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青空の準決勝

お待たせしました。モンスターバトルの続きです。

166話


「エアロ、焼き魚にしてやれ!」


 エアロという名前の飛竜が、ゴールデンレトリバー

サイズのトビウオに、火炎を吐いた。


「かわせ!」


 トビウオもとい、フラッシュは、翼の根本に

着いている水鉄砲から放水し、急加速することで

難なく炎を回避した。


「シャドウヘイズ!」


 そのまま、無数の影分身を作りつつ、エアロとの

距離を詰めていく。


「迎え撃つぞ。テールラッシュ!」


 それに対し、エアロは尾を高速で振り回し、叩き

落とさんとしてきた。先端部に向かうほど細くなる

尾は、鞭のごとく加速している。


「かわしてかわしてかわしまくれ~~!」


 が、アレウスはあろうことか、フラッシュに全ての

尾を回避するように命じた。フラッシュもフラッシュで、

紙一重で回避を成功させている。


「そこだぁー!」

『ボッッッ!!』

『ジャアアアッッ!?』


「フラッシュ選手の強~~~烈ッなッ、一撃が炸裂

したーーーーッッ!!!」


 一瞬の隙を突き、最高速度まで加速したフラッシュが、

エアロの顎にクリーンヒットした。その威力たるや、

体重差が100倍単位で違うにも関わらず、エアロの

HPを半減させるほどであった。


「一気に押しきるぜっ!」

「面白い。弾き飛ばしてから、焼き魚にしてやろう!」


 エアロの袈裟懸けに振るわれた右腕を、左に加速して

避けつつ、右脇腹に突撃。距離を取りつつ左の拳を

振るって来たので、上、前と急加速し、回避しつつ

左肩に突撃。矢継ぎ早に噛みついてきたので、最小限の

動作で回避しつつ、首の背面根本に突撃。尾の大根斬り

も少し横に移動しただけで回避し、隙だらけの脇腹に

突撃をおみまいした。


「目にも止まらぬ攻防ッッ! しかぁし、その実

フラッシュ選手が圧倒しているだけなのかぁ??」


 実況のピカリンは、激しい電撃戦を興奮して

実況している。


「フン、ルーチューバーは分かっちゃ居ねぇな」


 が、エアロの主ドラコは、エアロのHPが2割以下

にもかかわらず、余裕そうな笑みを浮かべていた。


「あっとッ、どうしたフラッシュ選手。動きが鈍く

なったぞぉぉ??」


 ピカリンもその理由に気づいた。フラッシュの

動きが明らかに鈍くなったのだ。


「魚の加速機構は、体内の水の放出。当然、貯水量に

上限はあるわけだ。さて、エアロ。ここらでランチ

タイムに洒落込もうじゃないか」

『グギジャアアアアアアッッ!!』


 勝利を確信したドラコ達は、咆哮を上げた。


「だったらこれはどうだ? フラッシュ、ウェイブ!」

『ヒューー、フッッ!!』


 声の変わりに吐息を鳴らすことで、呪文を詠唱した

ところ、等身大の水塊が発射された。


「はっ、こんなもの、纏めて焼きつくしてやれ!」

『ギジャアアアアアッッ!!』


 今更こんな攻撃効かねぇよと言わんばかりに、

圧倒的な火炎を吐いてきた。ウェイブごと

フラッシュを丸焼きにするつもりだ。


「ウェイブを飲んでかわせ!」

「何!?」


 火炎のブレスが当たる寸前、フラッシュはウェイブを

飲んで貯水し、復活したウォータージェットを駆動して、

紙一重で回避したのだった。


「やったか!?」


 フラッシュは、ウォータージェットを使う度に加速が

鈍くなっており、先程までの遅めの加速に慣れていた

ドラコ達は、その姿を完全に見失ったようだ。


「翼にドリルトゥースだ!」

『グギャアッ!!』

「なっ! 目の前に居ただと!?」


 エアロの翼が背後から食い破られた事で、ドラコは

フラッシュが目の前を移動していたことに初めて

気づいた。


「主人もAGI位は上げておくことをオススメするぜ。

畳み掛けろぉ!!」

『グギャギャギャギャギャアッ!!?』


 エアロのバランスが崩れたタイミングで、

フラッシュはウォータージェットを最大駆動

した突撃を連続で食らわせた。


「フラッシュ選手の猛攻炸裂~~! ああっと!

