ミャーテオストライク
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197話
「まずは一発!!」
アレウスはビローブレイドを振り回し、1秒で
50匹の敵を瞬殺した。その中には、かつて激闘を
繰り広げた飛竜も2割程おり、彼の成長速度が
見てとれる立ち合いとなった。
「スターティング、フェスティバルーーー!!」
続いてやって来たコタロウが、奥から進撃
してくるモンスター達に数々の遁術を見舞い、
これまた瞬殺していった。
「この大群…………まさしく大戦争! 心踊るよ!!」
更に続くアルベルトは、全身から多種多様の
銃口を展開し、更に奥のモンスター達を瞬殺
したのだった。
「モンスターズ、カモォーーン!!!」
『ピィィィーーーーー!!』
そしてアレウスはアルベルトを追い抜きつつ、
号令と共に指口笛を響き渡らせた。
「ニャアーーー!!」
一匹の猫の鳴き声がした方向から、6匹の
モンスター達がやって来た。全員がアレウスより
小柄であり、初見だと強そうには見えない。
「アー、ゼイ、アレウスズファミリー…………
ホワットイズ、ゼアアビリティ」
アレウスの後方から加速しつつあるコタロウは、
彼等の実力を見れる事にワクワクしている。
「ウッディ、ウィント、あれ噛ますぞ!!」
「ギッッ!!」
「ニャ!」
アレウスが関節を外しつつ伸ばした右腕に、
薄緑色のこれまた伸びた腕が連結した。
「紫電の頭突き」
縮み行くアレウスと薄緑色のチンパンジーの腕。
先端部にあたるチンパンジーの左腕には、これまた
薄緑色の山猫が鋭い眼光を放ちながらしがみついて
いた。
「神速!!」
『ドォン!!』
「フシャッ・グル・ルル・ルル・ルル…………!!!!!!」
投擲直前までにマッハ3近くまで加速していた
山猫は、投擲されると同時に自らのMPを消費して
マッハ15まで加速した。分子同士の高速衝突による
プラズマを靡かせ、熱と雷で彩られた流星の山猫は、
実に神々しく敵を消滅させていった。
しかし、極超音速もいいところで叫び続ける
雄叫びは、途切れ途切れに聞こえてしまい、声量の
減衰も相まってどうにも締まらなさを感じさせた。
「フラッシュ君!」
『ズドォン!!』
次いで、ゴールデンレトリバーサイズのトビウオ
ことフラッシュも、魚人青年のブルーが放った水弾を
足場に超音速まで加速し、目の前の脅威を打ち砕いて
いった。
「ウッディはウィント達と合流して連携!」
「ギシャッ!!」
最後にウッディをジャイアントスイング気味に
投げ飛ばし、ウッディ自身が居合技の『紫電一閃』を
強化して繰り出すことで、向こうに合流させ
「スパロウ、ブルー、クロウズはこの付近に近づく
モンスター達の迎撃だ!」
「「了解!」」
「ゴロロロッ!」
アラクネ少女スパロウ、ブルー、イタズラカラスの
クロウズを組ませてチームの編成を終了した。主人
との別行動も板に着いてきている。
因みに、本来飛行能力を持たないウィントや
スパロウといったモンスター達が、何故自在に
虚空を移動できているかというと、アレウスを
はじめとするユーザー達が着用している『空気を
アスファルトのように蹴れる靴』をモンスター毎に
作り替えたものを履いているからである。ドラコの
地竜、海竜もちゃんと装備済みだ。
「イフ、ザ、マスターイズ、クレイジー、ゼイアー、
オルソー、クレイジー」
「全くですよ、特にウッディ、ウィントとの連携技
なんて、その辺の魔王軍幹部をも瞬殺出来る威力
なのではないですかね?」
2人は呆れた様子で彼等の瞬発力を評した。更に、
(或いは、魔王すら滅し得る威力なのか…………??)
威力だけなら魔王にも通じる。アルベルトは
そう考え始めた。
~最前線にて~
「…………まるで赤子との戯れだな」
1人敵陣の中を駆け抜けるレオナルドは、
モンスター達の強さを"赤子"と評した。
というのも、この人物は数か月前まで、SS級
モンスター達が跋扈する環境下でサバイバルを
行うという狂気の沙汰を行っており、現時点の
モンスター軍団では暇潰しにもなっていないのだ。
「とはいえ、圧倒的に力量差のある相手の殺気を
察知する練習と思えば悪くもない」
基本、殺気の強さは生物の戦闘力と比例する。
弱い生物は強い生物を殺すイメージが沸きづらく、
自然と殺気も弱まるからだ。
「だが、殺気を消すのが上手いのもまた、強者の
条件の1つだな」
殺気は気力の弱い相手を怯ませる分には、強い程
効果的だ。反面、自分の行動を相手に伝えてしまう
デメリットはあまりにも痛い為、暗殺者や狩りを
極め抜いた肉食獣等は、往々にしてそれを消す術を
得ている。
『ギャオオオオッ!??』
頚を切断された飛竜が、その事実に驚愕
しながらフィールドからフェードアウトした。
「斬られたと気づいた時には既に命は無い。
フフ…………昔受けた説教を思い出すな」
レオナルドもまた、殺気を消す術を得ている。
そうなると、頼れる情報は五感のみであり、五感で
観ることが不可能な一撃に関しては、食らう定めと
なる。
「むっ!!!」
『ド!!! ド!! ド! ドドォン…………!!!!!!』
レオナルドは細く、それでいてあまりにも強大
すぎる殺気を関知し、最大加速度で真下に移動
したところ、1秒後に空を照らす何かが雷を伴い、
ソニックブームを響かせながら通過した。
『ギャア! ギャア!』
「…………無理もない、このような"攻撃"を想定
しているはずも無いからな」
レオナルドは、こちらへと向かってくる攻撃の
余波を捌きつつ、モンスター達のAIが想定外の
攻撃に誤作動を起こしている様子を哀れんだ。
「少しでも匙加減を間違えれば命は無いが…………
まぁ、それだけ互いを信頼できているのだな」
アレウス達の破壊神的な合体技に、呆れつつも
肯定するレオナルドであった。
『ドドドドッ! ドン! ドン……!!』
「ギギッ!……………………ギィ?」
『ドパパパァン!』
爆発音が通過していったと思った次の瞬間、
突如目の前にチンパンジーが現れたかと思いきや、
一瞬間を置いて何かが弾けたような音が連なって
聞こえてきた。
「ウィントは向こうだ。向かいたいなら手伝ってやろう」
レオナルドは後方で首を傾げるウッディに目的の
位置を示し、片腕を広げた。
「ギッギー!」
ウッディは表情を明るくしてレオナルドの片腕に
自らの両腕を引っ掻け、パチンコ玉のように移動を
再開した。
「…………極限まで殺気を高めて敵を怯ませる。
人智を超えた規模の殺気をならば、さぞ効果的
なのだろうな」
加えてウィントの速度は真に人智を超えていた
ため、技の発動前に気付いたところでレオナルド
程の玄人でなければどのみち回避不可能であった。
「殺気といえば、ウィント達が向かった方向に
1つ大きなものを感じるな…………」
大きく…………1つのみ…………その正体は、言うまでも
無かった。
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