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引きこもり・汗小盛り

お待たせしました~。土日にも1話以上投稿予定です。

193話


「…………プロテインッッ!!」


 朝起きて、早速飲もう、プロテイン。今日は

それだけでなく…………


「水ぅ! ワンモアウォーター!!」


 寝坊した、足りない水分、(おぎな)おう。字余りと共に、

多めの水分を補給したのだった。


「いつものウエイトリフティングで活動スイッチONに

してとぉ!」


 朝のルーティーンを終えると


「朝食だぁ!」


 豪勢(ごうせい)すぎる朝食の製作へと取り掛かった。


「隆二、今日も休みなのか?」


 父親が、あまりにも多い休校について

聞いてきた。


「うん、大々的にヤクザの襲撃があったから、

流石に今週一杯は要警備なんだって」


 1kgはあろうかというステーキを物凄い勢いで

飲み込みながら、説明した。


「ヤクザ…………本当に恐ろしい世の中になったもの

だねぇ…………今回も隆二と美優ちゃんを狙っていた

そうだし、心配で仕方ないわ」


 経緯が経緯である為、母親は心配そうに呟いた。


「まー、俺は油断さえしなけりゃ死にはしねぇけど、

美優や拓人は普通に危険なんだよなぁ。いつも俺が

着いてやれるとは限らねぇし」


「う~ん、俺達的には…………」

「隆二も心配なのよ。無理だけはしないで(ちょう)(だい)ね」

「うん、自分の程度は弁えてるつもりだよ」


 早々に食べ終わり、共働きでホワイト企業に勤める

両親の分も皿洗いをした。皿を洗い終わってから、

猫のように伸びながらゴロゴロしていると…………


『マッスル!!』


 ルインにメッセージが送られてきた。


「(美優からか)…………「皆今から遊べる~?」って、

毎度毎度、ヤクザに植え付けられたトラウマは何処(どこ)

飛んでくんだよ…………」


 仲良し5人組+元運動神経抜群(笑)の2人が属する

グループチャットにて、こんな事を呟いていたのだ。

隆二は遊び足りない美優に呆れ、「(ちゅう)臀筋鍛(でんきんきた)えて

ゴロゴロしたいから無理ー」と返事を返した。


「違う違う~。誰かの家で遊ぶのよ~。ついでに勉強♪」


(…………勉強会で引きこもるのなら、悪くないか?)


 そう思った隆二は、「それなら良いぜ」と返事をした。

 次の瞬間


「だったらさ、隆二と美優はその手の連中に

狙われてるし、俺の家に来ないか?」


 拓人から提案が出された。


「え、やったぁ!! 拓人の家、色んなパソコンで

遊べて楽しいんだよねーー!!♪」

「助かるぜ、家には誘惑が多すぎてな…………ダンベル

とかバーベルとかストレッチマットとか」

「ストレッチマットも誘惑なのか??」


 その提案通り、道先家に集合となった。


「オデも行っていいド?」

「俺も行きたいなー」

「俺も行きてぇ」


 律、竜之介、武三も希望を出した。


「勿論だ。人数は多い方が楽しいに決まってる。

デキスギはどうするんだ?」


 拓人はつい先程から、既読をつけ始めた法二に

問いかけた。


「あー…………僕はちょっと体調が悪いから、今回は

行けないな…………」


 心なしか、元気なさげな返事が帰ってきた。


「そっか~。拓人との(しゅう)(さい)トーク聞きたかったけど、

体調不良はしょうがないよね(つд;*)」

「大事にしとけよー」


 美優、武三が、()(づか)いの返事を返した。


「2人ともありがとう。すぐに良くなって、

来週学校で皆と話すね!」


「そのいきだド!」

「お大事に~!」

「また学校でな!」


 律、竜之介、拓人も返信し、隆二は…………


「ファイトマッスル!!」


 何か場違い感溢れる返事を返したのだった。

 それ以降、法二の既読は翌日まで付かなかった…………。


~的場家・入り口前~


『ピンp…』

『ガチャン!!!』

「隆二ーーーー!! 今日は1日ずーーーっと!

ヤクザから守ってーーーーー!!!」


 インターホンのチャイム音を遮り、美優が

飛び出してきて、身体前面を全力で押し付け

ながら抱きついた。


「わかったから…………拘束(こうそく)を解いてくれよな」


 隆二は苦笑いしつつ、圧倒的な力で男勝りな

美優を意図も容易く引き剥がした。


「むぅ~…………ま、良いよ。隆二自ら()(えい)

してくれるって言ってくれて嬉しかったし」

「戦力的に見て、妥当な判断をしたまでさ」

(そうですよねーーー!!)


 美優も想定はしていたが、隆二が戦略性のみで

自身の護衛を請け負ったことに、内心で悲しさが

溢れてくるのだ。


(嘘でも良いから、いや、良くないけど! 私を

好きだからって理由だと言って欲しかった!)

