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シカバネ金属

多忙により、非常にお待たせしました。

171話


「獣二~!」

「ん?…………んんん??」


 声のする方に反応した隆二だったが、次の瞬間、

起きている現象を理解できないといった表情になった。


「詩音助けてくれてありがどーーー!!」

「金子くん…………本当にありがとうね」


 美優の友人の青羽。そして、ヤクザの人質に

されていたところを隆二に救われた詩音が、彼の

両腕に抱きついた。

 美優は兎も角、2人が抱きつくことに隆二は

ただただ首をかしげるのみであった。


「隆二~~~~!!」

「おー、美y…」

『ボフンッッ!!』

「「うわっ!?」」

()


 美優が校門側から走ってきて、その俊足のまま

隆二に抱きついた。人外筋塊の隆二は不動だったが、

逃げ場を失った衝撃が、青羽、詩音を両側へ吹き飛ば

した。


「本っ当に本っ当に本っ当に本っ当に本っ当に

本っ当に…………っ当に2人を助けてくれて、

ありがとう~~~~!!!」

「ああ、青羽と詩音は美優の親友だもんな。

ボーイフレンド冥利に尽きるぜ」


 美優は隆二に抱きつきながら、彼の頬に頬ずり

した。隆二はそんな彼女の背中をポンポンと叩いた。


「はぁ~~、思い出すなぁ~~。絶体絶命の私を

天空から舞い降りて救ってくれたこと」

「あの時も、マジで間に合って良かったぜ。13m

ぽっちの天空でも、勇気を出して降りた甲斐があった

ってもんだな!」


 この仲の良さ、そして実際助けられたことで


「美優が獣二に惚れてるの、なんか分かった気がする」

「こんなに純粋な優しさと強さを両立した人間、

他に居ないもんね~~」


 美優の友人2人は、彼女が隆二を好いている理由(わけ)

