マッスル・ザ・ボルトクラッシュ
昨日の敵は、今日の友!
195話
『緊急事態、緊急事態、12時の方角より、
魔王軍幹部・ウィゾフニル率いる魔物の
群れが襲来。冒険者諸君は直ちにこれの
迎撃に当たれ』
「ミューにフィンチ、今の放送聞こえたか~?」
「「ムギギギギギギギ!!」」
アレウスは、互いの頬を引っ張りあっている
2人のピンクヘアガールに確認をしたが、そんな事は
全く意に介さず頬を引きあっている。
「魔王軍襲来、迎撃に当たれ! 以上だ」
「「…………はぁい。勝負はイベントの後に決するわよ!」」
こうなった原因、明日どちらが先に現実の
アレウスに迎えに来てもらうかは、イベントの
後に決めることになった。
(どっちから迎えに行ったって、かわんねぇだろ。
2人の家から父方のばあちゃん家まで殆ど距離同じ
だし)
アレウスは2人に呆れつつ、部隊の配置場所へと
向かった。
『『ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!
ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!ギャリ!!』』
「マイバイシクル~♪ マイバイシクル~♪」
「マイバイシクル~♪ マイバイシクル~♪」
超遠距離部隊に混じり、アレウス、コタロウが
いつぞやの発電自転車を忙しなく漕いでいた。
…………謎のロック曲を歌いながら。
((((怖い怖い怖い怖い!! この筋肉達何する気
なの!?))))
例によって、ジェルマンを除く狙撃主達は怯えて
いた。
「凄いや…………2人とも、僕の自家発電の6倍以上の
パフォーマンスを発揮している…………」
これにはサイボーグ・アルベルトも驚きの表情を
している。彼は現在、両腕を合わせて1つの砲口に
しており、脚は完全に高台に固定している。正しく
固定砲台だ。
「アルベルトさん、俺の発電バイシクルは、上手く
馴染んでいますか?」
アルベルトに連結している自転車は、クラフトが
製作したものであるため、サイボーグの身体と馴染んで
いるかの確認をしている。
「ええ、細部まで具体的に作られているお陰で、
すんなりとドッキングできました。本当に素晴らしい
マシンですよ」
クラフトの中の人のこだわりが功を成し、トラブルも
起きずに連結できたようだ。筋肉の発電をアルベルトが
倍増し、破壊的な一撃として放つ算段なのだ。
「そう言われるととても嬉しいです。またこのような
イベントがある時に、マシンコラボを行いたいです」
「僕こそそうしたいと思っていました。その時は
是非お願いします!」
アルベルトは肉体派のアレウスとは戦闘で、頭脳派の
クラフトとは発明の語り合いで友情を深めたのだった。
(((それにしても何処かで聞いた声なんだよな~~…………)))
アレウス、クラフト、そしてアルベルトは、互いが
他人とは思えない謎の親近感を感じていた。
『魔王軍接近。遠距離部隊、構え!』
司令塔の音声に従い、ジェルマンも混じっている
狙撃系jobのユーザー達が銃・砲口を構えた。前回と
比べ、砲口が多く見受けられるのは、空中を飛ぶ相手
に銃弾を多く撃つよりも、砲弾で多面的に爆破する方
が効率的だと考えたユーザーが多数居たからだ。
ジェルマンもスナイパーではなくデストロイヤーに
なっている。
『撃てーーーー!!』
司令塔の号令と共に、砲主達が一斉に弾を撃った。
狙撃主ではないが、リアルフィジーカートリオも…………。
「マッスル・ザ・ボルトクラッシュ!!」
「五億ボルトじゃーーーー!!」
「ポウッッッ!!!!!」
筋肉2人が貯めた電力をアルベルトが倍増・放出し、
アレウスはフロントダブルバイセップスのポーズを
取りながら威嚇し、コタロウはモストマスキュラーの
