地面を踏切り大空へ
いよいよSAFのイベント開始です。
お待たせしました。今日は結構更新するかもです。
157話
「おう、美優か。今な、スッゲー巡り合わせが
起きてるんだよ」
「てか、てかっ! 何で女性と抱き合ってるの!?
まさかお持ち帰り予定!!?」
隆二がフィンチの中の娘と名乗る女子中学生を
抱き上げている様子を見て、美優はあらぬことを
想像したのだ。因みに娘は170cm程度あるので、
大人の女性と見間違えても無理はない。
「あー! その反応、やっぱりミューパイセンだー!!
やっぱり同じ高校の出身だったんだねー!」
「うおっ!? 手をどけろ!」
「えー、いいじゃーん」
先程、美優が動揺していた理由は、娘が隆二の首に
両手を回していたことも原因の1つだった。
「そ、そうよ! 初対面の男の首に手を回すなんてっ、
あなたふしだらにも程があるわよっ!」
(う~ん…………いきなり抱き付いてくる美優が言うと、
説得力に欠けるな…………(笑))
隆二は心の中で、苦笑いをした。こういうことは、
本人の前で素出しにしてはいけないと、高2の数ヵ月
で学んだのだ。
「えー、パイセンもアレウスが走り終わった後に、
思いっきり抱きついてなかった~? それも◯ッパイを
顔面に押し付けてさー」
(あ~あ…………言われちゃってんな)
「そっそそっそそそんな事ッッ、なな無いしっっ!!」
美優はいっそ清々しいほどに動揺し、半ば白状する
形となっている。
「あっははー! わっかりやすー。大方、アレウスの
彼氏にでもなろうとしていたのかな~? ま、その分
だと失敗続きっぽいけどさー」
(おっと、やっぱこの子まだまだ子供だな。俺と
美優は出会って数ヵ月。めっちゃ仲良くなった
とはいえ、恋愛に発展するなんて、まだまだ
あり得ねぇ)
彼女の発言に、隆二は独自の考えから読みが
甘いと見て、彼女を"子供"だと評した。
「かっ! かっ、かっ、かれっ…………」
(…………そりゃまぁ、こんな図体の男の彼氏に
なりたいとか言われちゃ、怒りのあまり顔赤くして
取り乱すわな)
美優の反応も、自身の見解から感情を推察した。
低い国語力故、隆二は基本的に単純な感情しか
読み取れない。
「あ、そうそう、私は空峰飛鳥。中3で、
全国制覇するために高校生の技を盗み見にきたんだー。
でもそれ以上の成果を得られて大満足だよ!」
「確かに、美優の走りからは、技術の不足も筋肉d…」
「あー、いや、アレウスのワケわからん凄まじい
走りを見れたことね…………」
「あれぇ!? そっちぃ!!」
呆れながら指摘する飛鳥に対し、隆二は心底驚いた
様子を見せた。
「あはは…………何で自分の規格外さに気付けないかな~」
この認識のズレには、美優も苦笑いした。
「ま、それはさておき、アレウスは絶賛独り身」
「ははっ、そりゃ悪かったな」
「ううん、そうでもないよー、こ・れ・で、私と
お付き合いを出来るからねっ! まずはこのまま
チューってして、流れるようにホテルへ…………」
そう言う飛鳥は、顔を隆二の方へジワジワと
近づけていた。
「させるかっ!」
「んぎっ! 邪魔しないでよ!」
美優が、宙ぶらりんの飛鳥にしがみつき、2人の
唇の距離を大きく引き離した。
「フフッ、はっきり言って、パイセンよりも私の方が
アレウスと釣り合っているわよ」
「はぁ? どう考えたら、あんたみたいなケツの青い
小娘と隆二が釣り合うのよ?」
「まずは身長ね。SAFだと10cm程低いアバター
使ってたけど、私、パイセンより大きかったのね。
悪いけど、才能に歴然とした差があるのよ」
「あっははっ! それって才能にかまけて、どんどん
追い越される奴のセリフじゃない。いい? 私は隆二と
並んで鍛えたことで、豊満な胸とお尻を手にいれたの。
ペラっペラのあんたに負ける要素は無いわよ」
「何を~!」
「やるかこのー!」
2人はいよいよ喧嘩を始めようとした。
「「キャッ!? 急に腕を下ろさないでよ!」」
「悪いけど、これ以上は腕の筋肉が萎みそうだから
勘弁な」
「「むぅ~~~…………」」
「急に仲良くなるなよ…………所で、さっきから
あそこからこっち見てるのって、飛鳥の友達か?」
隆二は男子中学生数名が、影から覗いている方を
指差して質問した。視線に敏感な為、気になって
仕方がなかった模様。
「あっ、あんの馬鹿共っ!」
「うわっ! ゼニゲバ女が気付いたぞ!」
「逃げろー!」
「くそっ! 後ちょっとでエッチシーンっぽいの
見れそうだったのに!」
飛鳥に気付かれたや否や、中学生達は一目散に
逃げていった。
「…………ゼニゲバって、玉の輿でも狙ってるのか?」
中学生のセリフの内、隆二はゼニゲバに反応した。
「あー…………まぁ、どうせ人間ってどんな顔してても
グズだろうし、それなら金が使い放題の男とくっついた
方が良いかなーってね」
「ちょっ…………隆二はクズじゃn…」
「なるほどな」
美優は隆二については違うと言おうとしたが、
隆二は自分がその中の1人であるということすら
受け入れて納得した。
「でも私、アレウスだけはch…」
「だったら尚のこと、俺とは付き合わない事だな。
どんなに稼いでも自分以外に投資しない主義だし」
「えっと…………」
(あれ? 何かおかしくない…………??)
