アレウスのルーチューヴ撮影(男は背中で筋肉を語り、そして羽ばたく)
久々の筋トレ回です。寝落ちで昨日上げれなかったorz……
175話
「グッグッナインルーチューヴ! ピカリンデェッス!!
さぁ、筋トレタイムがやった来ました~~。って
ことでぇ!」
『Get up and corpus!!!!! デスメタルシンガー、
アレウスDeath!!」
昼に歌ったデスメタルの出だしを口ずさみつつ、
カメラの前に現れた。
「すぅんごい重低音! これは"ソウルイーツデス"かな?」
『イェス!』
返事も重低音で返した。
「こぉんの音域も筋トレの成果かな~?そうであれば、
喉トレとして是非学びたいっっ!」
「ええ、重低音は速筋繊維の収縮で発せられるので、
今度にでもお教えしますよ~~」
そう、今回のトレーニング部位は
「今日は背中に翼を生やすと聞いていぃますが、
その心を教えてプリーズ」
「ええ、こう言うことです」
アレウスはロングコートを脱ぎ捨て、タンクトップ
から、はみ出る背中を更に広げて見せた。
「これはっ!! 広・背・キング!!」
ピカリンはその広さに驚き、両腕を目一杯広げた。
それでもアレウスの背中はあまりに広大で、ピカリンの
細腕は、より一層細く見えた。
「ってことで、いつもの3人とトレーニング開始だぜ!」
場面は切り替わり、"羽ばたくために、広げよう、
広背筋!"というテロップが写し出された。
「翼と言えばこぉんの広がりッッ!」
ピカリンが話す傍らで、ミューとイシュタルが、
アレウスの背筋の広がりをつついている。
「こぉれを広げる方法を教えて頂きましょうっ!」
「はい、背中の広がりを作りたい時は、ズバリ懸垂が
オススメですね。ですが、その前に広がりを作る部位
である広背筋を意識する練習をしてみましょう」
「広背筋を…………意識?」
「きっと縮めたり広げたりを意図的にできるように
するって事だよ」
疑問符を浮かべるクラフトに、ミューは自らの
広背筋を収縮させて教えた。
「成る程…………どうだ?」
クラフトも、腕を上下させて本人なりに広背筋を
動かした。
「そうだな、胸を張って、肩を外旋させて下げてから、
前腕を固定して上腕を上下してみな」
「…………おおお、確かに腕が下がるときに、背中の
筋肉が動いてる感じがするぜ」
「あっ、私もそれらしき感触を感じれましたわ!」
「上出来だぜ。特にクラフトは、姿勢が悪くて広背筋が
動けない状態にあったんだ。取り分け肩が内旋して
いると、広背筋が動かない状態になってしまうから、
肩の外旋は常に意識した方が良いぜ」
「ほほう、広背筋を動かしたくばぁ、胸を張り、
肩を外旋させるとよぉろしいのですねぇ?」
「そして爪先重心で骨盤を立てる。普段使わない
筋肉な上、日本人が苦手な姿勢でしか使えないので、
尚更姿勢を気を付けるべき筋肉ってことです」
「爪先重心! 骨盤アップ! 肩外セーンに、大胸筋バーン。です!!」
ピカリンが思い切り胸を張ると同時に、ミューと
イシュタルが釣られて張った。動画投稿後のコメントが
卑猥なものと、ピカリンへの炎上コメントで埋め尽く
されるのは、避けられない運命となった。
テロップ:懸垂で上がるときの注意点(広背筋)
「まず、懸垂で身体を持ち上げるときの注意点を
言います。先程の姿勢を取り、腕を少しだけ前に
持っていきます」
「こうか?」
クラフトが、両腕を少しだけ前方に曲げた。
「良い感じだ。これくらいの角度から、前腕を
固定して、背筋の収縮で胸をバーに狭めるように
持ち上げる。これが最高に広背筋に刺激を入れる
方法です」
「何故、前腕を固定するのです?」
イシュタルが質問をした。
「良い質問だ。前腕が左右に動く。つまりは力こぶの
上腕二頭筋が動いてしまい、動かしたい広背筋の動員が
小さくなってしまうんだよ」
「成る程っっ! 鍛えたい部位が1つなら、そこだけを
動かすようにするっ! 集中するほど、効率が上がる
ということですねっ!」
「そのとーりッス!」
理論は把握した。後は
「じゃあ、私、ミューがお手本を見せまーす!」
ミューは跳躍で鉄棒に掴まり、完璧なフォームで
懸垂を開始した。
「アレウス君…………どんなに背筋に力入れても
上がらないわ!」
イシュタルが涙目で訴えかけてきた。
「おっとそうだった! 自力で懸垂する広背筋の
筋力が無い人は、低いバーで、足を補助に使って
懸垂を行いましょう」
低いバーの所に移動し、ぶら下がりつつ膝が
曲がった状態になった。
「足の位置ですが、前方に置くと、骨盤が後傾して
しまうので、後ろ側に設置し、足をクロスするように
しましょう」
「あっ、これでいつもの爪先重心を再現出来ているの
ですね!」
「その通り! 広背筋が弱い内は足の補助もガンガン
使い、最速で強くなったら、普通の懸垂で、パワー
アップを加速し続けましょう! はい伸ばしきって~~」
「スゥゥゥゥ…………」
息を吸いながら、広背筋をストレッチさせた。
「収縮!」
「ッッ! フッッ!!」
一瞬息を止めることで、瞬時に筋力を立ち上げつつ、
すぐに一気に吐ききることで、最大筋力に近いパワーを
発揮した。
「伸ばして~~収縮! 伸ばして~~収縮! 更に
加速して~収縮!」
動作の習熟に応じ、なおのこと加速させて筋肉への
負荷を向上させた。これも基本テクニックの1つだ。
テロップ:翼は背中で語る…………(大円筋に効かせる
フォーム)
「先程までは、前から見た翼の広がりを強化する
方法を伝えましたが、ここからは後ろから見た翼の
広げ方を教えます」
(あれ? 背中の筋肉っていつから翼扱いされてた
っけ…………?)