エアロ選手がッ!!」


 フラッシュの猛攻により、エアロは目を回し

ながら、落下していった。


「エアロ、戦闘不能!よって、勝者アレウスチーム!」


「ナイスフラッシュ!」

『バシュッ…………パァン!』


 アレウスがフラッシュを称え、フラッシュは

それに答えるように、水花火を上げた。


~もう1つの決勝戦・中盤~


「はっはっはー! 悪いが勝たせてもらうぜ!」


 鳥モンスター使いのグースが、対戦相手の

フィンチを追い込んだタイミングで、勝ちを

確信したようだ。


「デスニードル、一旦引くのよ」

「追い詰めろ! 岩礁!」


 フィンチ側のモンスターは、アサシンホーネットの

デスニードル。対するグース側のモンスターはストン

バードの岩礁。堅牢な岩の鎧を持つ岩礁に対し、デス

ニードルの針は中々血管までたどり着かない。


「ここでシャドウヘイズ!」

「あっ! ックソ!」

「へっへーん!」


 一瞬の隙を突き、影分身技で撹乱することで、

岩礁のスピードから逃れることに成功した。


「デスニードル、チェンジ!」

「フィンチ選手、デスニードル選手を交代する模様だ!」


 相性の悪いデスニードルは交代した。極端な

熱と冷気を持つ鳥のアーウィンは、サンダーバードの

雷電と相討ちになっている。すると、次に現れるのは

……………………


「ドレイク! 全てを終わらせるわよ!」

『グオオオオオオオッッッッ!!』


 陸空両用の暗黒竜・ドレイクが登場した。見るも

禍々しいオーラを放出しているが、立派な女の子

である。


「押しきるぞ、岩礁!」


 負けじと猛るグースの声を聞き、岩礁は高度を

急激に上げた。


「黒炎放射!」


 対するフィンチは、ドレイクに呪いを付与する

火炎を吐かせた。炎は効果今一つだが、呪いを

かけることに意義がある。


「かわしまくれ!」

「追うのよ!」


 岩礁は、見た目に反した俊敏さで黒炎を悉く

かわしていった。対してドレイクは、追うことで

命中精度の向上を試みている。


「急降下!」

「!!」


 急に岩礁を落下させるグースに、フィンチは

警戒した。


「決めてやれ! メテオストライク!!」


 落下による、大技を放ってきたのだ。STRだけで

なく、DEF、AGIでも威力が向上するこの技は、

岩礁のリーサルウエポンと呼べる代物だ。


「ドレイク、よーく狙いなさい…………」

『グオオオ…………』


 しかし、フィンチは慌てることなく、ドレイクに

狙いを定めさせた。


「今よ! ヘル・ナックル!!」


 フィンチが叫んだと同時に、ドレイクは黒炎を

纏った拳を振り上げ、落下していた岩礁を殴り

飛ばしたのだった。


「ば、ばかなっ!」


 しばらくして、落下した岩礁は、目を回転させて

いた。よって


「岩礁選手、戦闘不能!」


 グースは追い詰められたのだ。


「フッ、ならば相棒に任せる他ないな。出でよ、残雪!」

「ピィィーーーッッ!!」


 氷雪鴨の残雪が、場に躍り出た。


「グース、気持ちは分かるけど、ドレイクに

彼はあまりにも無謀よ」

「へっ、その口聞けなくしてやるぜ。凍える爆風!」


 残雪は、ドレイクの方へ冷気の強風を巻き起こした。


「ドレイク、風起こしで押し勝ちましょう」


 対するドレイクも、羽ばたきの爆風で対抗した。


「クッ、風力は互角か…………?」


 見たところ、互いの風力が互角故に、影響を

及ぼせていない。


「互角? パートナーと違ってグースの視力は

悪いのね?」

「何ぃ!? これの何処が互角じゃないんだ!」


 煽りとも取れるフィンチの発言に、グースは頭に

血が登った。


「今度こそ終わりね。ドレイク、黒炎を混ぜるのよ」

「しまっ……」

『グオオオオッッッ!!』


 羽ばたきの風に黒炎が混ざったことで、熱膨張の

影響もあってか、風力が増した。あまりの急展開に

グースは対応できず、残雪が燃やされてしまったのだ。


「ざ、残雪ぅ~…………」


 黒い炎を身に纏い、残雪は奈落へと落下していった。


「残雪選手、戦闘不能。よって、チームフィンチの勝利!」


 最後は呆気なく、フィンチの勝利に終わった。


「やっぱドレイクは桁違いに強ぇな。気を引き閉めるぜ!」


 試合を見て、決勝に備えて気を引き閉める

アレウスであった。

最後までお読み下さりありがとうございます。

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