隆二についてはクズであることを否定しようとした
飛鳥だったが、彼が話し始めた事で、遮られてしまった。
その様子に美優は違和感を抱いた。
「さて、拓人…………いや、クラフトもここに居るし、
挨拶くらいしに行こうぜ」
「あ、うん…………後ルインも交換しよ…………」
「そうだな」
連絡先を交換しつつ、並月高校のテントへと
移動していった。到着し、飛鳥が拓人に挨拶した所、
美人に会った事で、拓人は表情が明るくなった。
これに腹を立てた美優が、彼の耳を引っ張った所、
飛鳥が美優にどや顔したため、またしても喧嘩が勃発。
女子の先輩達が嫌みを言いに来た所、飛鳥がうっかり
"鈍足デブさん"等と良い、美優も軽く同情したので、
中々の乱闘へと発展した。
「ぐおっ! 隆二! てめぇが連れてきた生意気小娘の
せいでこうなったんだ! 何とかしやがれ!!」
武三が、女子数名のサンドバッグになりつつ、
隆二に怒鳴る。
「いや…………何でこうなるかなんて、誰が予想
つくかよ…………」
隆二に至っては、10名以上から集中砲火を
浴びている。しかもノーダメージだ。拓人を含めた
10名程はダウンしており、法二だけは、イケメン
完璧超人故に、したたかな女子2人と談笑していた。
「美優さん…………だったっけ? ここから先、現実でも
SAFでも気を抜かない事ね」
「飛鳥ちゃんだっけ? そう簡単に私から隆二を
奪えると思わないことね」
「なぁ、2人とも…………そろそろ頭グリグリするの
止めた方が良いよ。指とか折れても知らないからな」
隆二は、大理石にもヒビを入れる頭突きを出せる
石頭を持つため、本当に2人の拳を心配して忠告した。
~SAF~
「ウィント、紫電の頭突き! クロウズ、かわして
ダークエッジ!」
山猫ウィントが素早い頭突きを繰り出すと、カラスの
クロウズは、高度を上げてかわしてから、闇属性の
真空波を放った。
「かまいたちでガードだ!」
「フシャアアッ!!」
「クロウズ、ブラックストライク! ウィント、
風圧で回避!」
クロウズが闇を纏った嘴攻撃を繰り出した所、
ウィントは風起こしによる反作用で地面へと
回避した。
「すかさずゲイルダッシュを3連続かけろ!」
「ニャゴロッ!!」
「ワッ!!?」
ウィントは足首に風を纏い、AGIとSTRを飛躍的に
向上させた。そして移動したところ、あまりの速さに
クロウズはウィントを見失ってしまい、動揺の叫びを
上げてしまった。
「この次元はクロウズにはまだ早かったか。ウィント、
超手加減の猫パンチだ」
「ふにゃっ」
「ワッ!!!」
暴風のように荒ぶる動きでありつつ、クロウズは
肉球が触れるまで、ウィントが背後を取ったことに
気付けなかった。
「よっし、切り上げだ。クロウズも大分戦闘に
慣れてきたな」
「マー、元々サイノーってモノはあったミタイ
だしねー」
アラクネ少女スパロウが、呆れた感じで言及した。
「ま、悪戯に特化した動作はかなりの練度だったよな。
その度に、スパロウには糸でぐるぐる巻きにされてた
けど」
「グェェ~~…………」
苦い思い出だと言わんばかりに、クロウズは
アレウスの肩で雛の鳴き声を上げた。
『ヒューーーー…………ドーーーン!!』
「ニャッ!?」
「ナニッ!?」
「ワッ!?」
大きな爆発音に、聴覚に優れた3名が驚く。
「始まったな。大空イベントがよ」
最後までお読みくださりありがとうございます。
評価、ブクマをしてくださると励みになります。




