を感じ取れない
筈が無い」
「副長、それに格闘家に気配遮断のスキルなんて
無い筈です。気配が感じられないということは、
余程遠くで息を潜めているケースしか考えられ
ません」
「あのアレウスが試合放棄したってか!?
あり得ん!……たぶん」
共にクエストをこなしたレイルは即座に1つの
可能性を否定した。
「変だよね~。攻撃を避けるために全力で地面を
蹴っても、壁に当たったら跳ね返るし…………」
「彼、リアルフィジクスモードプレイヤーだったよね」
「「「「あ」」」」
ジェルマンの発言で、ギャラリー席の残り4人が
気づいた。
「レイル! 少し広間を見てきてくれ」
レオナルドの声が聞こえてきた。
「ラジャー」
直ぐに1階の広間へ駆け出す。
「他の皆もこちらに来てくれ」
他4人も闘技場に移る。
「あれを見ろ」
レオナルドが指差した天井には、1つ滅茶苦茶
大きな風穴が空いていた。
「デケェ…………」
「いや、まさかね」
「多分そのまさかだと思うよ」
「後先考えて無いなぁ」
その時
「大変だ! アレウスが広間の天井に突き刺さってる!」
レイルの声が聞こえたので、
「「「「やっぱり」」」」
4名は納得しつつ、レオナルドに着いて広間へ
移動した。
「どうやらアレウスは跳躍で俺の必殺技を回避した
らしいな」
頭が突き刺さり、胴体が宙ぶらりん状態になっている
アレウスを見て、話した。
「それが勢い余って、1階上の天井にまで
突き刺さるのがまた…………」
「アレウスらしいっちゃらしいですよね…………」
ジャンヌの解説に同調するように、リアルフレンドの
クラフトが付け足した。
「アレウス! 今下ろしてやるぞ!」
レイルが跳躍で、アレウスの足にしがみついた。
「……くそっ、重さが足りねえ。マリリン、手伝え」
「仕方ないわね」
今度はマリリンがレイルの両足にしがみついたの
だが…………
「う"っ!! お、重…」
レイルはついつい言ってはいけないことを言って
しまった。
「今なんて言った!? もう一度言ってみなさい、
ええ!!?」
「こっちは腕だけでしがみついているんだぞ!
おんぶとは訳が違う!」
「関係ないわよ! か弱い女性1人支えられない
なんて非力! 笑止千万よ!!」
「支えてはいるだろ!」
「なによ!」
「2人とも、今日はやけに仲良しだね~」
「「違う!」」
ジェルマンの発言に、ピッタリハモって否定した。
「2人ともそこまでだ。後は俺が引きずり出そう」
隊長の申し出とあっては、2人も喧嘩を止め、
1人ずつ床へ降りた。と、次の瞬間
「うおっ!? 気絶してた! ここは何処だ!?」
アレウスが目覚め、天井裏の暗闇に驚いているようだ。
「暗くて何も見えねぇ。足は浮いているし、顎を
掴まれている感覚があるし…………俺はどうなって
いるんだ?」
「アレウス、お前は天井に突き刺さっているんだ。
自力で抜けられるか?」
「隊長! そうだ、隊長の必殺技を避けるために
全力でジャンプしたっけ。…………なるほど、そういう
こと……」
両腕を天井に添えて…………
「かっ!!」
全力で押した結果、『ズボッ!』と音を立てて、
抜け出すことに成功した。
「おっと」
かなりの速度で落下したにも関わらず、足を広げて
着地することで、真下の穴に入ることを防いだ。
「無事に抜け出せたな。一時は何処に消えたのか
心配していたぞ」
「いやー、俺も訓練所の天井に頭ぶつけた
タイミングで気絶していたみたいで、電球
みたいになっていたなんて思いもしません
でしたよ~」
「ふむ、気絶こそすれど、HPは僅かに残っているな。
今回の手合わせは引き分けとしようか」
「いや、俺の場外負けッス。俺が本当に強ければ、
闘技場の天井を蹴って、カウンターをおみまい
できる筈なのでね」
「そうか。ならばそれを出来るように励むと良い」
「ええ、改めてこれからよろしくお願いします」
「うむ」
拳の語り合いで、アレウスはレオナルドと
理解し合うことが出来た。
「ではここで1時間の休息を入れるぞ。
各自現実で夜ご飯を食べてこい!」
ここらで一旦解散することになった。
「さーて、玄米、鳥モモ肉ステーキ、豚肉と
ニンジンとジャガイモのスープ、サラダチキン、
そして大量の水を補給するぜ!」
豪華な増量飯を食べに行った。
ブックマーク、星5つを着けてくださると、やる気が上がります。感想やレビューも、お待ちしています!
もう少しで100pt達成しそうです。しかし、明日から木曜日までは忙しいので、1日1話投稿になります。その後は
1日2話とか3話投稿できそうなので、しばしのご辛抱を!