「武三と竜之介も律の耐久特化マウンテンバイクで

来るわけだし、この上なく完璧だな!」

「ウンソウダヨネー」

「日差しの中、立ち話もあれだし、俺達も行こうぜ」

「…………うん、行こう!」


 ささっとロードバイクにまたがった隆二を見て、

美優は気持ちを切り替えて後部座席に搭乗した。


 (せみ)の鳴き声が(ひび)き渡る夏場…………


「あづいよぉ"ぉ"お"お"~~~…………」


 美優は早くも弱音を上げた。


「そりゃそうだよ…………こんなクソ暑いのに、

全身を俺にヘバりつかせてるもんなぁ!!」


 時速40kmで安全運転をする隆二は、全力で叫んだ。


「隆二の筋肉に冷却機能は無いの!?」

「ねぇわ!!」


 シバリングで体温を急上昇させることは出来れど、

急下降させる機能はない。筋肉とは、そういうもの

なのである。


「てか、折角可愛い服着てるのに、俺の汗着いたら、

臭いとか汚れで台無しになるぞ?」


 隆二は心から心配してそう言った。現在、

隆二は上下共に白地のタンクトップと短パン

という、バスケ部を思わせるジャージを着用し、

美優は襟に花柄が刺繍された白のTシャツに

デニムのミニスカート、黒のオーバー

ニーソックスを着用している。隆二が

言及した服は、上半身に着用しているものだ。


「隆二の汗は臭くないし汚くないもん!」

「これ以上なく嬉しいお世辞だが、服を犠牲に

する事はねぇよ」

「本当だもん!…………武三と比べたら」

「…………クマのボウズと出会った日の事が、余程

堪えたんだな」


 とある日の夕方の出来事が、美優にとっては

苦すぎる思い出となっている模様。


~拓人の家~


「来たか、2人とも」


 チャイムを鳴らして7秒後、拓人が出迎えてきた。

室内から吹いてくるエアコンの冷気がとても気持ち良い。


「おっ、拓人は相変わらずお(しゃ)()してるねー!」

「無事、護衛完了だぜ」


 美優、隆二がそれぞれ言いたいことを言った。


「…………美優、ちょっと胸元を見てみろ」


 が、拓人はやや赤面しつつ、そして気まずそうに

指摘をした。


「何々? いきなりセクハラ…………は、短絡(たんらく)過ぎるわ

よね。私特にセクシーな服をチョイスしてい…………

な…………い………………」


 拓人の発言に、初手セクハラかと一瞬思ったが、

直ぐにその考えを()(きゃく)しつつ、胸元を見た。そして、

その表情は直ぐ様青くなっていった。


(見ちゃダメだ。親友に通報されて逮捕とか、

笑い事じゃねぇ!!)


 隆二も一瞬だけ目に映してしまったが、神速で

顔を背け、目も閉じた。


「いやあああああ!! 何これぇ!!」


 そして美優は(ぜっ)(きょう)した。


「お前なぁ…………必然的に汗をかく俺にくっついて

いたら、そうなるに決まってるだろぉ…………」


 隆二は手で目を覆うまでしながら、美優のTシャツが

透けている理由を教えた。


「なんつーか、(アホなの!?…………と言うのは可哀想か)

あ、やっぱ何でもねぇや」


 拓人は喉まで出てきた言葉を何とか抑え込んだ。


「ううう…………(超至近距離だとブラの中まで見える…………)

何か…………ゴメンナサイ…………」


 顔を赤らめ、両手で両胸を隠しながら、2人に謝った。

2人は欠片も悪くない為、そんな彼等に八つ当たり

する事など出来なかったのだ。

 そして勉強会が始まったのだが…………


「むむむぅ~~…………」


 悩む律が(うな)(ごえ)を上げる。


「なぁ…………うわあっ!! 美優ッチ済まねぇ

ドぉ~~!!」

「言いにくいんだけど…………美優ッチのシャツが

透けて集中できない…………ゴメン」


 質問しようとした律が顔を上げようとした瞬間、

目に入ってしまったので即謝った。竜之介もたまらず

指摘した。


「仕方ないよ…………私が悪いんだから…………」


 最早勉強会所では無かった。男5人が非○貞で

あったとしても、こうなることは()けられなかった

だろう。


「…………あっ、ノートパソコンで胸元を隠そう!」

「さっすが拓人ぉ~~!」

「わっ、ちょ…………」


 (おもむろ)に拓人が名案(めいあん)を出したので、(となり)に座っていた

美優は、すかさず抱きついた。


(ってか、隆二の汗をなじってる!?)


 感謝の念もあっただろうが、別の思いも拓人は

感じ取っていた。

 それからは2時間ほど勉強が(はかど)り、期末試験にも

希望が見えてきた。


小休(しょうきゅう)(けい)っと!」


 隆二は15分に1度口をつけていたミネラル

ウォーターではなく、プロテインを飲み干した。


「じーー」

「どうした~?」


 隆二は、こちらを(ぎょう)()する美優に声をかけた。


「隆二、明後日の土曜日さー、美容院で髪の毛

切ってみない?」

というわけで、その時までに隆二の新規イラストを

製作します!(達成率絶望的な宣言)

お楽しみに~!

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