速攻無双は忍者と獣も負けないぞ !?
アイツらやアイツらも速攻するのさ、
そして、かわいいアイツらも…………
187話
アグロフラッシュが怒涛の快進撃を見せる頃、
他にも荒れ狂うギルドが見られた。
「来るぞ!」
「迎え撃てーー!!」
眼前を覆い尽くす忍者軍団に対し、遠距離系の
ユーザー達は、銃や大砲、魔法攻撃で迎撃を試みた。
「「「影分身の術!」」」
しかし、忍者達は一斉に分裂し、飛び道具が
当たっているのか当たっていないのかも、良く
わからない状態になってしまった。
「薄影一閃!」
「「「ギャアッ!?」」」
3人に影分身した忍者の居合い抜きにより、
狙撃job3名が死に戻りした。
「火遁!」
「陽炎誕!」
1人が油の塊を投げ、もう1人が火炎玉で着火することで、10人近くを一網打尽にした。
「「オラオラオラァ!」」
忍者のしたっぱ達が、大量のクナイを投げ続ける。
「クソッ!!」
「捌ききれねぇ!」
それこそ、アレウスやレオナルドクラスの
腕利きでない彼等にとって、そうそう死なず
とも、防ぎきれる攻撃では無かった。
「雷遁・並列地獄門!」
「「「「「んなのありかぁーーー!?」」」」」
蓄電するボールという謎アイテムを投げ、刺さった
クナイを導体として、高圧電流を流したのだった。
「イマドキノニンジャ、カミナリスラシタガエル」
高圧電流を流し終え、機械的な話し方で台詞を
決めた。彼は相当変わったタイプらしく、戦場の
ど真ん中で格好をつけはじめてしまったのだ。
(お前だけでもっ!)
生き残ったグレートウォリアーが、この隙を
狙って大剣を振りかぶった。
「おいコラ!」
「ブパッ!?」
しかし、上忍のくノ一が繰り出した爆発する
斬撃"爆斬刀"により、その首が両断と同時に
吹き飛んでいった。
「キミノスガタトザンゲキ、トテモウツクsi…」
「黙れボケナス!」
「ぶぱぁ!?」
くノ一を褒めようとした機械音忍だったが、
途中でビンタを入れられ、中断させられた。
「こぉんの忙しい時に、いちいちカッコつけてん
じゃねーぞゴルゥア!!」
「す、すびばぜん…………」
あまりにも威容が恐ろしかったのか、半泣きで
ペコペコ頭を下げていた。
「分かったらさっさと行くぞ!」
言うことを言い終え、くノ一が駆け出したと
同時に、他の忍達の姿も消えた。
~3個要塞が固まっている場所~
『ボゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!』
「止めてくれーー!!」
5名の上忍が、1ヶ所の要塞に爆薬丸を
絶え間なく投げ、破壊活動を行っていた。
「くそっ! 全く当たらねぇ!」
別の要塞では、敵に群がるスズメバチのように
攻め立てる忍者達に対し、迎撃砲を中心に対抗
していたのだが、影分身の術やら、身代わりの
術により、悉く回避されていた。
「ジ・エーーンド!」
目にも止まらぬ速度の何かによって、波状攻撃を
受けていた要塞から、発音の良い英単語が聞こえて
きた。
『ボゴォォォオオン!!』
「ダメだァァァぁ~~~っっ!!」
次の瞬間、要塞が崩壊し、組員達の断末魔が
響いてきた。
「こっちも終わりヤス!」
爆撃されていた要塞も、完全に崩壊した。
「こっちはもうちょいかかりそうです!」
中級job・忍達に任せていた要塞は、流石に
もう少し時間が必要そうだった。
「アイル、ヘルプユーガイ」
忍者ギルドのリーダーはそう言うと、神速で
要塞の懐に潜り込み、技を連発した。残り2割
だった要塞のHPは、4秒で空になった。
「「「おおおお…………」」」
「コタロウさん、パネェ~~…………」
あまりの仕事の早さに、団員達は皆して
唖然となった。
「ネクスト、レッツゴービート、アルベルト!」
次の討伐対象を述べ、足早に駆け出していった。
「「「・・・ アルベルトォ!?」」」
討伐対象が、かのSSS級ユーザーのアルベルト
だったので、団員達は大口を開けて驚いた。
~戦場のど真ん中~
「ヘイ・ヘイ・ヘーイ! フィンチ様とドレイク様の
お通りだよ~~!」
『グオオオオオオッッ!!』
フィンチは暗黒竜・ドレイクの背に乗り、
その辺のユーザー達を蹴散らしていた。
「こんなの勝てるかぁーー!」
「人間コロシアムに猛竜を放つなーー!!」
「イェイ! このまま要塞全部をブッ壊そーね!」
ほぼ全てのユーザー達が成す術もない状態
だったが、それは突然終わりを迎えた。
「クォロロッ…………」
(今の声…………!!)
