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正直早すぎな三度目の遭遇

悪意、本格的に動き出す。

170話


「あー、楽しかったー!」

「紙防御・速攻特化パーティーで、2冠を取るのは

流石としか言えないな。もう立派なプロテイマーだよ」


 拓人は、今日という日を振り返り、隆二のアレウス

としての成長を称えた。


「でも速攻は、地味にギルドの皆もしてきてるよね~」

「そうなんだよなぁ~。運と実力さえ伴えば、

これ以上なく爽快だよな!」


 美優の指摘に、拓人は共感を示した。


「つっても、フィンチ達を完封できた訳じゃねぇ。

次は正真正銘の勝利を掴まねぇとな!」

「そうね、お子ちゃまには大人(アダルト)の貫禄を見せつけ

なきゃね! あっ、隆二のじいちゃんばあちゃんの家に

行く時は、私も一緒だよ! ついでに拓人も!」

「そうだな。俺も隆二の祖父母4方にご挨拶を…………

って、美優! ついでってなんだよ!?」


 美優が漏らした一言に、拓人は反応した。


「えー? そんなこと言ってた~?」

「言ってた! 親友としてご挨拶は重要だろ!!」

「まあまあ、4人なら丁度良い人数だろ」


 一先ずこの場の全員と、飛鳥(フィンチ)でお邪魔することに

なった。日にちは今後相談といった所だろう。


「3人ともー、そろそろ寝る準備をするのよー」


 1階から隆二の母の声が聞こえてきた。


「ふぇぇん…………一緒に寝たいよー」


 美優が、隆二と寝れないことを残念がった。


「あー、今朝はヤクザ居たから不安か」

「こればかりはしょうがない。俺らとっくに12歳

超えてるし」


 事情が事情なだけに、共感こそすれど、肯定は

倫理的に不可能だ。


「拓人羨ましーな。隆二が隣なら絶対何があっても

大丈夫だもん!」

「いや、俺って守られポジションなの??」

「だって私より格闘センス低いじゃん」

「そりゃまぁ…………うん」


 これには苦笑いする他無かった。隆二は色々と

イレギュラーとして、常人は才能の差が出るのは

仕方ない部分が多い。


「美優ちゃーん、そろそろ降りてきてちょうだーい」

「あっ、行かなきゃ。2人ともお休み~」

「「お休み~~」」


 しばらくして


「はぁ~~。別に恥ずかしい事じゃ無い筈だが、

男の俺が美優より体術で劣るってのは何だかな~~」

「拓人は十分、(こっち)で役立ってるだろ? それに

近距離物理は俺の役目だ。美優は本来、遠距離

物理だぜ」

「ははは、そりゃSAFの役目だろ。現実も…………

まぁ出来なくは無いか」


 隆二は言わずもがな。美優は弓道を心得ているので、

確かに出来なくは無い。


「後は魔法か……………………」


 少し間が空き、


「そういやイシュタルって同級生だっけ?」

「そのはずだよ。現実でもあんな感じなのかな~~。

何か会ってみたくなってきたな」

「もうそろ夏休みだし、オフ会するのも悪くねぇな」

「そうだな。明日の夜に誘ってみるか」

「おう!」


 そして夜が明け。


「…………」

「グー…………」

「…………プルゥロロロロッッ!! ゴクゴクゴク

ゴクゴクッッッ!!!! テイィン!!」


 覚醒と同時に起立し、常人では目視不能な速度で

プロテインを製作し、飲み干した。


「おはよう…………相変わらず癖の強い目覚ましだな…………」


 拓人はこの叫びで一気に覚醒した。心臓に悪い

一方、最強の目覚ましとも言える。


「スマン、いつもの癖で、筋肉維持を最優先に

しちまったわ」


 朝ウォームアップルーティンのウエイトリフティング

を行いながら、行動理由を説明した。


「ま、寝坊するより100倍ありがたいけどな」


 拓人は完全に覚醒したらしく、生き生きとした

表情になっていった。


「じゃ、朝飯食うぞ。今日は俺が腕に寄りをかけるぜ!」


 隆二の家では一番最初に起きた人が料理を

することになっており、今回は母に次いで腕利きの

隆二が豪華な肉料理を振る舞った。


「ご馳走さま~♪ 隆二の手料理食べれるなんて、

本当に感激だよー!」

「確かに最高に美味かったぜ。…………けど、朝っぱら

から大質量の肉は、腹に来るなぁ~~」


 2人はそれぞれ思ったことを言った。