理解したのだった。


「隆二…………スゲェ数のヤクザじゃん。全員が

昨日縛られてた奴等より強そうだし、隆二が

居なかったら本当にヤバかっただろうね…………」


 遅れて隆二の自転車でやってきた拓人が、現場の

惨状に顔を強ばらせた。


「ああ…………黒羽を人質に取られ、1人に殴られたが、

かなり腕利きだと思ったぜ。そして金子、お前は

俺達の英雄だ。今後は困った時にいつでも頼ってくれ。

ありがとう」

「ありがとう…………ございます…………!!」


 光輝・黒羽カップルが、深々と頭を下げた。


「良いってことさ、光輝もよく耐えたな。黒羽を

人質に取られなけりゃ、殴り返せたろうに」

「いや、そうであっても一矢報えなかっただろう。

この事件はお前無しには解決しなかったぜ…………」


 光輝は自身の力不足を悔いるように、握り拳から

血を流していた。と、その時、


「おいおい、もう終わってやがったのか。つーか

金子ォ、テメェだろ、こーなった原因はよぉ」


 後ろから声が聞こえたので、隆二は振り返った。


「足坂先輩、オハヨーッス」


 知っている人物だったので、挨拶した。


「昨日、モノホンのヤクザが学校に出たって話を

聞いたんで、今日に出会ってガチンコバトルしようと

してたんだが、1足先に金子に取られたか…………」


 足坂修人は、最強のヤンキーを目指しているので、

喧嘩と聞くと、首を突っ込まずにはいられない。


「その割には結構ノンビリと学校に来ましたね…………」

「これでも最速で早起きしたんだよ」


 と、その時


「こ、これは…………誰がこんなことを…………!?」


 教頭先生が現れ、現場の惨状に(おのの)いた。


「…………何かヤクザが俺と美優狙って、その辺の

生徒を人質にしたりしたんで、誰にも気付かれない

速度で気絶させました。ってか、起きる前に縛ら

ねぇと!」


 ここで、いつ起きるか分からないヤクザたちを

放置していることに気付いた。そしてヤクザを

拘束した後、隆二達は、今は誰もいない校長室へ

呼ばれた。


「このような出来事を肯定するのは間違っておると

思う。だが、言わせてくれ。金子君、ありがとう!!」


 教頭先生が、隆二に深々と頭を下げた。


「いえ、俺は出来ることをやっただけなので、先生は

どうか頭を上げてください。(つっても、教頭の立場

からすりゃ、自分は気付かず生徒に事件解決させたのは、

耳が痛すぎるってのも分かるな~…………)」


 隆二は、強要されてヤクザを気絶させられた

訳ではないので、何とも思っていない。しかし、

教頭先生の立場からして、素直に喜べないことも

分かっていた。


「ワシはクビになってもおかしくないし、そうなるb…」

「それだけは許さねぇッス!! 次の校長が

クソったれだった時、あんたに止めて

もらわねぇと困る!」

「そうですよ、先生はいつも私たちの事を第1に

考えてくださります! 私、教頭先生以上に

生徒想いな先生、見たことありません!」


 教頭が責任を取ろうとしたのだが、隆二、美優に

反対された。


「貴方に降り注ぐの心労の数々は、俺達が察し

きれない巨大さだと思います。ですが、今の

俺達には貴方が必要なのです!」


 拓人も教頭の苦労を労い、そして自分達に

必要であると直球で伝えた。


「…………そうじゃな。全ての問題が消えるまで、

ワシは君達に尽力する。すまなかった、教頭

にもなって、心労ごときでめげかけていたわい」


「いえ、心労は誰にでもあります」

「そう言うときはっ♪」

「俺達、生徒にもご相談ください」


「うむ、3人ともありがとう…………」


 責任に苛まれていた教頭だが、3人のお陰で

真にすべき事が見えたようだ。


「さぁ~ってと、コイツらどうしますかねぇ…………」


 隆二は伸びている15名のヤクザを見た。


「殺人未遂、誘拐未遂、強○未遂、セクハラ、恐喝、

これは終身刑以上確定よ!」


 美優は思い付く犯罪を述べていき、終身刑を

希望した。


「うぅむ…………個人個人で余罪はあろうが、終身刑に

するかは、警察の判断じゃから、何とも言えぬな」

「ここ100年、多くの人々が日本の刑法を厳罰化

しろと声を上げましたが、全く変わっていません

からね…………」

「それはそうと、今日は授業所じゃないのぉ、

全校生徒を帰宅、自宅待機するように伝えねば

なぁ」


 こうして、並月高校は、3日間の自宅待機を

言い渡された…………のだが


「自宅待機なんてしてられない!」

「全くよ! たまには町に繰り出すわよ!」

「要するに、学校周辺があぶないのでしょ?

離れれば良いのよ」


 美優、青羽、詩音トリオが私服で並んで歩いている。


「それで、何で俺らが連れてこられた訳だ?」


 後ろに拓人、隆二、武三、法二、そして光輝に

黒羽、ついでに修人まで来ていた。


「ん~、強いから、万一の時のボディガードかな?」


 詩音が言った。


「あー、でも道先はついで感が拭えないな~」


 青羽が拓人を指差して軽く笑った。


「んーだよ、酷い話だな~」

「怒らないの。ついでなら遊びまくって楽しみましょ♪」


 そう、美優の言う通り、結局は遊びたかったのだ。


「所で修人先輩、先輩はどうして俺達に着いてきたん

ですか…………?」


 光輝はヤンキーだった中学時代に世話になった

修人が、何故着いてきたのかが気になった。


「そうだなぁ…………テメェらを守るって口実で、

未知なる強さのヤクザと殺り合えるかと思って

なぁ…………」


 目をギラ着かせながら、光輝の質問に回答した。


「あ、相変わらずッスね…………」

「奴等、街中まで張ってるとは限らないッスよ?