ポーズを取りながら、海外での筋肉を張り出した時の
咆哮を上げた。
「おおおっ! 何か大爆発起きてる!!」
「あれは大分死んだっしょ!」
マッスル・ザ・ボルトクラッシュの爆発は凄まじく、
かなり大多数のモンスターを消し炭にしていそうだった。
しかし、司令塔から残念なお知らせがあった。
『敵軍殲滅率、3%!』
「「少なッッ!?」」
そう、マッスル・ザ・ボルトクラッシュこそ炸裂
しまくったのだが、砲弾・銃弾の被弾率が頗る悪く、
モンスター達の勢いは全く衰えていなかった。
ハイレベルユーザーが多数参加し、それに合わせて
グラスコープ戦よりもモンスターが強いとはいえ、
殲滅率が2%も少なくなったのは、後が辛そうだ。
『第2撃用意!』
そんなことを残念がる暇もなく、砲主達は武器を
構えた。筋肉達はサイクリングに勤しんでいる。
『撃てーーーー!!』
放たれた第2撃目。心なしかマッスル・ザ・
ボルトクラッシュの規模が小さく見えた。
その結果は
『敵軍殲滅率…………2%!!』
「「いや、大丈夫かよ…………」」
更に低くなった殲滅率に、自軍の士気は
駄々下がりだ。
「嘆いても仕方ねぇ! 他の遠距離部隊と
連携して確実に狙い落とすぞ!」
そんな自軍にジェルマンは鼓舞し、早速お得意の
超遠距離狙撃を開始した。以前、砲撃が効かない
ティラノサウルス相手に腰が引けていた事を考えると、
相当成長していると言える。
「そ、そうだそうだ! 彼に続けーー!」
「「おおおーーー!!」」
何とか最低限の士気を取り戻し、彼等お得意の
遠距離射撃を再開した。
『魔法部隊、弓矢部隊、攻撃ーー!!』
魔法系・弓系ユーザーも一斉に攻撃を開始した。
一度に多方面に拡散できる魔法は言わずもがな、
一発で複数の矢を放てる弓も中々の仕事率だ。
「くぁwせdrftgyふじこlpッッッッ!!」
マリリンは瞬く間に5つの大魔法を放ち、多くの
モンスター達を瞬殺した。そしてMPが無くなったので、
下がってポーションを飲む。
「フレア・バースト!」
イシュタルが、直線上に拡散していく炎・爆破の
上級複合魔法を放った。規格外のMAGを誇る彼女の
一撃は、マッスル・ザ・ボルトクラッシュに肉薄する
殲滅率を誇った。
「乱射・オブ・乱射!!」
ミューは、始めに水属性の矢を大量に放ち、
次に雷属性の矢を大量に放つことで、大規模な
雷フィールドで殲滅するというコンボを決めた。
しかし、それでも魔王軍は進撃をやめず、遂には
本隊とぶつからんとした。
『タンク部隊! 受け止めろ!!』
「「「「うおおおおおお!!」」」」
グラスコープと同じく、まずはタンク部隊が
受け止め(そして低レベル者は即死し)…………
「しまった!」
空中故に隙間が多く、すり抜け事故が多発した。
「バリアー・ヒュージ!」
が、クラフトは盾を巨大化することで、すり抜け
事故の大多数を防止。その隙間から…………
「でかしたぞ、小僧!」
「砕け散れ!」
中距離攻撃を得意とするユーザー達が一斉攻撃を
放ち、動きが止まったモンスター達を一掃していった。
そして…………
「へっへっへっへ」
「遂に俺達の出番だなぁ…………」
血気盛んな近距離物理のユーザー達が、
不敵な笑みを浮かべていた。その中には
グラスコープ防衛戦に参加した者達もおり、
彼等は…………"手も足も出ずに殺された事"を
すっかりと忘れていたのだった。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
下の星やブクマを着けてくださると、励みに
なります!
次話は、週末から土日にかけて更新予定です。
7/17(土)お待たせしています。本日の16時台に
更新予定です。 日曜日も更新します。