「どういたしまして。さて、3ケツして、学校に

行こうか」

「「ああ(うん)!」」


 やはり、何故か美優を真ん中に挟む形で、たまを

抱いた婆さんに挨拶をしたりしながら、校門が見える

位置まで近づいた。


「(チッ…………何で2日連続して)2人とも、ちょっと

ここから動くなよ」

「どうした?」

「…………ふぇ?」


 1番後ろで、女子の腰を掴んでいたことで、内心

ドキドキしていた拓人は正気に戻り、真ん中で隆二に

密着していた美優は、未だに夢見心地だった。


『ドンッッ!!』


 隆二は支えを地面に着け、自転車のバランスが

安定したのを見届けると、2人からして瞬間移動と

見紛う速度で駆け出した。


「えっ!? 隆二! どこ行くの!?」

「ちょ、バランス…………!!」


 美優は軽くパニクり、拓人は風圧による自転車の

バランス崩れに難儀した。


~校門すぐそば~


「オラァ!! 俺達が求めるのはただ2つ! 金子

隆二と的場美優だぁ!!!」


 両腕両足に竜の入れ墨を入れた、タンクトップに

クォーターパンツの男が、黒髪女子の首にナイフを

当てて喚いている。


「く、黒羽!」


 女子の彼氏、光輝は顔を青ざめながら、彼女を

案ずる。


「うるせぇ!!」

「ギャアッ!!」


 すると、付近の青髪リーゼントが光輝を全力で

殴り飛ばした。ボクシング経験者の彼なら、何とか

避けてカウンターを決めれたかもしれないが、彼女が

人質な手前、抵抗できなかった。


「ヒグッ…………光輝…………」


 黒羽はどうすることも出来ず、泣き崩れてしまった。


「へっ、地味女かと思いきや、結構可愛い顔して

やがるなぁ」


 赤髪短髪男が黒羽を見て、舌なめずりした。


「こいつは的場美優を確保できなかった時の保険だ。

後数名保険を確保しろ!」

「「「ヘイ!」」」


 そう言って、このチームの最底辺3名が駆け出した。


「「「…………」」」

「あ? 誰が(だる)()さんは転んだをしろっつった!?」


 突如3人が失神して倒れたので、青髪リーゼントは

ふざけてるのかとキレた。


「俺だ。お前らが欲してやまない肉体の男、

金子隆二だぜ!」


 隆二は1人でも多くのヤクザを引き付ける

べく、敢えて真ん中に現れて、大々的に名乗った。

それと同時に


「「…………」」

「え?」


 神速の"伸びる拳"で黒羽を人質に取っていた

リーダーと、青髪リーゼントのこめかみをかすらせ、

失神させた。ヤクザのしたっぱだけでなく、この場の

全員、何が起きたかわかっていない。


「おい! この女がどうなってttttt…………」


 赤髪短髪が、角に隠れていた詩音を日本刀で

人質に取るも、隆二は振り向きもせずに神速で

日本刀を回収後、神速の伸びる後ろ回し蹴りを

これまた正確に頭頂部にかすらせて失神させた。


「くっ、当たって破壊しろーーーー!!」

「「「「「うおおおおおーーーー!!」」」」」


 人質を取れないと判断した1人が、全員の突撃を

命じた。


「馬鹿なのか?」

「「「「「!?」」」」」


 隆二が一言呟くと、彼の姿は起立している

全員の視界から消えた。


「「「グボッ!?」」」


 始めに、前触れなく3名が吹き飛び、


「「…………」」


 次に、2人が膝から崩れ落ちた。


「「「ひいいっ!?…………」」」


 更に3名が怯んだと同時に崩れ落ち、


「「ガッ!?」」


 最後に残った2人の間に隆二が現れた瞬間、

2人は互いの頭をぶつけて失神した。


「うし、()(とん)の術からの、(けもの)(しき)格闘術は

中々使えそうだな」


 今起こった現象を説明すると、始めに隆二は

神速でしゃがむことにより、全員の視界から

消え失せた。次に隙だらけの3人に神速四足走行

タックルを食らわせ、その後は5人に低い姿勢から

神速の肉弾をかすらせて、確実に失神させた。

 最後の2人は死角に回り込み、一瞬で起立してから

安全に倒したのだった。


「全員致命傷は負ってないな? 救急車欲しい奴は

手ぇ挙げな!」


 一先ずは、取り返しのつかない事態を回避したのだった。

最後までお読み下さりありがとうございます。

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