ミューが誰も指摘しない違和感に気づいた。
「広背筋だと、後ろから見たら不十分。と言うこと
ですか?」
ピカリンが聞き返した。
「確かに広背筋も大切ですが、後ろからの視点だと、
大円筋が更に大切になってきます」
「このような筋肉でございます」
イシュタルが描いた模写を、画面に写した。
肩甲骨の外側下部と、上腕骨の脇付近に付着
している。
「ここを鍛えることで、背中側の上部の膨らみが増し、
逆三角度合いが爆増するというわけです」
「成る程っ!」
「更に肩が押し上げられ、肩幅の広がりも増して
一石二鳥って感じです!」
「でーーは早速レクチャープリーズ!」
「先程とは違い、腕を水平に広げ、前腕も更に
広げるようにして鉄棒に掴まります。イシュタルは
足を着けて低いバーでの手本をお願いな」
それぞれが掴まった。
「そして、今回は大円筋のみを縮めたいので、
端から見たらちょっとしか持ち上げていない
状態まで上げれば結構です」
4人はいわれた通りに持ち上げた。
「おお、確かにどれだけ大円筋に力込めてもこれ以上
上がらないなぁ」
「腕や背筋を使えば最後まで上がりそうでぇすが、
それだと意味ナッシンッッ! でしたっけ?」
「ええ、使いたいのはあくまで大円筋。クソマジメに
最後まで上がって負荷を逃がすのではなく、脇をしめる
意識で大円筋に究極の負荷を与えてやりましょう。
皆さん完璧に出来ているので10カウント行きまーッス!」
「「「「えっ!?」」」」
「ワン! ツー! スリー! フォー! speed-up
(加速しろ!)!! ファイブ、シックス、セブン、
エイト、ナイン、ワンモアアクセル!! はい、
結構で~す!」
「き、急に鬼コーチならないでよ!?」
「大円筋断裂するかと思ったぜ…………」
ミュー、クラフトが抗議してきた。
「いつもの何倍か刺激が入っただけだよ。
HP減ってねーし、筋断裂とかは無いさ」
アレウスは楽観的に見える返事を返した。
「でぇすが、これなら誰でも背中の意識をでき
そぉうですね~」
「今の筋力が低くても、足付きから始められるのは
良心的ですわ」
「ええ、やる前に背中を片腕で触りつつ縮めたり、
エアーでフォームチェックすると、より意識
しやすいので、是非参考にしてください」
「それでは最後にぃ! アレウス君のパーフェクト
フォームを見てかぁら、終わりにしましょう!」
始めに10回、広背筋に効かせるフォームをし、
次に10回大円筋に効かせるフォームをした。
後で分かった事だが、アレウスが身体を持ち上げる
毎に翼を羽ばたく演出が入っており、筋肉の動きが
見えにくくなっていた。
「ラストぉ! 天空へゴーーーッ!!」
「ハアッッッ!!」
ラストはマッスルアップと呼ばれる、棒の下から
上まで一気に持ち上げる動作を…………過剰な加速で
行うことで、舞台の天井を突き抜けて飛んでいった。
翼の演出も過剰になっており、クラフト、ミュー、
イシュタル、ピカリンは風圧で四方に飛ばされ、
ピカリンのハゲ頭が画面に衝突して動画は終了した。
~翌日・朝~
「ん?」
ピカリンの名前で実況動画を撮っている
ルーチューバーが、コメント欄を覗いてみると…………
・女の子達にこんなポーズ取らせるとはどうかと
思うなぁ!!
・翼のエフェクト要らねぇ!
・アレウスの背中を見せろウホ!!
・ラストハゲ頭ドアップを毎度見せるとか
サイコパスだろ(怒)(怒)!!
・糞
ポジティブなコメントの間に、こんな感じの
コメントが挟まりまくっていたので、急遽大幅に
エフェクトを削除した動画を上げざるおえなく
なったとか。
最後まで、読んで下さりありがとうございます。
評価、ブクマを着けてくださると、ハゲみになります!