一瞬、フィンチにとって聞き覚えのある鳴き声が
聞こえてきた。
『グァオオオッ!?』
「一旦ストップ! ドレイク!!」
突如パニックに陥ったドレイクを、フィンチは
制止させた。しかし、それがまずかった。
「ギッシャアアアッ!!」
「フシャッッグルルルルゥゥァァアァアアア
ッッッ!!!!!!」
50m程先にいるチンパンジーが、何かを
全力投球したかと思いきや、ドレイクが殺気に
反応してクロスした両腕に、きりもみ回転する
緑色の山猫が直撃した。
『グオオオオオアアッ!!?』
「うわわっ!?」
山猫のおでこにより、前方の腕の骨は粉々に砕け、
後方の腕の骨にも大きなヒビが入っていた。
「ハッ!」
『バジュゥゥッッッ!!!』
次に、側面から魚人が何かを放ってきたので、
これも頭を屈めて避けようとした。しかし…………
「ウゴケナイヨ!」
『グo…』
背後に回っていたアラクネ少女が、頭と尾に
大量の糸を巻き付けていたようで、思った程
頭を動かせなかった。
『ドゴッッッ!!!』
『ゴアァ…………』
そう思った次の瞬間には、ゴールデンレトリバー
サイズのトビウオが頭に直撃し、呆気なく死に戻り
したのだった。
「カッカカカカカカカッッ!!」
ドレイクを討伐したことで、最初に視界暗転魔法を
かけたカラスが勝利の雄叫びを上げた。
「あーーー! あんたはアレウスの所のクロウズ!
良くもやったわね!」
相棒を失ったドラゴンテイマーのフィンチは、
クロウズに鞭を振りかぶった。
「フィンチサン、覚悟ーー!!」
「ブゴォーーーー!?」
しかし、アラクネ少女スパロウが勢い良く投げた
鎖鉄球に吹き飛ばされ、HP切れで死に戻りしたのだ
った。
「何とか倒せましたね」
「ウン!」
魚人青年ブルーの安堵の一言に、スパロウは肯定の
返事を返した。
「ギギギッ、ギシャ~~?」
「確かに、何でドレイクさんだけしか連れていなかった
のだろう?」
半植物チンパンジーのウッディが出した疑問に、
ブルーは頷いた。
フィンチには、まだまだ多くのモンスター達が
居るのだが、今回はドレイクしか連れていなかった。
理由は、フィンチのjobがドラゴンに特化したものであ
ったからなのだが、モンスターの彼等にそこまでの
知識は流石に無かったのだ。
「フニャニャ! フーーッニャッッ!!」
「ソウダネ! もっとテキ、倒シテ、アレウスに
ナデナデされるっ!!」
「ゴロロロロッ!」
『バシュ!』
風の山猫ウィントの進言により、スパロウ、
クロウズ、トビウオのフラッシュが意欲を高め、
6匹揃って要塞の破壊に向かった。
さて、どうして主のアレウスを差し置いて、
6匹がモンスターだけで行動しているかと
いうと…………
~試合開始前~
「ニャゴ!」
「どうした? ウィント」
ウィントが跳躍し、アレウスの肩に猫パンチを
当てて呼び止めた。
「ニャゴニャゴニャーゴ!」
「アレウスさん、ボクとスパロウちゃんを
司令塔として、モンスターだけの単独行動を
させてください!」
「う~ん…………死なない覚悟は、あるか?」
アレウスは6匹に問いかけた。
「ニャゴッ!!」
「モチロン!」
「ギィ!!」
『バジュッ!!』
「勿論です!」
「ゴロロロッ!!」
全員が肯定の返事を返した。
「そうか、なら、これだけは守ってほしい。常に
周囲を見渡し、ドレイククラスの強敵には全開で
奇襲をかける! これを守ることだ!」
アレウスは拳を握り、モンスター達に笑いかけた。
~現在~
「フシャシャシャアッ!!」
「「ギャアアアッッッ!!」」
自我を持つAIのウィントは、ユーザー達を
連続カマイタチで細切れにしていた。
主から完全に自立し、自らの心にしたがって主のために戦果を上げようとするAI。彼等は既に、人よりも高度な心を備えている…………かもしれない…………!?
~とある要塞の前~
「アイツら上手くやってるかな~?」
アレウスは得物を棚引かせつつ、自身のモンスター達の身を案じた。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
下の星を着けてくださったり、ブクマを着けて
くださると、執筆の励みになります!
ブックマーク650人達成しました。
感謝です!
6/3 お待たせしています。本日未明か少し過ぎに、
次話投稿予定です。
6/5 大変お待たせしています。寝落ちだったりで
遅れまくりました。12時~14時の間に
絶対投稿します!!