今のところ変な気配は0ですし」

「威勢が良いのは結構ですが、先輩は隆二に勝つのが

先なのでは無いですか?」


 各々修人やヤクザに言及していたが、美優が

隆二について言及した。


「コイツは最早人間をやめている。だから人間相手で

敵無しになってから出直すんだよ」

「その為の相手にヤクザを選ぶってのも、大概

ぶっ飛んだ発想ですけどね…………」


 修人の問いに、武三は呆れていた。


~ボーリング~


「ホッ!」

『パガァァアン!!』

『ストライーーーク!』

「隆二スッテキッ!」


 隆二が1番軽い玉を神速で投げ、軽々と

ストライクを取った。その神業に美優は興奮する。


「呆れたぜ、軽い玉を投げて怪力アピールする奴を

初めて見たよ」

「電光掲示板の数字…………高速道路みたい」


 光輝もこの異常事態に面食らい、黒羽の言う通り、

表示された玉の速度は、高速道路を走る車並みで

あった。


「バック・スピン・ストライカーーッッ!!」


 叫びが聞こえた向こう側では、修人がバック宙を

しながら、腕を加速して1番重いボールを地面に

叩きつけるように投げた。ボールはゴウンゴウンと

跳ねながら、ど真ん中のストライクを決めたのだった。

武三、拓人はドン引きしながらそれを見ている。


「あれもあれで面白そうだな!」

「隆二のバックトゥー何チャラ見たい~」


 これに盛り上がる2人も、光輝・黒羽カップルに

ドン引きしながら見られていた。

 因みに隆二が関節を外して投げると、どんな重さの

玉でも、奥の装置にヒビを入れてしまうので、昂る

気持ちを抑えざるおえなかった。


~パンチングマシン~


「へっ、どんなもんだ?」


 光輝が平均の2倍以上の得点を叩き出した。流石は

ボクシング経験者といったところだ。


「オラァ!!」


 武三が、平均の3倍を出した。


「おおー、獣二についで脳筋なだけあるー」


 この結果に、青羽は感心した。


「フンッッ!!」


 隆二は手加減の為に、腕を伸ばせる距離を30cm

のみにし、更に腕が届かない範囲を関節外しで補った。


「え? 空振りじゃないの??」

「空気を殴って敵に当てるって出来るんだー」


 美優の友人達は、物珍しげに反応する。


「2人とも違うよ。隆二は腕を伸ばして殴ったんだよ」

「それでマシンの測定上限を超えるんだから、おかしい

にも程があるよな」


 彼をよく知る親友2人がフォローした。


「本ッ当、変な特技持ってやがるよなぁ…………」

「私…………何だか怖い」


 光輝は普通に引き、黒羽は以前ショックで

気絶したことを思い出し、身震いした。


~カラオケ~


「フゥ」


 法二が歌い終わると同時に、拍手喝采が鳴り響いた。


「さっすがデキスギくーーん!」

「プロみたい~~!!」


 青羽、詩音が大盛り上がりした。


「ふぁぁ…………やっと終わったかぁ…………」


 修人はノンビリしたバラードを聞き、相当

眠くなった様子だ。


「次は俺か」


 隆二が登壇した。


「隆二ってどんな歌を歌うの?」


 美優が拓人に聞いた。


「確か前は、ロック系やヘヴィメタル系を歌っていた

なぁ。時々音を外すけど、音域がめっちゃ広いんだよ」


 次の瞬間、超絶重低音の伴奏が流れてきた。


「…………これ、デスメタル?」


 吹奏楽部の詩音が、伴奏から推測して聞いた。


『ピンポン、今から歌うは、soul eats death』


 既に重低音となった隆二の声が響き渡る。


『Get up and corpus!!!!!』

『キィィィィイイイイン!!!!!』


 歌い出した直後、ノイズが遊戯センターの外まで

鳴り響いた。


「…………ん?」


 見渡すと、誰一人として意識を保っていなかった。

死尸累累のボックスには、超絶重低音のメタルのみが

虚しく響き渡る…………

最後までお読みくださりありがとうございます。

評価、ブクマを着けてくださると、執筆の励みに

なります。

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